矢内原忠雄のレビュー一覧

  • 武士道

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    ネタバレ

    武士道とは何なのか?といわれたらどう答えるか。新渡戸稲造の武士道は日本人の精神のあり方を外国人に向けて体系的に説明した書物であるということ。

    武士道は武士の精神であるどころか、日本人の振る舞いや考え方に深く影響している。ハラキリだけが武士道ではない。日本人の優しさや協調主義は武士道に根ざしている。日本は災害が起きても暴動が起きづらい。これは一意に他者を慮る精神があるからだ。

    例えばアメリカでは贈り物をあげるとき、贈り物のすばらしさを説明する。日本では贈り物が受け取り手の価値よりも低いというやうに下げて説明する。

    背景には仁、謙譲や礼といった価値観があるからだ。

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    2024年09月17日
  • 武士道

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    今年2024年で、書かれたのは1899年(明治32年)。
    125年前のこと、しかも38歳の時。

    この時代に世界中の文学を勉強をし、そして日本の精神の根本にあるものは何であるのかを、実際にあったことに触れて、またヨーロッパの歴史や文学を引用して描き出されている。この本で日本人の精神道徳の成り立ちが世界的に一段と広まったのだろう。

    あなたの宗教は何ですか? と問われたら
    私は一応 仏教です、と答えるが、日本人の根本にあるのは、封建制度の武士道から裾にひろがった精神なんだと、改めて気が付いた。

    桜を愛でる日本人で良かったな、と思う反面、果たして今の日本人は何処にいる? 何人いる?と探している。

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    2024年05月05日
  • 武士道

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    新渡戸稲造氏が1900年に英語で出版したBushidoを、1938年に矢内原忠雄氏が日本語に訳したものですが、本書ほど欧米における日本理解を促進させた本はないのではないかと思われるほど重要な本だと思います。新渡戸氏は主要読者が英米国人ということ、かつ本人がキリスト教徒ということもあって、武士道の考え方をキリスト教との比較、あるいは古代ギリシャ、ローマ、あるいはシェイクスピアなど英米文学の巨匠の言葉を参照しながら解説しています。そのためか日本人であれば相当の高い教養がないと全文を理解するのは困難なのですが、本書を読んで腹におちるところが多々あり、武士道の思想は現代日本においても生きている、と断言

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    2023年04月26日
  • 武士道

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    義理の解説に納得するものです。

    キリスト教文化圏の人が「愛」を動機として為すべき、と教えられ身に付けている家族や隣人への行為を、
    日本人は、たとえ愛が不足している場合でも「義理」を感じて実践する事が出来る。

    と、僕は理解しました。

    逆に言うと、日本人に「愛」を求めるのには無理があると思いました。
    例えば、「義理」として家族の看病をする日本人に、「愛」を以て看病をしろ。と求めると、少々酷なように思います。
    義理として看病するにしろ、
    愛情をもって看病をするにしろ、
    実際のところは同じ事をしているのですから、あえて
    「愛情を以て接しなさい。」
    と言う必要は無いと思います。

    アメリカのテレビ

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    2023年04月17日
  • 武士道

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    参考文献として読んだ。思っていてより面白かった。アメリカ化に走る現代において、読む価値のあるものだと思う。

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    2021年06月16日
  • 武士道

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    この本は新戸部が、日本に宗教教育はないのに日本人はどのように道徳を学ぶのか問われたことに対して書いたもの
    武士が当時の日本人の道徳的模範となっていた
    知識は学んだものの心に同化して初めて真の知識
    義に過ぐれば固くなる、仁に過ぐれば弱くなる
    義理は正義の道理であり第二義的、礼儀作法は精神的規律の単なる外衣
    →内側の魂の重要性
    忠義は奴隷となることではなく、その良心に従って主君に仕えること
    良心を積み重ねていった証が名誉であり、名誉を何より大事にしたのはその良心を保障するものであるから
    当時の女と男の関係は、武士と主君の関係であり、決して奴隷関係ではない
    当時は個人主義ではなく、家柄や家族は分かち

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    2021年03月07日
  • 武士道

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    まとめ&感想かいてみました

    ☆成り立ち
    武士道は儒教思想や神道、仏教から忠臣愛国の精神や死を受け入れる諦観さ、長幼の序などの各思想の影響を受けていること

    ☆武士道の内容
    義、忠、礼、勇など※それぞれの関係は整理できてない

    ☆武士道が与えた影響
    →武家の女子。進んで自らの人生を自分の家庭に捧げる
    →一般民衆にも義や忠、礼などの内容は受け入れられることになる。憧れでさえ

    ☆武士道の未来
    盛者必衰の理。長くは続かないかも。
    しかし、その精神はどこかに残り続けるだろう(?)


    ☆感想
    鎌倉〜江戸時代の700年間日本の封建社会と共にあった武士道精神は、母たる封建社会制度を失いもはやその面影を探

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    2021年02月16日
  • 武士道

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    日本の道徳の規範はなんであったか?
    その精神の源流に迫るという意味では、日本人として一読はしたい一冊。「緒言」を読むだけでも日本人であることに誇りを持てる。新渡戸が紙幣の顔になったことにも自然と頷ける。

    ただここで注意したいのは、その精神はずーっと変わらず民族の中にあるのだと新渡戸は言う。

    ここで思ったのが、昨今の日本が無理に西洋の個人主義思想に傾こうともがき苦しんでいるように見えること。組織から離れ、自由になり、個人として生きていく。YouTuberや脱サラ、フリーランスのワードが流行ってるのもその例だろう。しかし、日本人の源流である精神には合わないから、「なりたくてもなれない」→ 「な

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    2020年09月05日
  • 武士道

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    名著と呼ばれるから、読んでみた。
    切腹の描写。
    かがみの孤城を読んでいたから「知識でなく品性が、頭脳ではなく霊魂が琢磨啓発の素材として選ばれる時、教師の職業は神聖たる性質を帯びる」は、なるほどなと思った。

    また「けだし女性の心の直感的な動きは男性の「算術的な悟性」の理解を超ゆるが故である、も、印象に残った。読んでおいてよかった。そして、大学生の時に読んだ方が良い本。

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    2024年12月29日
  • 武士道

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    いにしえのSAMURAI(武士)が残した日本の美しい文化(曖昧で不文律)を見事にまとめ上げたのがかの新渡戸稲造先生であった。武士とは何たるかを世界に示し、これを一つのきっかけにして、JAPANESE SAMURAIが世界に名を轟かすことになるのだと考えると非常に感慨深い。私も日本男児(などというと右翼臭いが)の一員として、この美しく儚い文化を後世に語り継いでいきたい。

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    2024年10月18日
  • イエス伝 マルコ伝による

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    青空文庫。
    寡聞にして存じ上げない著者名ではあったが、高木彬光『わが一高時代の犯罪』に、自由主義者のゆえをもって東大を追われた矢内原忠雄教授との一文があり、のちに天下の東大総長による講義録と知って腑に落ちた次第。
    理知的かつ激越な序文からの、本文における博覧強記と信仰熱の融合には圧倒されるばかりだ。
    福音書中最も古いマルコ伝(山上の垂訓の記載もなし)を基点に、他の福音書も随時参照しつつイエスの言行を伝える。
    併読していた『罪と罰』の退屈な中盤に引き換え、こちらは実に面白く、振り返り用のしおりも十箇所に及んだ。

    「付 イエスの復活の記事について」より抜粋→
    "イエスが教え給うたのは、

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    2024年02月11日
  • 武士道

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    武士道を体系的に解説している。だいたい儒教の解説。現代でも大和魂・侍魂などと称されるものがこの武士道精神だと思う。
    将来的に物質面での成功を求める功利主義と道徳はキリスト精神のみ生き残ると予想している。実際功利主義は完全に現代社会の大前提の思想となっている。キリスト教は力を徐々に失い無神論者が増えている。現代の道徳を担っているのはどこなのか自分は知らない。

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    2023年07月12日
  • 武士道

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    儒学の立場から武士道を確立。山鹿素行『武家時紀ぶけじき』1673

    毎朝毎夕、いつも死ぬつもりで行動し、いつも死身になっていれば、武道に自由を得、一生落度なく家職をまっとうすることができる。武士道というは死ぬこととみつけたり。山本常朝つねとも『葉隠』1716 ※佐賀藩士

    武士道とは、戦士階級がもつ高貴な身分に伴う義務・戦士の掟である。卑怯や不正な行動ほど恥ずべきものはない。信実と誠実なくしては、礼儀は茶番であり芝居である。礼節をわきまえ、惻隠の情(同情心)を失わず、私心を捨てる。武士道が重んじるのは行動であり、知識ではない。新渡戸稲造『武士道』1899
    ※ベルギーの学者の疑問「日本の学校では

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    2024年05月15日
  • 武士道

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    冒頭の教授との対話の中で「宗教なくして如何にして道徳を学べるのか」という価値観の違いに、なるほど日本固有の道徳観というものが語られるのだと悟る。
    昔の武士と言えば、野蛮なイメージを持たれがち(特に当時の時代背景を踏まえ、その時代の外国の方から見れば尚更)と思うのだが、弁明するでなく堂々たる文体で描かれている本書は、日本人としては一度読んでおくべきと言われても納得
    新戸部博士の思慮深さもよく伝わってくる。5千円札の人物は伊達じゃなかった()

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    2022年10月02日
  • 武士道

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    ネタバレ

    ・・・「あなたのお国の学校には宗教教育はない、とおっしゃるのですか」と、この尊敬すべき教授が質問した。「ありません」と私が答えるや否や、彼は打ち驚いて突然歩を止め、「宗教なし!どうして道徳教育を授けるのですか?」
    ・・・私は、私の正邪善悪の観念を形成している各種の要素の分析を始めてから、これらの観念を私の鼻腔に吹き込んだものは武士道であることをようやく見出したのである。

    上記は本書第一版の序文からの引用ですが、著者(新渡戸稲造)と留学先の教授との会話の一幕です。これが、著者が本書を執筆したモチベーションだといって差し支えないと思います。
    欧米においてはキリスト教が民衆の倫理観念の根底に位置す

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    2022年02月22日
  • 武士道

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    日本人には宗教がないわけではなく、武士道という精神がある。武士という職は無くなったが武士によって培われた精神が現在も日本人の根底にあるということが分かった。日本文化についての気づきがある良書。

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    2021年09月17日
  • 武士道

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    日本人の精神の根底にあるものの一つが武士道なのかなと読んで思った。武士の生き方から武士が社会に与えた影響、今にもつながる武士道の教えが書かれていた。まだ消化しきれていないが、日本人の心の一部を改めて考えることができる本だった。

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    2021年08月20日
  • 武士道

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    以前現代語訳版で読んだが、今回はなかなかに理解するのが困難であった。言葉自体が難しい為、辞書と共に読み終えた。

    しかし、こちらの方が現代語訳版よりもより著者の考えを感ずる事が出来るような気がした。

    日本人の道徳感はどのように醸成されてきたのか。宗教教育のない日本で道徳はどう教育されるのか。

    日本には武士道精神があり日本人には遺伝的にその道徳観念があると書かれている。

    内容はよく理解出来たし、少なからずその思想は自分にもあるかと思うところもある。ただし、意識してそのような考え方行動をしているかと言うと難しい。

    本書の全てを肯定するわけでもないが、日本人として外国に対し劣等感を持つ必要は

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    2020年08月19日
  • 武士道

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    義・勇・仁・誠・礼・忠義・克己など武士道として大切な事柄を、欧米に向けて古今東西の博識を披歴しつつ説いた名著。日本語訳を手掛けたのは敬虔なクリスチャンであった矢内原忠雄氏。現代日本において吹き飛んでしまったようにも思われるこれらの精神だが、きっとどこかのDNAには残っているはずで、私たちはこれらを呼び起こして、より住みやすい社会にしていかなければならないような気がする。

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    2019年09月25日
  • 武士道

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    かなり難解。海外の文学や哲学をかじっていないと完全に内容を理解するのは難しいと思います。(私も良くわかりませんでした)

    新渡戸稲造の洞察力の鋭さと視野の広さは一読しただけで感じられると思います。

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    2018年10月16日