咎井淳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
中学生の時に読んで放心した作品。
主人公の婚約者が殺され、犯人を探すために雇った友人の探偵が殺され、原因を探るために自分に好意を寄せる青年医師と行った孤島で、、、あらすじを書くとありふれているのだけれど、被害者の主人公よりも相手役の方が不憫でしょうがない。
似ているものだとオペラ座の怪人を思い出す。主人公の視点のようで、物語としては怪人の一生をかけた破滅を描いたものだ。
この作品の主人公が哀れなはずが、自覚のない、そんなはずはないと思う、行動が相手役の心を揺さぶるは尊厳を踏みにじるわでなんだかイライラしてしまう。
孤島にいる鬼と出会い、鬼になりはててもいいと全てを諦め、そして助かり、最後の2行 -
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某古本屋を探索中にこちらを発見。ファンの中では1番の傑作との呼び声も高い本作、自称乱歩ファンの私なんと未読でした。(ファンの名を返上しよう…)
こりゃあかん!表紙も格好良いし買うぞ!と手に取った私、帯の裏に気付く。「乱歩が遺した最高傑作にして唯一の同性愛小説!」とそれはもうピンクの字で強調されている。
そう言われるとそうにしか見えない装丁(でも本当に格好良くて面陳にして飾ってます)勇気を振り絞りレジへ。
「頼む!裏返さないでくれ!あっ!だめっ、あかん!!いやぁぁあああ!!」
店員さんは気にしていないだろうに、ノミの心臓なのでそそくさと退店したのですが、本作はホラーミステリーの様相を呈した純愛物 -
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ネタバレミステリーでもありサスペンスでもあり、終盤は冒険小説のようでもあり、大変面白かった。
退廃的な雰囲気あり、グロあり、不具者の表現ありで現代ではもう醸し出せない乱歩ワールドにどっぷり浸かりました。そしてBL乱歩と銘打って出されてるだけあって、その乱歩ワールドに加えての道雄と箕浦の関係性に悶えました。
箕浦、君は天性のタラシなのか…小悪魔通り越して大魔王的な言動だったよ…
序盤は密室殺人、衆人環視下での殺人、そして暗号と詰め込まれていて、その謎解きも楽しい。
伏線も綺麗に回収して、すっきり終わるのだけど。
だけど、だけども。
最後切なすぎる。
幸せな自分と秀ちゃんの傍に道雄を呼ぼうだなんで、最 -
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ネタバレすごく面白かった。
江戸川乱歩作品、きちんと読んだのは初めてだったけれど、序盤からしっかり惹き込まれて、最後までずっとハラハラゾクゾクさせられた。
面白かったし、読みやすかった。
現実離れした内容でありながら、実際に起こりうるかもと納得させるだけの説得力があって、どうしてこんなことが思いついて文章にできるのか、本当に天才だと思った。
主人公の蓑浦、おそらく綺麗な美青年で周りの人がつい惹かれて近づきたくなってしまう。
本人もそれをうっすらと自覚していながら、自分に心地よい状況をそのままにしていて、子どものような無邪気さと好奇心、甘えが見える。
実際にいたら本当に愛らしくて魅力的だろうなと思う。 -
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ネタバレ▼あらすじ
どうか僕から逃げないでくれたまえ。
そして僕の友情だけなりとも受け入れてくれたまえ。
僕が独りで思っている、せめてもそれだけの自由を僕に許してくれないだろうか。
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江戸川乱歩に興味こそあれど買って読むまでにはなかなか至らなかったのですが、今回、あのITWシリーズでもお馴染みの咎井淳先生が表紙イラストを担当した事もあってファンとしては買わずにはいられず、良い機会だと思って傑作集1~3まで予約して買い揃えました。
こちらの『孤島の鬼』は“BL乱歩”と紹介されていた事もあってシリーズの中でも特に気になっており、主人公に恋心を抱く諸戸諸戸が咎井先生の手によりまさに眉目秀麗と言 -
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ネタバレ江戸川乱歩は全作読破したわけではないけれど、元から読みやすいので好きでした。そこで、リブレ出版で咎井淳さんが表紙を手掛けた新装版だと聞き、悩みもせずに買った珍しい本。
江戸川乱歩の「芋虫」は有名で、一度傑作選で読んだことがあったので、それに近い雰囲気を纏った作品。ミステリーやホラーのテイストを持ちつつも、諸戸や箕浦の感情の揺らめきの方が印象に残る。
どうか僕から逃げないでくれ、と懇願する諸戸に対し、箕浦は身体を這いずりまわられるような恐怖に拒絶することしかできない。だが箕浦も友人として、頼れる存在として諸戸を信頼していることを否定できない。諸戸はそれに縋りついて、彼に受け止められなくとも想い -
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ネタバレ江戸川乱歩は初めて。
まず序盤から、諸戸と主人公の関係が妖しくてドキドキする。退廃的でアングラで、京極夏彦みたいな作風の祖なのかな、とか思っていたら、哀しい恋の話だった。
私はずっと諸戸が黒幕ではないかと疑っていた。
研究していくうちに生き物の体を弄ぶ楽しさに溺れ、親父と同じことをしようとしていたのではないか、とか、秀ちゃん吉ちゃんのように自分と蓑浦をくっつけようとしていたのではないか、とか。
だから意外とあっさり島の事件にカタがつき、気楽な後日談になり、すっかり油断していた。そこを射抜いてくるラストは切れ味鋭い。
主人公は無邪気で残酷だ。
諸戸の愛は拒みつつも、ずっと思わせぶりである。弱 -
購入済み
BL的な描写はないです
江戸川乱歩らしく、グロテスクな部分もありましたが、そういうのが苦手な私でもなんとか最後まで読めました。BLらしき描写があるとネットやレビューで見ましたが、登場人物の1人がゲイというだけで、そういった接触はほぼないです。これを元にした漫画ではそういった描写がありますが、実際の本編では官能的には書かれていません。主人公は常にヘテロです。私は普段BLを読みますが、BLとしては全くオススメしないです。