人類の生物学的進化は4~5万年前に終わったという従来の学説を否定して、1万年ほど前から人類の進化が加速していると論じた本。1万年ほど前に始まった農耕によって、大きな変化が起きた。人間はそれまでと違う食べ物を食べるようになり、新しい病気にさらされ、集団生活のしかたが変わり、人口が増大した。このような文化的な変化がヒトに自然選択の選択圧を加え、ヒトの心と体を遺伝的・生物学的にも変化させた。そうした遺伝的変化が今度は文化や歴史に重大な影響を及ぼした。人類史とは、生物学的変化と文化的変化がからまりあった、終わりなき舞踏のようなもの。著者らが「遺伝歴史学」と呼ぶアプローチに基づいて、人類史の謎を解き明かす。
Posted by ブクログ 2019年04月14日
8000年前頃、ヨーロッパ人の中で乳を分解するラクターゼの継続的な生産をもたらす変異が起きた。ウシの乳を飲むことによって、ウシの肉を食べるよりも5倍のカロリーが得られるため、人口が増加し、穀物農業がうまくいっていない北ヨーロッパのステップ地帯に広がっていった。インド=ヨーロッパ語族の拡散が始まったの...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年06月15日
遺伝歴史学だそうだ。おもしろい。環境が変化したら進化のスピードも上がります。そりゃそうだよね。旧石器時代から人間はまった進化してません、みたいなのはおかしいと思ってた。
ネアンデルタールとの混血とか農耕開始による自己家畜化とか。ユダヤ人頭いいのは中世の自然選択だろうとか。まあ怪しいところも多い...続きを読む
Posted by ブクログ 2010年09月10日
生物学は、人種の間に差はない、現生人類は進化が止まっているという学説を主流においた。著者は主流学説に反して、現在も人類は進化し続けているとする。以下印象的な箇所のレジュメ。
・植物や動物は、残したい形質を選択的に遺伝させることで、品種改良できる。品種改良は数世代で簡単に行える。品種改良は進化の一種...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年05月31日
「人間は何万年も狩猟採集民族だったのだから~という習性には逆らえない』のような言説を目にすることがある。
中には思わず頷いてしまうような論もあるのだが、どこまでが信じられるものなのだろうか。
人間は、狩猟採取民族であった以前に、何百万年と猿人であり、何千万年と四足動物であり、何億年と魚類だった。
現...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年11月05日
意欲作にして問題作。人類の進化は今まさに進んでいて、知能が自然選択で伸びたりしているという、ともするとポリティカリー・インコレクトな議論。
たしかに、見た目の違い、オリンピックの100m走、乳糖耐性、鎌状赤血球などを見れば、民族間で遺伝子レベルに由来する表現型の差異があるのは明らかだ。あとは進化論...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年03月07日
歴史書といえば、政治・文化・戦争などの出来事に焦点を当てることが
主流だったが、本書はそこに遺伝学を加味したアプローチを試みている。
なぜ、人工が増えたのか? なぜ、戦うようになったのか?
なぜ、階級ができたのか? それらのヒントや手がかりとなるなるだろう。
読めば読むほど、飽くなき興味がわいて...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年03月01日
『201112 生物強化月刊』
「人類の精神の斉一性」人間の精神はどのような場所でも同じで、現生人類が約5万年前にアフリカから各地に拡散したときに、人類の進化は止まったという考え方。現在は否定されていて、人類の進化は続いているとされる。
「遺伝歴史学」では、人類の自然選択に影響を及ぼした歴史的要因...続きを読む