ひさびさに恋愛絡みじゃないお話なので、恋愛ものをお求めの方はご注意を。この人のお話で恋愛絡みのお話だと必ずといっていい程、出てくるのはいい加減な奴。かっこ良いけどいい加減。優しいけどいい加減。そんな奴、多し。まあ、読者(少女漫画なのでガール達?)の求めてるイケメンを描いたらこうなっただけかもしれんが、そんなにこんな奴ばかりか〜?と私の中では飽和状態になりつつあったので、この本もそんな奴が登場するんだろうと思って読んだ。そしたら、違った。主人公の身に起きる事々にそれはね〜よ!とつっこみまくるが、そこはいくえみマジック★で起こるものなのだと思い、良しとしとこう。ここで少女漫画論を説いても仕方がないんだけど、最近の漫画は若者しか出てこんね。出てきて、親か先生程度。世の中にはいっぱい大人がいるのにね。少女漫画は年齢制限があるのかと思う程に出てこないが、そういった漫画って読んでみるとおもしろくないんだな。恋だの愛だのがテーマでもいいし、どんなお話でもいいんだけど大人がちっとも出てこないお話は深みがないのよ。自分が大人だから言う訳じゃないが、リアルな世界がおもしろいのは違った世代がいるからだと思うの。同じ世代じゃないと感覚が違う事もあるけど、そこがおもしろいんじゃないの! そこを描きなよ、漫画家!と思うのよね。いろんなジャンルの漫画を読んでると少女漫画にだけ出てこないのよね、大人が。子供だけで世界は回らんわいっ。で、何が言いたいのかと申しますと、いくえみ綾を含め私の大好きな漫画には大人達が出てくるし、年を重ねただけの味があり、話をおもしろくしてくれる。バイ・アンド・バイに出てくる大人達も良い大人ではないかもしれないけれど、味はしっかりとついているし人間のおもしろみをしっかりと見せつけてくれる。1冊まるまる大人の魅力らしきものがびっしりと詰まっていて、おもしろかった。