いましろたかしのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
田舎でくすぶる冴えない男が、東京が近い未来に大怪獣に襲われるビジョンを幻視して、一人黙々と迫り来る大怪獣との対決に向けて何かできることはないかと模索するという話。
男がたらたら過ごしたり、怪獣のことを考えたり、たらたら過ごしたり、怪獣のことを考えたり……という様が淡々と描かれていく。不思議な漫画。
巻末で作者も語っているように色々と不完全で不細工。いたるところに綻びが見えるのだが、それでも突き放しきれない魅力があって、特に何が起きるというわけでもない話なのだが強く同情・共感させられてしまう。
どうしようもないボンクラがどうかして人生がひっくり返るような一発逆転のカードを手にすることで、ぱっとしない人生になんとか光明を見いだそうとするという構図が『太陽を盗んだ男』的で良かった。
ただやはり未完であることが残念。
最終的にどこにもたどり着けないまま唐突に話が終わってしまっていて、これはちょっと酷すぎる。
今回の「完結版」では最後に2ページ分加筆されてるのだが取って付けた感があって、こんなオチなら尻切れで終わっていた方がいいとすら思った。 -
Posted by ブクログ
漫画家としてのいましろたかしはもう終わったのかもしれない、とこの作品を読んで更に痛感させられた。
緑内障を病んで漫画を描くのが辛いのは理解できるのだが、それを差し引いても漫画の魅力が決定的に欠けてきているのだ。
漫画家に見切りをつけて養成学校の講師に仕事を求めるスタンスは面白いのだが、それを知ってしまったが故に切羽詰まって捻り出しているような今作はやはり読んでいて厳しい。
絵そのものは仕方がないとしても、性病ネタで二回引っ張るとか・・・もうね。
「化け猫あんずちゃん」で盛り返したと思われたその才気をどうにかまた取り戻して欲しいのだ。
また帯にはろくに面識もないであろう4人もの著名人の推薦文が掲載されているのだが、それも無理に盛り立てようとしている感が強くて、何だか寂しかった。
「ちょーとサブカル入っているかなー」と編集者のアイディアを拒絶するくらいのテンションが好きだったのに。
恐らくその帯に釣られてヴィレバンに来た客が間違って買うのだろうが、逆に「何じゃこれ」となりそうな気がする。
唯一評価できる点があるとすれば「びっくりまん」を改題して「引き潮」というタイトルにしたこと。
本人も「潮が引くように読者が減っていく」と思っているような、そんな自覚された侘しさ。