佐治晴夫のレビュー一覧
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知り合いに勧められて購入しましたが、不思議な感じがする本でした。私自身は(僧侶が)般若心経を解説する本は以前読んだことがあるのですが、なにか般若心経が量子物理学に通じるもの、宇宙物理学に通じるもの、という感じがしました。さらに般若心経を超えて、松尾芭蕉、宮沢賢治、(キリスト教の)聖書など、生きとし生けるものすべて宇宙の一部であり、自身が宇宙でもある、という世界観を解説されていました。仏教の本を読んでいるというよりは、宇宙の神秘を科学的に解説しようとしたら般若心経に行きついた、というほうが適当な印象かもしれません。繰り返しになりますが(良い意味で)不思議な気持ちになる本でした。
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佐治博士のロマン溢れる宇宙科学の話が学生の頃から大好きだった。命の終焉が見えてきた博士の人生論は、包み込むようにこれからを生きる若者を励まし、真実に目を向けるよう優しく促す。その慈しみに満ちた眼差しの広さと深さは宇宙そのもの。
穏やかに語られる博士の言葉は、バッハのプレリュードに乗って雨だれのように、乾いた心の土に染み渡る。
●からだを構成する数十兆の細胞の内、数千億は一晩で入れ替わる。ということは、昨日と同じ自分は、もうどこにもいないということ。何回でも新しい自分になれる。毎日毎日新しい自分。細胞は壊れたり、造られたり。だから、昨日の自分にくよくよするのさ、まったく意味がないんですね。
●こ -
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私は、ちゃんとゆらげているだろうか?
「物理」と「般若心経」。 一見相容れないように思えるこの組み合わせに、自然と期待が募ります。
物理と仏教の接点は「宇宙」。 そう考えると、両者はぐっと近づいて見えてきました。
なかでも印象的だったのが、「ゆらぎ」についての言説。 ——ゆらぎとは、半分予測できて、半分予測できないもの。
たしかに、私たちの日常もゆらいでいます。 でも、“確実”と“不確実”がちゃんと半分ずつ、保たれているだろうか? 「確実」に偏りすぎてはいないだろうか?
そんな問いを、ふと投げかけられたような気がしました。
もう少し、不確実な出会いを増やしてもいいのかもしれない。 -
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ネタバレメモ
般若心経は、生老病死など思い通りにならない苦しみから解放されるために作られた。
仏陀は、修行によって自分の心のあり方を変えようとした。般若心経は、世界全体の見方を変えようとした。
空の概念により夢幻化。
半分予測できて半分予測できない未来。
生きていくために自然界が用意してくれた大事な性質。
人間は本来集団で生活する生き物。
現代では本来のスタイルからかけ離れたものになってる。
適齢期はない。
今更やってみるのさらをからにかえて今からやってみるにする。
満たされない今の境遇や気持ちを過去のせいにしていないか。本当に過去が未来を決めるのだろうか。頭に残ってる過去という記憶の曖昧 -
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数日かけて、ゆっくりと再読。
物理学者が「般若心経」の世界観を読み解くと、こういう視点や物語が出てくるんだ、と興味深く読んだ。時間や空間、人間存在をとらえるスケールが大きい。
「私たちの体をつくっている物質の主成分は炭素です。これらの炭素は、例外なく、星が光り輝く過程で合成されたものです。そして、それらの炭素は、バクテリアや植物や動物をつくった後、❝縁あって❞私たちの体に取り込まれたのです」
「宇宙に❝はじまり❞があったとすれば、もとを辿れば、この世界のすべてはお互いにかかわり合っていて、独立存在ではないことになります」
決して文学的な比喩ではなくて、人間はまさに「宇宙のカケラ」であり、 -
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深夜ラジオのように少しずつ読みたい本。
般若心経、美しさのルート2の法則、生命の神秘、音楽、過去は新しく未来は懐かしいこと、素粒子、まどみちお、金子みすゞ、宮沢賢治、など話は多岐にわたり、それらの知識のコンテクストを背景に半ば感覚的にまとめてある印象。
一番印象的だったのは、地球のカケラでできた月のおかげで四季と、一日24時間と、音楽が生まれたということ。
お月さんのおかげで自転速度がゆっくりになり、地球さんも大嵐になることなく、耳が発達し、音がコミュニケーション手段になり、言葉が生まれ、音楽が生まれた。
だから、ジェームズ・リプトンの言う通り、言葉は「もっとも貴重な天然資源」と考えても -
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夏のプラネタリウムで、こころを撃ち抜かれた佐治先生のご本。
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そののち、ご講話を聞く機会に恵まれ、またまたズキュンときちゃいました。
「これからどう生きるかで、これまでの人生が決まる」と。
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この本は、読むと、長い宇宙の歴史の中で、いまここに生命をいただいていることへ想いを馳せる時間ができます。
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量子力学や物理学がご専門で、優しく文学的なところがかっこいいです。
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印象的だったフレーズ
「あらゆるものは生命の連続の中に生きる。
その連続の過程をどれだけ充してゆくことができのか、
そこに生きることの意味があるといえよう。」
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