南山宏のレビュー一覧
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途方もないスケール感に圧倒される内容だった。
時は22世紀、地球に飛来した大隕石を契機として、小惑星や彗星の活動を監視する宇宙システムが構築されたが、深宇宙から太陽系に向かってくる、ある飛翔体の異常さが見つかった。自然界のものではあり得ない完全な対称系の形状から、探査船がドッキングして調査することが決まる。地球の文明以前の百万年以上も前から飛び続けてきた時間のスケール感、長さ50kmで幅20kmという超巨大なサイズのスケール感、いずれも人智を超えた驚異であり、完全な円筒形という神秘さからも異星文明との遭遇が期待される。
この飛翔体はラーマ(インドの英雄神)と命名され、物語はラーマ内の探索へと進む。回転する遠心力から内部の重力分布が作られていくが、中心軸から外縁に向かっては重力が増していくという不思議な感覚のなか、驚くべき展開が待ち受けている。著者の類稀なる創造力から紡ぎ出される面白さに、ぐいぐい引き込まれながら、先へ先へと期待感が増す。どのような結末が控えているのか、一刻も早く読み終えたい気持ちが高まる。太陽に近過ぎる危険から近日点までにはラーマから離れなければならないが、その後の太陽に向かっていくラーマの運命はどうなるのか。異星文明の驚異、かくありなん、と驚くべき内容ではあるが、妙な納得感に包まれる。 -
Posted by ブクログ
木星付近で発見され、太陽に向かって進む謎の円柱。直径約100kmの物体は「ラーマ」と名付けられ、その動向が注目された。探査船エンデヴァーで到着したノートンたちはラーマの北極の面に着陸し、そこで入り口らしきものを見つけた。その入口を入ると、内側に広がっていたのは、小型の生態系であった…。
古典SFを読む月間。宇宙、SF、物理学、生物学、環境、機械その他諸々を網羅し尽くし、さらには未知の環境を探索する冒険小説も含む、いたれりつくせりの全世代対応のSFである。すばらしい。
ラーマの内部が、まず凍りついているが、回転をすることで重力を生み出しているというアイデアから、太陽に近づくにつれて温度が上昇、その事により大気の対流が発生しての自然の猛威。さらには謎の生物の設計に、それらが生き残っているメカニズムなど、ここまで網羅されているSF作品は、そうそうないだろう。
また、シロアリなどの生物の知識なども細かく散りばめられていたり、稲妻とラーマ自体の動きとの関係など、相当緻密に組み立てられている。
それらが無機質にばらまかれているわけではなく、一章一章をこまかくして、ノートンたちの冒険を印象づけるような、子供向けの記述の配慮や、中盤からの(結局よくわからなかったが)ラーマにおける生命体の出現による盛り上がりなど、数あるSFの中でもここまで要所要所で興奮させられる小説もないだろう。
無機質でハードな宇宙ものというアシモフの難しさで、当たり外れが大きいといいう印象を持ちがちな読者(ワタシもである)は少なくないと思うが、これは間違いなく当りだ。
宇宙版『十五少年漂流記』に、大人も納得するメカニズムである。
「ラーマ人は3つ組でないと納得しない」
続編あるの? -
Posted by ブクログ
ヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス賞/その他、燦然たる受賞歴を持つアーサー・C・クラークの傑作。西暦2130年、未知の人工物体が太陽系に進入し、宇宙船エンデヴァー号の調査隊が探索することになるが、「ラーマ」と名づけられたこの謎の宇宙船は驚異に満ちていた……。
いわゆるファーストコンタクトもので、王道ともいえるセンス・オブ・ワンダーにしびれ、終始ワクワクが止まらなかった。惑星連合や重婚制度など、さりげなく22世紀の未来社会を独自の世界観で描いているのも面白い。これほどのタイトルにもかかわらず、いまだ映画化されていないせいか、一般の知名度は今ひとつな気がする。初代プレイステーションでゲームにはなっているので気になるところ。
2017年に発見された、天体観測史上初となる太陽系外から飛来した恒星間天体オウムアムアのUFO説が、本書を想起させるとして話題になったようだ。 -
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SF界の巨匠アーサー・C・クラーク珠玉の一作は、ヒューゴー賞とネビュラ賞のダブルクラウン。
舞台は西暦2130年。宇宙に進出した人類は、謎の物体が宇宙の彼方から太陽系へ迫りつつあるのを発見する。
当初、小惑星と思われていたそれは、探査の結果、高度に発達した文明による円筒系の建造物らしきものであることが判明する。
艦長ノートン率いる調査隊は、宇宙船エンデヴァー号を、ラーマと名付けられた建造物にランデヴーし、調査を開始する…
すげぇワクワクしながら読んでいた。
クラークの作品には、冒険心というか、知的好奇心をくすぐられる感覚で、常にワクワクさせられる。
というのも、作中で示される建造物内部の構造や、調査隊や学者による推察が極めてリアルなのだ。だから、頭のなかの空想に酔いしれることができる。
さて、以前読んだ『2001年宇宙の旅』や『幼年期の終り』と同様に、本書は、人類と地球外生命体とのコンタクトをひとつのテーマにしている。
クラークは、地球外生命体を人類より卓越した存在に描くことで、彼らが何のために人類の前に姿をあらわしたのか、その目的の究明に焦点をあてている。
そして、その目的には、人類には推し量れない領域があることを示唆することで、宇宙の深淵さを確実なものとし、茫漠な宇宙空間に対する読者の知的好奇心を見事に高揚せしめている。
また、本書におけるコンタクトの対象は、異星人ではなく建造物であり、その目的も遂に明らかになるわけではないが、これもまた知的好奇心を高める要因のひとつだ。
加えて、作中最後の一文。
これには鳥肌がたったなぁ。否応なしにその言葉の真意を探ってしまう…
どうやら続編がある模様。
読みたいけど、真相を曖昧なまま伏せておきたい気もする。 -
Posted by ブクログ
紛う事なき傑作!
ラーマ内での調査(探検)に引き込まれ、その内部世界に圧倒された。
あえて言えば、最後があまりにもサッパリと終わったことで、ラーマの謎は謎として何のヒントもなく残ったことが少しばかり惜しい。
ただそれに関しては、相当に高度な技術を理解しようとしてもそれはできないということが答えなのかもしれないが。
また、読者を妄想の世界へ駆り立てる意図があるのであれば、その試みは大成功である。
ここまで非現実的な世界であるのに、まさに自分が探検して実際に見てきたかのようなリアリティーでもって頭の中にその世界を描けるというのは全くもって素晴らしいことである。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ物語の中の崩壊したアメリカは地球の将来の姿と二重写しになる。バラードの世界は未来に対する預言のようだ。そこにやってきた密航者のウェインと探検隊のスリリングな活躍で再生なるか。
旧式エンジンを積んでプリマスを出た船、アポロ号は七週間かけてニューヨーク、マンハッタン沖に着いた。初めて見る夢の国は黄金色に輝いていた。だがそれはうずたかく積もって街を覆いつくす砂の色だった。一面のブロンズの荒野だった。
太陽にガラスをきらめかせたビルの頭が裾は過去の亡霊のように砂にうずもれ、突き出した先が午後の太陽に虚ろな輝きを跳ね返していた。
「あれは自由の女神じゃないか!!」という叫びもなんのその、海に横たわった女神にアポロ号の竜骨が傷つけられ船は沈みかけたままニューヨーク港にたどり着いた。
湧きかえる船上では、船長は一言脅しかけたがウェインの密航などもうとがめられることもなかった。
船長、機関士、探検隊、科学者と乗組員の希望の国であった夢を全て埋め尽くした砂漠は、今や遠く地の果てまで西部劇の舞台に変えてしまっていた。彼らは狂ったように躍り上がって降り立った。タカラが埋まっているかもしれない。
だがマンハッタン、タイムズ・スクエア、ブロードウェイ、五番街。すべてが見る影もなく静まり返りビルの間から巨大なサボテンが林立していた。
ウェインはとぼとぼとあるいた。
過去のアメリカは世界をリードする国だった。夢の国エルドラド、一世紀が過ぎた今は繁栄の痕跡だけが残ったが。
無尽蔵に見えた資源は徐々に枯渇した。ヨーロッパの官僚主義、社会主義政体だけがかろうじて生き延びた。その国々へヨーロッパへ、移住を決めた人々は東海岸から船に乗り国を捨てて出て行った。
44代、最後の大統領さえも禅寺に逃げ込んだということだった。
最後の一仕事、埋蔵された核燃料は最後の時には爆破して廃棄されたことになっていた。その結果地域的な災害は重なり核被害も広がった。
アジア・ヨーロッパで増大した人口を養うために世界政府は気候コントロールに迫られた、ベーリング海の浅海にダムを築き暖かい水を北極海に流し込み、冷たい水を太平洋に流した。凍土だった北の土地は石炭採掘と耕作が可能になった。一方アメリカは熱帯の海水が押し寄せついにすべてを飲み込み沿岸から砂漠化が始まったのだ。
船長の指示でワシントンまで南下を始める。馬やラバに乗り、砂にうずもれていた使える物資を何とか利用していく。平常なら命を維持することが第一だったが、ブティックには豪奢な服が宝石や化粧品があり、酒やたばこまで見つかった。当時の高級車も貯水タンクの水も、使えるものは掘り出すのだ。
ウェインは命綱の輸送を任され、水や食料を運びついに号令指揮者として一団を率いていく。
船長は割れた船を見捨てた。一行はワシントンからマイアミに向かう計画だった。
ワシントンに着いたがそこも同じく砂漠だった。サソリやトカゲ、空に舞う猛禽類を恐れながらたどり着いた。残った建物に入ってみると二重ガラスで防備された無人のホワイトハウスは居心地がよかった。
そこここに生き残った浮浪者のコロニーがあった。彼らは独自の生き方で命をつないでいた。
スピーカーから声がした。ニューヨークに残った天才機関長はアポロ号の竜骨を修理しその上一基のエレベータ―を修理したという。しかしそこは危ない、残存の核燃料の爆発が続いて放射能は警戒レベルを超えている。
さぁ多少物資に恵まれたここからは、補給して腰を上げて西へ進まなくてはならない。ロッキーを超えて。
サボテンの林には小動物がすんでいた。夢や幻を食って生き延びてきた人々もいた、彼らの人間離れした姿は過去の生活など思いもよらないほど命の危険も増している。
彼らの名前がわけありで面白い。
インターステイトに沿って歩く。西へ西へ今や西部開拓史のように。
山脈に着いたが気候もまるで変わった、山頂に上りきると反対側に雲が見えた下は雨らしい、雨があれば樹木が茂る。生き返った一行は、キリンや猛獣のいる麓のジャングルに着いた。ラスベガス、そこは過去の不夜城のように煌々とネオンが輝き、思いもかけず人が住んでいた。
途中で出会った一団は勝手にエグゼクティブ族と名付けた味のある人達で彼らのそれぞれの名前と活躍も読みどころ。
そこは要塞だった、生き残った小さな国だった。45代と名乗るマンソン大統領がメキシコ移民の少年少女を訓練して兵士として育てていた。
電気設備も、進化した光学機器も通信設備も、最強の攻撃態勢も完備していた。
一行は歓迎され保護されたウェインはお気に入りになった。
一方科学者たちはビジョンを失い、船長は砂丘に消えた、荒野をよみがえらすこと、憧れの夢の国を再建することウェインは大きな幻想に憑りつかれる。
我らの機関長マクネア(気にいったので副主人公にしてしまった^^)が空から現れる、なんと足踏式のグライダー。
薄い箔で作られたゴッサマー・アルバトロスを強靭な脚力で回してきた。スミソニアン博物館から、解体して持ち出し、翼を伸ばして組み立てなおしたという 天才!!面白い!
これがウェインにも役立つ。
出会ったフレミング博士はロボット工学が専門で歴代大統領にそっくりなロボットを作って動かしていた。彼はマンソンと袂を分かったのはマンソンは極度の潔癖症で狂人だという、海外から持ち込まれる細菌を恐れて侵入者と闘い続けているという。
作戦室はどこだろうウェインにもわからなかったが、襲ってくる偵察機をマンソンの少年少女が銃を空に向けて撃ち続けている
先進の破壊兵器、ついにガンシップが飛び出してくる。
作戦室で二機のガンシップを操作するコンソールの前に大統領を見つけた。
カメラ画像には6基の巡航ミサイルと一基のタイタンが発射傾斜版に乗っているのが映っている。マンソンの指はルーレットの待機ボタンの上に載っていた。
緊迫の一瞬。
ウェインは進み出てボタンを押す。砂漠の無人都市を狙って。
こうなるお約束だとしても、海外からの偵察隊の波状攻撃と、迎え撃つマンソンの狂気がぶつかる、そう来なくちゃというところ。おもしろかった。
海流の変化でカリフォルニア、ネバダの州境を過ぎるとロングビーチはよみがえっていた。荒れ地は花に覆われ大デルタから太平洋を見た。
面白いはずでバラード原作の映画がたくさん見つかった。原作ももっと読んでみたいけれど、まだ先は長いとメモをした、めもだらけ。
この世界は物語になって過ぎてしまい、今アメリカは45代大統領の下で元気すぎるほど。いまも資源は問題はありつつも供給できている、
理解できないくらい分科した化学式で作られる石油製品は生活を便利にしたが、やっと海の保護のもとに将来について話し合いが始まったばかり。
追 面白かったので書いておこう、こう来たかさすが人気のSF。
ゴーグルと運転用ケープ姿のハインツは、クライスラーの大型ハンドルにかがみこんでアクセルを踏みっぱなしにし、となりの給炭席に座ったマクネアがスコップですくった石炭を火室の白熱しきった入り口から投げ込むときだけやっとゆるめるのだった。
ウェインは肩越しに後続車を振り返ってみた。GMの運転するビュイックがうしろについて巨大な車輪で砂塵を蹴散らし、二条の蒸気の噴流をまるで怒り狂った鎌髯みたいに、ハイウェイの左右に散らしていく。GMはハンドルに乗り出し気味に座り、そばの機関席では逞しい腕をした若妻が、ゴーグルをかけて眠っている幼い息子を胸に抱えたまま石炭をシャベルですくっていた。ペプソデントの強力なフォード・ギャラクシーはしんがりで水槽車とその屋根に解体されてしっかり括りつけられたグライダーを引っ張っている。放浪民たちの自動車に対する惚れこみようは驚くばかりだが、考えてみれば、彼らこそ真のアメリカ人なのだ
ミシガン湖畔のフォードはなくなったとはいえ砂漠から掘り出した高級車に狂喜乱舞の放浪民と石炭しか使えなくなってそれでも走らす勢いがいい。アポロ号も蒸気船だし。
名前のある浮浪民は最後まで活躍する面白い仲間だった。
海流の変化で太平洋岸は気温が下がって日本も凍り付いたんだって、あら。