三川基好のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレひとりごと
アガサ•クリスティーさんの作品を初めて読みました。登場人物が多くて(最初名前も覚えるのが難しい)慣れるまで登場人物、役職を見返しました。
本作は自殺しそこねた男から始まり、それぞれが1つの屋敷に集まって何やら起こりそうな雰囲気が漂う中、殺人事件が起こるー。
ゼロ時間の種明かしをされた時、サイコパスの人は1つの事柄だけでここまで用意周到に準備をし実行するんだと思うと怖くなりました
憎い人を簡単に殺めるのではなく徐々に追い詰めてそして思いつく1番の苦しい方法で消えてほしい
その為に、犠牲者が何人いても構わない犠牲者はただの演出という考えが恐ろしいです
ただ普通の人達が理解できないくらいのサイコパス思考、行動を発揮してくれた犯人には感謝です
面白くてすいすいと読めました -
Posted by ブクログ
ネタバレ海の見える館ガルズポイントで行われた殺人。被害者の遺産はネヴィル・ストレンジとその妻に相続されることになっていたが、奇しくもその日館には、現在の妻ケイと前妻のオードリーが顔を揃えていた。時を同じくして、ガルズポイントに客として訪れていた高齢の弁護士が死亡する。心臓を患っていた彼は、何者かがエレベーターを故障中と偽装して階段を歩かせたことが原因で死亡したと見られる。
バトル警視は、不自然なほど揃い過ぎた証拠を検証しながら、甥で同じく警察官のジェイムズとともに犯人を追い詰めて行く。
登場人物の過去や心情を丁寧に描きながら、動機やアリバイを重視したクリスティらしい作品。
クリスティの作品は高齢の人物が「最近の人たちは」と若者の現代的な考えに苦言を呈することがよく見られるが、現代人の我々からみてもネヴィルの考えはかなり自己中心的で歪んでいる。
自殺未遂したアンガスがどのように事件に絡んでくるのかというところが良かったのと、リゾート地の夏の終わりを感じさせる描写が素晴らしい。
ポアロシリーズではない作品でポアロが引き合いに出されるのはなかなか珍しいのではないだろうか。そして最後までトマスが残念すぎる。
殺人は物語の結末。つまり物語は、その「ゼロ時間」に向かって進んでいる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ殺人事件は始まりではなくて、物語の結末、つまりゼロ時間。
館の老婦人が殺された。証拠が出揃い、犯人は明らかかと思われたがバトル警視には引っかかることがあった。スポーツマンと離婚した元妻と現在の妻、友人、親戚、使用人たち。人間関係を追った後に明らかになった真相とは——。
クリスティーはナイルでもそうなのだが、殺人事件が起こるまでのストーリーが読ませる。作中でバトル警視も述べているように、多くの殺人事件を描いた物語は、まず殺人事件が起きてそこに探偵がやってきて、と始まる。しかし本来、誰かが人を殺すには、そこまでに至る物語がある。
クリスティー作品は登場人物が多くてもその一人ひとりの顔がしっかりイメージできるのがすごい。今回も登場人物たちの動きに惹きつけられて一気に読んでしまった。
最初の妻であるオードリーが語る自分の変化。追い詰められて、もう楽になりたいからやってもいない罪を自白しそうになる。現代でいえば精神的DVだろうか。この男女の関係は書かれてから半世紀を超えても新鮮に読むことができる。
この物語の探偵役はバトル警視。ポアロほど個性が強いわけではないが、地道に捜査と考えを進ませていく。物証に乏しい今回の犯人を追い詰めるシーンは、読んでいてもハラハラする。なぜ出てきたのかわからなかった自殺未遂者の登場で一気に展開が進むのもすごいが、その後で彼が持ち出した決定的一打も綱渡りだったことを読んで、さらにクリスティーの筆力に感服。 -
Posted by ブクログ
「殺人は結果であり、物語ははるか以前から始まっている」当然と言えば当然だが、殺人が起こるまでを切り取るのは面白い。僕はクリスティがほとんどのトリックや構成を彼女の時代に生み出したと思っているが、今回も秀逸だ。
バルト刑事シリーズもクリスティの中では有名だが、改めて読むと彼の人間性(無骨だが力強く優しさがある)に惹きつけられる。彼の娘の事件は確かに頭の悪い女教師の暴走だが、それに対してのリアクションがバトル刑事の魅力を思い出させてくれた。
章が変わり、登場人物達の紹介が行われ、彼らは物語の舞台ソルトクリークに終結する。どの人物達も一癖も二癖めありそうな連中ばかり。これからどのように経過が進み、0時間に到達するのか。
クリスティは人物描写、風景描写に定評があるが、今回も館の喧騒の中にいる様な気分になる程熱量を持った描写をしている。クリスティ作品として、動機で一番多いのはお金、愛憎だが、それでも数十の作品を通してオリジナリティ溢れる作品が多いし、今作もそれぞれの人物達の思惑がまるで渦の様に物語の世界を飲み込んでいる様だ。
ネヴィルとケイの夫婦、元妻であるオードリー。不穏な事を打ち明けた後に亡くなった老弁護士。何かを匂わせて殺されるのはクリスティ作品ではよくあるパターンだ。
真相が明るみになり、その後の結末はさすがクリスティと思わされるクオリティだ。
自殺未遂を起こし、自分自身に嫌気がさしていたマクワーターという男性が、伏線を回収し、彼が生きている事に意味を見出し(冒頭で彼が看護婦から言われた千里眼的予言まで回収してしまうとは。また、彼が自分のポリシーを返して嘘をつく部分は温かい気分になった。)最終的に主人公の様になるのはとても良かった。
クリスティは実は悪役はきちんと悪い奴で、不幸な登場人物達は最終的に幸せになる事が多い。
今回も沢山の登場人物達が事件後幸せになるであろう事は、読後、爽やかな気持ちになれる要因だ。
それにしても、犯人が実行を計画した「ゼロ時間」に向けてストーリーが集約していく様子は見事だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルがなんだか未来的?でかっこいいと思ったら、中身はいつものクリスティ的お屋敷ミステリーだったのは少々肩透かしではあったが、とは言え安定の面白さだった。
殺人事件そのものよりもそこに至る人間の物語を主軸にした作品、ってことなんだけどクリスティって割といつもそうじゃない?と思ってしまい、この作品独自の面白さはいまいち見い出せず。
無関係のところから急に飛び込んできて解決の手がかりになるマクワーターの存在はドラマチックで面白かったけど。
結局は事件発生前の男女の愛憎劇を楽しめるかどうかに尽きるのかな、とも思いつつ個人的には『ナイルに死す』や『五匹の子豚』のドラマ部分の方が登場人物に感情移入しつつ楽しめたので、そんなに高評価とはならなかった。
ネヴィルへの愛やケイへの嫉妬を抱えつつ一生懸命平静を装っているようにしか見えなかったオードリーの本心が実は全然違った!というのは面白く、これこそクリスティの真髄のように思う。
ただ、せっかく面白い要素なのに他の要素も盛り込み過ぎて霞んでしまっているかなあという印象。
外側から見て分かる状況だけで、その渦中にいる人の気持ちまで決めつけてはいけないなあと改めて肝に銘じた。 -
Posted by ブクログ
しっかりした和食(横溝作品)が続いて洋食が食べたくなったので、久々にクリスティーを。
ちょうど、”夏の終わりに読みたくなるミステリー”とtwitterで聞いたもので、海辺の館が舞台のこちらを選びました。
殺人は事件が起きるはるか以前から始まっている――。
ずばり、これが今作のテーマです。
殺人犯がいかにして強い憎悪を抱き、どんな計画を立て、そして分厚い仮面の下にそれを隠してあたかも普通の人を装って生活する様を、我々読者に気取られないように書き切ったクリスティーの筆力はさすがとしか言えません。なかなか事件が起きないのに退屈させないのもすごい。
事件が起きて、証言や証拠が集まって、探偵が皆を集めて「さて……」と言う。そんないつものパターンとは異なる読書体験に、脳の違う部分が刺激された気がします笑
それにしても、犯人があの人だったとは……。
それを踏まえて再読したら、そのサイコパスっぷりに背筋が寒くなりそうです。この作品の発表は1944年とのことですが、その時代にサイコパスや精神的DVといった要素を持つ人物を描くクリスティーは、どれほど時代感覚に優れていたというのか。。
今作はノンシリーズとのことで、いわゆる探偵役を務めるのがバトル警視。
娘とのエピソード(一見関係ないように思われる)で、すっかり夢中になってしまいました。
派手さはないものの、堅実な捜査を重んじ、そして自身の直感も大切にする。
そんなバトル警視から、ポアロさんへの言及があったのには思わずニッコリ。二人が共演する『ひらいたトランプ』、早速ぽちってしまいました〜♪
犯人を追い詰める証拠の弱さと結末のラブロマンスはちょっと引っかかりましたが(トマス、いいところがないじゃないか!笑)、でも、これまで他人に傷つけられてきた二人だからこそ今後は幸せになってほしいな。
真相を覚えているうちにぜひ再読したい一冊です。