深見浩一郎のレビュー一覧

  • IFRSの会計~「国際会計基準」の潮流を読む~

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    財務会計は投資家向け情報開示ツールで概念だから、必ずしも財務の実態を表すわけではない。だから粉飾は論外としても財務内容を良く見せるためのテクニックがあるのはある意味仕方ない。これに対してIFRS では極力実態を表すような基準設定を推進するだけでなく、できあがった財務諸表が「真実かつ公正な概観」という規範に則しているかを経営者と監査人に最終的に判断させる。個別の会計基準を満たしてさえいれば、グレーな会計処理をしていいというわけではない、ということだ。これはある意味性善説であり、経営者と監査人に高い道徳的規範を求める。こうした規範は骨抜きになる危険性があり、実運用のためには法律や司法、監査法人側の

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    2012年01月26日
  • 〈税金逃れ〉の衝撃 国家を蝕む脱法者たち

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    近年話題となったタックスヘイブンを含め、国際的な課税逃れに対する警鐘を鳴らしている本。
    租税回避は法律上認められた行為ではあるが、格差拡大を助長する倫理的には問題のある行為という認識で、租税回避の問題点とそれに対する対応策について解説している。

    新自由主義的な流れやビジネスのグローバル化に伴って、税の累進性の軽減や国際的な租税回避が加速しているそうだ。
    新自由主義のトリクルダウン理論とやらは実際には機能していないようで、格差は拡大していく一方である。
    著者は倫理的な面から格差拡大は好ましくないという立場だが、経済的な格差の拡大が経済成長の妨げになっているという研究にも言及する。トービン税や貯

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    2017年08月05日
  • 〈税金逃れ〉の衝撃 国家を蝕む脱法者たち

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    税の公平をないがしろにするフラット化の問題について書かれてある。
    ・その中でに気になったのが、日本の信託制度がその利用方法によってはスイスの秘密口座に勝るとも劣らない強力な魔法陣としての役割を果たすことになるということだ。日本にもタックスヘイブンへの入り口があるというくだり。
    ・最後216ページに著者の強い怒りが感じられる。
    「富裕層の多くは、幼くして安全な環境に暮らしその後、充実した高等教育を受けられたからこそ現在の地位があるはずで、多国籍企業も、社員とその家族が安全で豊かなインフラを享受することで、初めて企業経営が維持継続されているはずである。
    <途中省略>
    国民国家、すなわち民主的福祉国

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    2015年10月03日