あらすじ
殺されたのは国防省のある極秘計画に協力していた博士で、手にはメモ用紙が握られていた。しるされた手書きの文字はEと読めたが、紙片を回転させると今度はMに、さらには3、Wにも見えてきた!博士が書こうとしていた文字とは?ツイストのきいた「Eの殺人」をはじめ、魅力いっぱいの五篇を収める傑作短篇集
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Posted by ブクログ
■作品
3編の中編と2編のショート・ショートから成る短編集。
3編と2編だからフルハウス、なのかな?
■感想
極めて面白い。元々自分がエラリー・クイーン好きというのもあって、突き刺さった。どの作品も全て面白い。
これまで短編集はホームズ時代の作品、キャンピオン氏、黒後家蜘蛛の会、等々色々と読んだが、クオリティが違いすぎるという感覚。
長編でも良いんじゃないかと思える完成度で、中短編なのがもったいないとさえ感じた。収録作品全てが面白い短編集に出会ったのはこれが初かもしれない。
やっぱり自分はエラリー・クイーン作品と相性が良いらしい。
Posted by ブクログ
評価高めなのは、全エラリー・クイーン作品の中で一番というか唯一気持ちが揺さぶられる「キャロル事件」が入っているから。「アメリカの悲劇」的なテーマで、恵まれない境遇から努力で這い上がった主人公が追い詰められる悲しさが胸を打ち、愛情と非情、大切な人達を守るための打算や裏切りなど人間の多面性が掘り下げられている。それら全てを受け止めて探偵がとった行動は、国別シリーズの頃から180度変わってフィリップ・マーロウに近い。
短編集のタイトルはクイーンにかけて五編でフルハウスというのが、お洒落で気が利いているけれど、どれがスリーカードでどれがワンペアか?長さ基準?この「キャロル事件」に寄席の小噺的「パラダイスのダイヤモンド」が並んでいるが、どうピックアップすればここまでバラバラで収拾つかなくできるのか意図が読めず、不思議なほどまとまりがないのが逆に凄い。