あらすじ
これまで会計というのは、国ごとにひとつだ、ひとつでなければならない、というのが会計の世界では常識とされてきた。しかし現在、会計における常識の転換、いわゆるパラダイムシフトが進行している。現代の企業会計の問題とは? EU・アメリカの思惑とは? 日本の選択肢とは? 舞台裏の駆け引きを追いながら、「会計グローバリゼーション」の現状を明らかにする。【光文社新書】
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Posted by ブクログ
財務会計は投資家向け情報開示ツールで概念だから、必ずしも財務の実態を表すわけではない。だから粉飾は論外としても財務内容を良く見せるためのテクニックがあるのはある意味仕方ない。これに対してIFRS では極力実態を表すような基準設定を推進するだけでなく、できあがった財務諸表が「真実かつ公正な概観」という規範に則しているかを経営者と監査人に最終的に判断させる。個別の会計基準を満たしてさえいれば、グレーな会計処理をしていいというわけではない、ということだ。これはある意味性善説であり、経営者と監査人に高い道徳的規範を求める。こうした規範は骨抜きになる危険性があり、実運用のためには法律や司法、監査法人側の体制整備が大変だと思うが、IFRS の精神はまともだな、と感じた。(なにかの基準変更=既得権益者に都合のいい変更Only、と反射的に感じることの多い昨今では久しぶりに。)まあ会計の現場は作業量とコストが増えてめんどくさいだろうけど。