青田勝のレビュー一覧
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ネタバレエラリー・クイーン・シリーズ
ライツヴィルに住むハワード・ヴァン・ホーン。一時的に記憶をなくすことに悩むハワード。相談を受けライツヴィルに向かうエラリー。ハワードの若い義母・サリー・ヴァン・ホーン。2人の恋とハワードの父親ディートリッチの関係。ディートリッチの本当の息子ではなかったハワード。ハワードの本当の両親の正体。盗まれた宝石箱にかくされた2人の手紙。謎の脅迫者。強請られた2万5千ドル。さらなる脅迫。質に入れられた首飾り。殺害されたサリーとエラリーの推理の結末。9日間の惨劇。1年後にたどり着いた最後の悲劇。
2002年1月7日再読
2011年11月17日再読 -
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「僕は満足していません」。
12年以上前に妻殺しの罪で終身刑となった男。その無罪立証のために再調査の依頼を受けたエラリイ・クイーンが、事件当日の状況を再現した後に吐く台詞だ。あらゆる事実が状況証拠の裏付けをし、男の犯行であることを、あらためて示していた。だが、論理的な疑いがひとつでも残る以上、納得することはできない。初期の冷徹ぶりから様変わりしたクイーンの熱い男気を示すシーンといえる。
中期以降、ライツヴィルを舞台とする物語を展開したクイーンは、自らの探偵に単なる思考機械で終わらない人間性を肉付けし、社会的情況も加味しつつ、作品そのものに深みをもたせた。
発表は1945年。日本を敵国とする中 -
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ネタバレライツヴィルシリーズの4作目
【あらすじ】
ある日、エラリー宛に匿名の手紙が届く。そこにはライツヴィルの富豪の訃報が載った新聞の切れ端が入っていた。そして、別の日に届いた手紙には、先の訃報に関連した人物が行方不明になったとの切れ端が入っていた。
やがて、行方不明の人物の娘がエラリーの元に尋ねてくる。天真爛漫に育った彼女の言動に困惑しながらも、エラリーは彼女と共にライツヴィルで捜査を始める。
【感想】
童謡がプロットに深く関わっている。童謡を使って次の被害者を暗示させる件は、クリスティーの著名作が頭に浮かんでしまう。トリックも少しABC殺人事件(ある規則に当てはめることで真犯人を隠す)に -
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ネタバレライツヴィルシリーズの3作目。
【あらすじ】
ある夜、エラリーの元に旧大戦中に知り合った知人・ハワードが血まみれの状態で現れた。彼は度々、記憶喪失を体験しており、その最中に何らかの犯罪行為に手を染めたのではないかと不安を持っていた。そこでハワードは、エラリーに監視役としてライツヴィルにある自宅に来て欲しいと持ちかける。
【感想】
記憶喪失中に起こった殺人事件を解明する為にエラリーが活躍するのかな?と思っていたら違った。ハワードには記憶喪失の病気以外にも色々と秘密があるようで、その秘密が元で脅迫事件等が起こり、そこにエラリーが巻き込まれてしまうという展開になっている。普段は事件を解決に導く -
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ライツヴィルシリーズの2作目。
【あらすじ】
第二次世界大戦の戦績により、ライツヴィルの英雄に祭り上げられたディビィー大尉。しかし彼は、戦争中の血生臭い記憶と、殺人犯の息子—父親が母親を毒殺した—であることの負い目で、精神に異常を来たしていた。
エラリーはディビィーの妻リンダから、彼の父親が殺人犯で無いことを調べて欲しいと持ちかけられ、再びライツヴィルの地を訪れる。
【感想】
12年前に起こった毒殺事件をエラリーが調査し直すことで、当時表になかった事実を引き出し、その結果、事件の確信が明らかになるというプロットになっている。序盤は父親に不利な情報しかでてこず、苦心するエラリーだが、1つ2つ -
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いわゆる「後期クイーン問題」の代表作というイメージの強い作品。スーパーマンではなく、悩める名探偵である。そのあたりを強調するたのか叙述方法にも工夫が凝らしてあったりして、趣向に対する作者のこだわりを感じさせる。
こうなってしまうと、犯人は一種の神である。この手の「おち」は今となっては決してめずらしいものではない。テレビドラマにだって出てくるパターンだ。クイーンの得意技のひとつでもある。が、それを「意外な凶器」とでもいえるようなレベルにまで持っていくのは、すさまじい力業である。内容はともかく、そのレッテルの貼り方にかなりびっくりした。これでは確かに「悩める名探偵」が生まれざるを得ない。
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町の飲んだくれや大富豪が古い童謡の順番で死んでいくライツヴィルの町。偶然なのか誰かの意図なのか解らないままに進行していく事態に、エラリイが困惑し悩みながら関わっていく。
読み終わってから色々考えてしまう。
これ一回でしかできない物語だと思う。
大きなくくりで見立てものとした場合、本作は奇妙な位置を占めるのでは?
なんだか異様なものを感じる一作。
物語としても二ヶ月以上にわたるスパンで描かれていて、あくまでも疑い続けるエラリイの姿が、異邦人である彼の孤独さをさらに浮き立たせる。
「ライツヴィルでは人々の生活が流れ進んでいく。働き、酒を飲み、争い、和合し、そして死ぬ者もあれば結婚する者もある -
Posted by ブクログ
ネタバレ久方ぶりに手に取ったクイーン。ただ、少々読む順序を間違えてしまったらしく、ライツヴィルが始めて登場する『災厄の町』から読むべきだったのかもしれない。
個人的には本作のエラリイよか、前期のエラリイのほうが魅力的に映る。
私は、「悩む探偵」を魅力的ではないと思う、とは思わない。クリスティの生んだ名探偵ポアロも時に悩んだ(ことがあったように記憶するが)。
ただ、本書のエラリイは少々行き過ぎた「悩み方」をしているのではないか。世間一般の話ではなく、探偵エラリイの話として。これは、本書を読んだ直後の感想であるから、私自身の考え方の転向もあろう。
話としては面白かった。十戒については唐突でな