山下萬里のレビュー一覧

  • 変身・断食芸人

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    ネタバレ

    不条理文学というのを初めて読んでみました。
    どちらもすごく面白かった。

    毒虫:
    起きたらばかでかい毒虫になってるの、普通はなんで!?ってなりそうなところですが、主人公は特に疑問も無しに受け入れてるの面白い。
    家族も主人公が毒虫になったことを受け入れていてすごい(笑)
    私なら主人公が毒虫に食べられたのかなと思って退治してしまいそう。
    家族のために働いてきたのに、変身して毒虫になってから、気を遣われ、どんどん扱いが酷くなっていくの可哀想すぎる...でも、毒虫と共に住む家族の立場になると、仕方の無い扱いだよなあとも思います。

    断食芸人:
    かなり短かったけど面白い。
    断食芸人ってほんとにいたっけ?

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    2023年10月14日
  • 変身・断食芸人

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    よく最初の文が引用されるのもあって、その一文に惹かれて手に取った。
    読み終えて毒虫、についての考察もいくつか拝見したのだが、いつか見たその中の「毒虫になった=使い物にならなくなった」という解釈があったのがとても興味深い。
    朝起きたら、自分が使い物にならない。害にしかならない毒虫になっていた。
    それを踏まえたラストは、救いがなく生々しさを強く感じた。

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    2023年01月25日
  • 変身・断食芸人

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    ネタバレ

    不条理な事態に見舞われている主人公と、その他。この「その他」の者たちは「主人公」をあくまで異物として嘲笑い、恐怖し、排除する。「主人公」は何もできない。
    収録作2篇はこれらの過程が即物的に描写され、その為に不条理が際立つ。だから怖くて、気持ち悪い。しかしながら坦々とした筆致故にグズグズ滞ること無く読める。カフカというジャンルの文学だ。

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    2023年01月29日
  • 変身・断食芸人

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    昔読んだときは思わなかったけれど、カフカさんの話って太宰治に通じるものがある。
    昔は心理学的考察が云々なんて身構えて読んだ『変身』も実はブラック・ユーモアなお話だったんだね。

    ここに収録されていた『変身』のザムザさんも『断食芸人』の芸人さんも最期は自分の死を受け入れている。
    しかし、その受容は他者である読者からすると「それでいいの?」と感じるもので、その感情から読者は自分が亡くなるときのことを考える。

    結局は納得して死を迎えられることは他人がどう思おうと幸せなことなのでは…って気がする。
    上を見過ぎてもキリがないし。
    2編とも奥深い話だな…と少し大人になった今は思いました。
    訳も良かったと

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    2021年10月10日
  • 変身・断食芸人

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    これはハッピーエンドなのかバッドエンドなのか。
    もし明日自分がグレゴールのような不条理に遭ったらどうしよう。

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    2021年07月14日
  • 変身・断食芸人

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    原書名:Die Verwandlung/Ein Hungerkunstler

    変身
    断食芸人

    著者:フランツ・カフカ(Kafka, Franz, 1883-1924、チェコ・プラハ、小説家)
    訳者:山下肇(1920-2008、目黒区、ドイツ文学)、山下萬里(1948-、ドイツ文学)

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    2019年11月14日
  • 変身・断食芸人

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    ネタバレ

    ある日突然虫になってしまったザムザ。
    そのあと戻れるというふうなハッピーエンドにもっていくことも、もっと残酷な仕打ちで終わらせることもできただろうけど、淡々とザムザが死んで、ザムザが必死で支えてきた家族はザムザが死んでくれて喜ぶという流れになっていてすごくリアルな感じがした。
    虫になるというとファンタジーすぎて一瞬ピンとこないけど、これが仕事をバリバリしてて家族から頼られてたのに病気なり怪我なりで働けなくなり家族に今度は面倒をかける側になってしまった
    …と考えるとゾッとする。
    これは結構あることで、自分も自分の身の回りにもいつ起きるか分からないことだから。

    断食芸人も、人に理解されないまま自

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    2019年01月21日
  • 変身・断食芸人

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    「グレゴール.ザムザはある朝、何やら胸騒ぐ夢がつつづいて目覚めると、ベッドの中の自分が一匹のばかでかい毒虫に変わっていることに気がついた」
    あまりにも有名なこの書き出し。
    もう読んだ気になっていて今まで読まずにいたらしい、今回初めて読んだ。読み進めるうちに
    そのうち蚕になるんだろうか?美しい蝶になるんではないかと期待したが、あっけなく裏切られた。
    グレゴールの引きこもった後の家族の在り方がなんとも言えない。よかったと言えばよかったのだろうが、グレゴールのつらくても我慢してやってきた事がすべて無駄だったようで悲しい。否定されたグレゴールが、空回りしている時の自分と重なる。どっと疲れる。
    断食芸人

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    2024年08月10日
  • 変身・断食芸人

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    ネタバレ

    読め、読めと言われていたがなかなか機会がなかった変身をついに読むことにした。
    変身も断食芸人も作中で自らの意思ではどうにもならないような障害に突き当たる。
    両方とも最後は主人公が死に、主人公は何を成したわけでもなければ死後讃えられるわけでもない。むしろその逆だ。
    私はこのようなタイプの小説に慣れていないので、読後の感情は決していいとは言えなかったが、これもおそらく自らの不勉強の致すところであろう。
    10年、20年後に読むとまた違う感を得るのかもしれない。
    話は変わるが、今年2024年はカフカ没後100年にあたるらしい。時間がなくて2、3年後回しにしていたのがたまたまこのような年に読めたことも何

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    2024年04月24日
  • 変身・断食芸人

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    変身について
    ・物語はグレゴールの主観でしかないため場面を想像しながら読むとコメディ的な面白さのある作品だった。
    ・好きな場面は母がグレゴールの部屋の家具を片付けるのを制止するところ。家具が無くなってしまうとグレゴールが人間であった事を否定するのと同じように、グレゴールがグレゴールである事はその周囲の認知によって成り立っている事なのだろうと思った。(グレゴールだけではなく人間全ての話)また、毒虫がグレゴールである根拠などなくそれが結果的に家族の不信感に繋がっているように感じた。
    ・その場で行われてる事の描写が事細かく描かれておりカッティングの悪い映画のような印象を受けてしまった。

    追記批評文

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    2022年10月12日
  • 変身・断食芸人

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    ひきこもりが関係している気がしたがどう解釈するか悩む。読み返すたびに感想が変わる気がする。そこに面白さがあるのかもしれない。

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    2020年08月31日
  • 変身・断食芸人

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    「変身」
    褐色で、多数の足を持ち、はい回るとぬらぬらした体液の跡が残る…虫
    営業マンのグレゴール・ザムザが、ある日とつぜん
    そんな虫に変身してしまう
    聖書の時代なら、そんな不条理も神の試しと捉え
    家族たちも、最後まで献身的であろうとするのかもしれない
    しかしそれを許さないのはおそらく
    世間体の悪さであろう
    つまり「みんな明日の食事にも不安を抱えているというのに」
    「そんな虫を飼っておく余裕が一体どこから湧いて出るんだ!?」という
    世間からの無言の問いかけである
    それを取り繕うかのように、家族たちは働き始め
    やがて、ほかならぬグレゴールの用意してくれた自宅の
    その大きさに無駄を感じはじめる

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    2016年10月12日