近年話題となったタックスヘイブンを含め、国際的な課税逃れに対する警鐘を鳴らしている本。
租税回避は法律上認められた行為ではあるが、格差拡大を助長する倫理的には問題のある行為という認識で、租税回避の問題点とそれに対する対応策について解説している。
新自由主義的な流れやビジネスのグローバル化に伴って、
...続きを読む税の累進性の軽減や国際的な租税回避が加速しているそうだ。
新自由主義のトリクルダウン理論とやらは実際には機能していないようで、格差は拡大していく一方である。
著者は倫理的な面から格差拡大は好ましくないという立場だが、経済的な格差の拡大が経済成長の妨げになっているという研究にも言及する。トービン税や貯蓄税などの導入で、課税逃れに対抗していくべきだとの見解である。
たしかに、富裕層が過剰な課税逃れをしながらも自国の社会インフラを享受するフリーライダーとなるのは許されないというのは分かる。
自分の子孫に財産を残すためだけに課税逃れをするのは、あまりかっこいいことでもないだろう。
ただ、その税金の使い道が本当に満足のいくものであるかは微妙な場合もあると思う。
財団を作って自らの資産を管理することは、単なる課税逃れだけではなく、より良い資金の使い方をしようという意思の表れでもあるように思う。
個人的には、自分なりに世界を理解して税に頼らない公平性の実現をしていきたい。