青田勝のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「名探偵の苦悩」「後期クイーン問題」の極地。なぜだろうこんなに胸が苦しいのは?そうか。エラリーが大好きで、彼は私のスーパーヒーローだったからだ。
血まみれの友人が記憶喪失で、殺人を犯したかもしれなくて、とりあえずライツヴィルに同行したら、脅迫電話がかかってきて、さぁ巻き込まれて大変!?な話。
人物紹介、家族関係、そしてライツヴィル。地味に物語は進み、突如破綻する。エラリーはいつもの調子で、論理的に解決する。
先に待つのは、探偵の終わり。理性の終わりだ。
エラリーの現実は、これまでの功績など無に帰す。
知らずに「九尾の猫」を数年前に読んでいた私は、その先の苦悩を知っている。そして光も。
-
ネタバレ 購入済み
悪夢的。
エラリイ・クイーン『ダブル・ダブル』再読了。中盤を過ぎても"何が起きているか判らない"五里霧中状態に、悪夢を見ている様な感覚に陥る。リーマをあんな処に潜入させたエラリイ、要反省。横溝正史の諸作品との関連も興味深かった。
-
Posted by ブクログ
犯罪研究家エラリー・クイーン・シリーズ全33作中18番目の作品。『ローマ帽子の謎』が1929年の作品ですから、それから19年経っていますので、中期の作品ですね。
初読だと思っていたんですけど、エラリイが語る事件の説明まで進んで、「あれ? このシーンは何となく覚えている」と気づき、エラリイがアナグラムについて説明する段階になって、ようやく2度目と確信したぐらい、まったく事件の概要そのものは覚えていませんでした…。でも、トリックそのものは心理的なのですが、ひねってあってとても素晴らしいと思いますね。これが現代に翻訳されたら、ベスト10には入りますね。☆☆☆☆というところです。と思っていたので -
Posted by ブクログ
アメリカはウエスト・バージニアの片田舎で起きた凶悪な殺人事件に興味を抱いたエラリー・クイーン。その惨状は、T字路に立つT字型の道路標識に、首を切られた死体が磔にされており、被害者宅の扉にはTの血文字が残されていた。「T」とは何を意味するのか。やがて同様の殺人事件が離れた別な地域で起き、単身現場にかけつけるエラリーが事件の謎を解こうと推理を巡らせるが…。NYでの活躍が中心だったエラリーが、クイーン警視とは行動を別にし単身地域を駆け回るところがこれまでと違う点。前半は「T」をめぐっての宗教的象徴、タウ十字架と博学者らしい解釈、古代宗教的な狂信者、裸体主義者村など、事件の異常性を強調するような記述が
-
Posted by ブクログ
さすがのエラリー・クイーンと言いたいですが、今回はさすが以上に良かった!
山火事に閉じ込められるのはいかにもミステリにありそうな展開ですが、ここまで死んじゃいそうなところまで追い詰められるのは、クイーンでは珍しいかと。スリルとスピード感に満ち溢れていて、一気に読めました。
構成のうまさには定評があると思いますが、こういうスペクタクル感もあるんですねー。
幕切れがごくスッキリしてるのも、良き。ちょっと作風が変わったかと思うくらいの新鮮さでした。エラリーは大概おしゃべりが長いのですが、火事のことでアクション対応的な部分が多かったのと、いよいよ、というときに皆の心のことを考えていたのが、わ、エラリー -
Posted by ブクログ
評価高めなのは、全エラリー・クイーン作品の中で一番というか唯一気持ちが揺さぶられる「キャロル事件」が入っているから。「アメリカの悲劇」的なテーマで、恵まれない境遇から努力で這い上がった主人公が追い詰められる悲しさが胸を打ち、愛情と非情、大切な人達を守るための打算や裏切りなど人間の多面性が掘り下げられている。それら全てを受け止めて探偵がとった行動は、国別シリーズの頃から180度変わってフィリップ・マーロウに近い。
短編集のタイトルはクイーンにかけて五編でフルハウスというのが、お洒落で気が利いているけれど、どれがスリーカードでどれがワンペアか?長さ基準?この「キャロル事件」に寄席の小噺的「パラダイ -
Posted by ブクログ
エラリー・クイーンの短編集ばっかり読んでたけどやっぱり長編小説も面白かった。
国名シリーズの中でも傑作といわれている本作はタイトルと中身があんまり関係ないのだけ残念(笑)
私はエジプトとかが大好きやから、舞台はエジプトなのかと思って読んだけど違った。
エラリー・クイーンは本作では最後にはいつも通り素晴らしい働きをするけど最後の最後まで私たちと同じ全くの役立たずやったのが印象的。
短編では40ページくらいで終わらせる為に事件発生から謎解きまであっという間やったから、今回は一体いつになったらクイーンが事件を解決してくれるのかが待ち遠しかった。
あまりにも登場人物が多かったけどいつもながら皆そ -
Posted by ブクログ
ネタバレあらすじ:
クイーン父子は、旅の途中に唐突に山火事に追われ、山頂に逃げる。
山頂にはザヴィヤー外科医の邸があり、そこでひとまず難を逃れ、一夜を過ごす。
しかし、翌日にザヴィヤー外科医が銃で殺害されていた。
死体の手には破れたトランプカードが握られていて。。。
ダイイングメッセージの謎を解いて行く内容。
クイーン父子の推理が数回、ビシッと解決に導けていないのが
読んでいてもどかしい(笑
シャム双生児の秘密の発表が1933年。
80年近く前の作品でも読みやすいのは、何度も翻訳されてきたのと
エラリー・クイーンの文章自体が丁寧に違いない。