岩下博美のレビュー一覧
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大いなる目的の為に、利他的な行為が根底にある自己犠牲をする……「乗り越えた」者の末路。
世間には到底認められない自己の理想の追求の先にあるものとは。
「私が酒を飲むのはね……もっと苦しみたいからなんですよ。私は酒の中に哀れみや悲しみを求めているんです……!」
「非凡人とは新しい思想を社会に持ち込むため…結果旧社会の伝統や倫理…そして法を破壊します-しかも彼らは自分の良心に従ってそれをやったのです」
ここでいう良心、とは世界全体に向けたものかな。小数の犠牲は今後救われる多くの命に比べれば安いものだというような。
罪を背負って生きるのではなく、恥を背負って生きることの苦しみだな。恥は罪を犯すことによって生じる社会的な罰。法律上の罰は救済なのか。実際に目に見える罰だけが救いになるのかな。これは自傷行為と似ている。精神的な苦しみを肉体に転嫁させている。
罪か恥か。ある意味では物理的な罰と精神的な罰か。人間は物理的な罰の方が耐えられるってことだな。これは行動経済学でも証明されている。
精神の死、これが自己犠牲。肉体は生きている。肉体の死の方が楽なんだな。
聖女、主人公の両方は他人のため、という動機で自己を殺して行動していた。
聖女は救いを聖書に求めた。ラザロの復活。苦しみを耐え抜けばいつか救いが来ると思っている。
主人公は大義に救いを求めた。だが世間で一般的なものではない、異端な大義。これは救いにならなかった。理想と現実のジレンマに苦しむ。
理想では、他人の為になり、世界の不平等を解決する正義の人。現実では、自分はただの殺人者。
「僕らは卵から生まれた少年と言う名の鳥なんだよ。卵は世界だ、生まれようと欲するものは一つの世界を破壊しなければならない。
鳥は、神に向かって飛ぶ。」
主人公は飛びきれなかったのかな。
夏油傑は飛びきれた。
話のまとめ
ロシアにも産業革命の波が来、農奴解放例が出て、農民が市民となり貧困から逃れることができそうな……という時代背景。
貧困に苦しむ、いちロシア人であり、法律を学ぶ大学生が主人公。金を溜め込んでいる婆さんの話を聞き、そんなに溜め込んでいるなら、どうせだったら世界の為に使いたいと婆さんを殺す計画を立てるが、そんな自分に怯えていた。
だが、妹が貧困に苦しむ兄の為に結婚するという話を聞き、妹の自己犠牲を見るのが辛い主人公は妹の状況をなんとかするために婆さんを殺してしまう。さらに計画にはなかった婆さんの妹まで。
主人公が前に酒屋で会ったおっさんが馬車に轢かれ、善良な主人公はその人を全財産を投げ売って助けた。おっさんには娘がいて、家族の為に娼婦となった、という主人公と同じ他者の為に自己犠牲をする人物であり、二人は交友関係を持つようになる。
主人公は自身と彼女を「乗り越えた者」と言い、自分を殺して世に尽くすことを厭わない高潔な精神の持ち主だと表現する。
主人公は罪を犯したことによって高熱にうなされた。その後に刑事と会い、論争が始まることとなった。
ここで主人公は凡人と非凡人についての話を始める。
「凡人は現在の世界の在り方を保存する保守的な者たちであり、非凡人はその世界を破壊し新たな思想を築く者たちである。故によりよい理想的な世界を築く為には人殺しも許される。」彼は良心による殺人を認めた。
刑事は言う。「非凡人の良心はどうなるのか?人道的に苦しむのではないか」
主人公は言う。「良心に苛まれているならば、それがその人間への罰である」と。
主人公はますます罪の意識に苛まれ、生きることに恥を感じ始め、ふと通りがかった川に身を投げようとする。しかし、生きることによって受ける恥よりも理想という誇りを捨てることによって生じた恥の方が大きかった為、踏みとどまった。(多分)
彼は母親に会いに行き、別れを告げたあとに事を振り返った。
「母親、妹が俺を愛していなかったらこんなことは起こらなかった」と。
そして聖女(おっさんの娘)に会いに行き、罰を受けに行った。十字架を貰い、十字路にキスをして反省した。道徳的なあり方に従って行動するのに彼は充実感を得ていた。
その後出頭し、物語は終わる。
エピローグ
未だに理想を捨てられず、出頭を踏みとどまれなかったことを後悔していたが、理想を持つことによる謎の病によって彼の持つ理想の世界を見たが、他者をくらい合う世界であり、彼は遂に罪を認めてエピローグも終わった。 -
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(今はまだ読んでいる段階ですが)
面白すぎる
(読み終えました)
びっくりしました。こんなに面白い本があろうとは。
漫画という手法の無限の可能性にも触れることができた気がします。
RGPのようにのめり込む要素があって、すぐに読み切ることが出来ました。心の中の苦悩や葛藤が、一気に外に漏れだすような感覚。これもデトックスのひとつですね。
この本を読んで、本作に挑戦する意欲が湧いて来ました。この本を常に横に携えてね。漫画→本作→漫画→…のように延々と繰り返せるんじゃないかって。そう思えるほど、素敵な作品に出会いました。
私にとっては、映画で言うクリストファーノーランの作品のようにずっと味わっていられるものに出会えた気分です。
この作品の最大の魅力は「人間は普遍的な存在」という点に尽きるかなと。人間はそれだけ奥深く興味深く愛すべき存在であるということです。 -
Posted by ブクログ
究極の恋愛小説を漫画化しました。
世界中の女性を虜にしてきた19世紀イギリス文学の金字塔です。
激しい風の吹く「嵐が丘」は、荒野の屋敷です。
その主人に拾われた孤児ヒースクリフは、
屋敷の娘キャサリンといつしか魅かれあうようになります。
しかし、キャサリンと名家の子息との結婚話を知ったヒースクリフは、
絶望に打ちひしがれて消息を絶ってしまいます。
I cannot live without my life,I cannot die without my soul.
「嵐が丘」の舞台となった「トップ・ウィセンズ」は、
イングランド北部のハワースにあります。
それは、果てしなく広がる荒野の中にある、
エリザベス朝時代の農家の廃墟です。 -
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ネタバレカラマーゾフの兄弟よりも分かりやすかった。
展開が早くて咀嚼が足りない気がしたので、2回読んだ。
漫画にしてくれたお陰で短時間で読めるのはありがたい。
伝えたいテーマは本当にシンプルで、罪と罰というタイトルそのものだった。
何を罪とし、何を罰とするのか。
主張する人間の見方次第で、殺人は正義だと言えてしまうのか。
法的な罰よりも、自らの良心と誇りを傷つけた苦しみが重い罰となって人生にのしかかる。
確かに、戦争で人を殺すことは罪にならないのか?大罪だろ!ってものすごく思う。
国公認なら殺人が正当化されるなんておかしい。
どんな人でも、どんな理由があろうとも、命は奪う権利はない。
こんなに文明が進歩した現代にもまだ、武力で人をコントロールしようとする人間がいるなんて幼稚すぎる。
カラマーゾフの兄弟でも感じたけど、この時代のロシアだからなのか、人々への宗教への想いが並外れて強い。
殺伐として争いが絶えない時代には、「神」という「絶対的な救いの存在」が必要なんだろうな。
キリスト教の、罪を犯した人間であってもその罪を償うことで許されるという考え方って不思議だなと思う。
本作でも、ラスコーリニコフを愛する人達は、彼が殺人者だと知っても「罪を償う事は立派なこと」的なことを言っていた。
「一つの悪行は百の善行によって打ち消される」っていう台詞もあった(これは完全にエゴだと思うけど)。
キリスト教の教え的には、どんな人間も失敗することはあるし、1度の過ちで全てを失ってしまうのはさすがに気の毒だから、再起のチャンスを与えようということなのかな。
「故意ではない失敗」で犯してしまった罪ならわからなくもないけど…罪の程度にもよる気がする…。
個人的には、罪はどれだけ償っても一生消えないから、もしやってしまったら逃げ道ゼロでゲームオーバー、だからこそ初めから絶対に犯さないのが当然だと思うのだが。
そんな信念を持っているがゆえ、私はうっかり自分の言動で人を傷つけてしまうことですら非常に恐れている。
これはちょっとビビりすぎだとは思うんだけど……。
それにしても、ラスコーリニコフはどうしてこんなにたくさんの人に愛されているのか。
こんなに堕落して、身勝手な大義名分で人を殺しておきながら、盗品を何の役にも立てず、ビビったり開き直ったりしておかしくなって。
それでも愛してくれる人がいるって、なんて幸せな男なんだ。
なによりソーニャの慈愛がすごすぎる。
自分を助けてくれた人だからって、人殺しをここまで許し愛せるのか?
ラスコーリニコフが狂っていても、心根は純粋な人だと見抜いたからかな?
「罪」と「罰」もそうだけど、もう1つ「許し」も大きなテーマだなと思う。
たくさんのことを考えされられた作品。
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Posted by ブクログ
ネタバレ原作は上・中・下あるらしいのに、漫画で1冊にできちゃってるのすごい。
漫画でもちょっと難しい内容&1冊にまとめてるからか展開がめっちゃ早い。
金と女に溺れるっていうのはよくあるテーマだけど、残虐だったり強欲な人間の死を願う事は罪なのか?とか、不死・復活など、興味深い内容だった。
原作で読んだらさらにわけわからないかもしれないけど、じっくり読みといてみたい気もする。
イワンが冷徹なようで実は純粋に恋してたり、残酷なようで誰よりも良心の呵責に苦しめられたりと人間臭いところがよかった。
きっと繊細な人なんだね。
ラストはおバカなミーチャも改心しようとしてたり、クソ真面目なアリョーシャが脱走を勧めたり、それまでの彼らとイメージが変わるのもいい。
こんな暗いテーマなのに、ほんのり希望のあるエンディングで、意外と読後感が爽やかだった。 -
Posted by ブクログ
プラグマティズムというワードを最近になって初めて知ったので、とりあえず漫画からという事で購入してみた。
今回のホシの評価についてまず断っておきたい。
本書に対するホシ4つというのは、あくまでも漫画として、物語としての評価であって、プラグマティズムの入門書としての評価ではない。
というのも、純粋に漫画として読んでも十分に楽しめる内容だと思ったので、プラグマティズムどうこうということは抜きにして評価したいと思ったからだ。
プラグマティズムについては、また別の本を読んだ方がよさそうな気もするが、そもそもプラグマティズムという概念をよく知らない人間の感想なので、アテにしない方がいいと思う。ぜひ、ほかの書評を参考に購入を検討してもらいたい。