大島隆之のレビュー一覧
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今から約80年前、日本海軍機動部隊はアメリカ太平洋艦隊の根拠地であるハワイ真珠湾へ殺到、わずか数時間でアメリカ太平洋艦隊を壊滅させた。それから3年半、文字通りの死闘をアメリカをはじめとする連合国と繰り広げ、最終的に本土は空襲により焼け野原となり敗戦。その激動の中、緒戦の真珠湾攻撃に参加した約900名のパイロットたちの大半は命を落としていった。この命を落とした約700名のパイロットたちとその家族を追ったドキュメンタリー番組の集大成ともいえる本が同書である。とかく勝ち負けや将官たちの活躍に目が行きがちである戦史であるが、実際は等身大の人間たちの様々な思いと時代の流れに逆らえず生き、死ぬしかなかった
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真珠湾攻撃に参加した日本海軍パイロット約900人、そのうち半数は1年以内で戦死、生きながらえたのは2割という。不完全な搭乗員名簿から遡る隊員と家族の歴史。
筆者はNHKのディレクター、本書はBS1スペシャル「真珠湾80年生きて愛して、そして」をベースにしたもの。
真珠湾攻撃に参加した搭乗員を残り少ない生き残り、遺族等に取材を重ね、それぞれの人生と家族の戦後を振り返っていく。艦攻で3人、艦爆で2人。未帰還機の数倍の搭乗員の死。
巻末の真珠湾攻撃搭乗員一覧表が圧巻。各搭乗員の戦死場所、日時まで丹念に調べている。戦死者の割合もまた殉職者の多さもバイロットの儚い命を表している。何より簡潔な事実の -
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ドイツ第三帝国時代を生き、当時を色濃く記憶している方々への取材記録です。
激動の時代を青春として生きた彼らが発する言葉には、全く薄れることがない重みがあります。
全体主義がドイツを強くしたことは確かですが、引き返せない場所まで国民を扇動した政府の罪は大きいものです。
民主主義は民主主義を殺すことができてしまう諸刃の剣です。
ドイツはその負の遺産を刮目して後世へ役立てていますが、日本はどうでしょうか。
他国からの不当な指摘は否定して良いと思いますが、自国で負の遺産を正しく検証し認識を広める努力を日本は行っているでしょうか。
遠い昔ではないあの戦争、まだ研究の余地がありそうです。 -
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太平洋戦争が終わって、今年で70年を迎えました。終戦時の指導者達は40歳以上とすると、ほぼお亡くなりになり、兵士として戦争に参加した最年少の方々が20歳程度とすると、現在ご存命として90歳程度。生きた証言を得られるのはもうあとわずかです。
私の祖父は技術者として参加していましたが、5年ほど前に亡くなりました。今から思うともっと戦争の話を聞いておけば良かったと後悔しています。
この本は、ずっと興味を持っていた「零戦」という日本の生んだ最高傑作である戦闘機を軸に、太平洋戦争を見た本で、多くの生き残りの証言が散りばめられていた、読み応えのある本でした。
また、この本の特徴として、ゼロ戦が参加し -
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膨大な資料と関係者インタビューに基づき書かれた労作であり、特攻隊の背景に迫る貴重な内容。
ただ、折々散見される著者の見解はやや左寄りというか、東大エリートらしい、視点の高さがやや鼻についてしまった。
戦後教育を受けて賢い存在であり、上手く国際協調が実現できるのが現代人かのような印象だが、いまの政治家たちの体たらくをみていても…むしろ退化しているのでは?
当時の軍人たちが、明治維新〜アジア一等国までに至るこの日本を守るために必死に戦うこと、軍人は政治に干渉すべからず、天皇をはじめとする首脳部の命令に従うのが職分、といった当時の切迫した心に、批判するのでなく寄り添って欲しかったのがやや残念。 -
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今も全然変わっていない日本
上層部の無謀な作戦立案、保身と責任転嫁、データの改ざんと捏造、真相の隠蔽。。結局そのツケ
を押し付けられたのは特攻隊員と大本営発表のデマを信じ込まされた一般国民。
戦後75年たっても日本人の短所は、全く改善されていない。いったい日本人は歴史に何を学んだ
のだろう?コロナの蔓延という国難に直面してもなお、自らの保身と利権を最優先させ、責任転嫁
と愚策の連発で日本を破滅に導く政府がかつての大本営とダブって見えた。