山室恭子のレビュー一覧

  • 江戸の小判ゲーム

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    歴史学者がゲーム理論に出会った結果、享保、寛政、天保の三大改革がおよそ50年に一度行われた借金棒引き令を、こんなにも面白く見ることができる本が生まれた。貨幣を改鋳する幕府。幕府が利益を得んがための施策と誤解されていたが、小判の退蔵をさせないため崇高な思いがあったことに感動すら覚える。金銀について「この世上の宝を、一己の私として占用し、こっそり隠し置くなんて心得違い」の一文に賛同。金は天下の回りものなのだ。もっとも銀行業のなかった江戸の話ではあるが……

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    2017年08月31日
  • 江戸の小判ゲーム

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    2013/3/30
    面白かった。
    悪名高い江戸の棄捐令や、金貨の改鋳などに、経済合理性とゲーム理論で別の面からの光を当てる。
    芝居めいてちょっと臭いところはあるが、読み易く、心地良い。

    2018/11/6
    再読。
    これ、この視点で映画にしてもおもしろいんじゃないのかな。

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    2013年03月30日
  • 大江戸商い白書 数量分析が解き明かす商人の真実

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    著者は日本史を専門とする研究者。現在、東京工業大学社会理工学研究科教授、という肩書きがまず目に留まる。
    日本史と東工大? 社会理工学、って何だ?
    異質なもの同士の出会いから、今まで見えなかった姿が見えてくる。歴史meets数量分析の1冊だ。

    江戸の商人というとまずはなんと言っても三井(=越後屋)らしい。老舗の大店だ。
    江戸の商人像というのは、三井のイメージでできあがっている部分が多いという。なぜかといえば、三井家には、決算帳簿、為替のやりとり、給与明細など、まとまった形のきちんとした文書記録が残ってきているからだ。そして、ここがもう1つポイントだが、他に、同様なまとまった資料はほとんどない。

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    2015年09月25日
  • 江戸の小判ゲーム

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    ちょいとくだけすぎでしょう、と感じるところが多いし、ゲーム理論もそれほど応用されているとは思わない。が、面白い本である。まあ、これくらいのページ数ではこんなとこでしょう、納得しました。
    内容的には、大変真面目な研究で、近世日本経済史、政治史、に関心のある方、政治・行政に関心ある方、また、江戸幕藩体制下の社会に関心ある方にお勧めです!

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    2013年12月05日
  • 江戸の小判ゲーム

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    江戸幕府の経済政策について、噛み砕いて書かれている本。寛政の改革については秀逸。
    歴史ものについてはめずらしく、数字データや統計グラフが多い

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    2013年10月21日
  • 江戸の小判ゲーム

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    明治維新の評価は過大すぎる。士農工商の身分制度を廃し、無能な幕閣が弱腰外交とその場限りの政治を繰り返していた状況を天皇を中心に近代的に改革した、という認識ははたして正しいのか。この本で分析される「棄捐令(借金棒引き)」「会所(公的ファンド)設立」「貨幣改鋳」という政策は、教科書的には民心を離反させた愚策の代表格として紹介されるが、筆者の分析では決してそうではない。特にチーム(松平)定信のプロジェクトの立案経緯の詳細な解説は、彼ら幕閣がむしろ有能な熱血チームであったことを窺わせる。ちょっと目から鱗。

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    2013年10月10日
  • 江戸の小判ゲーム

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    「市場にいかに貨幣を流通させるか、幕府(公儀)・武家・商人達の興奮のドラマ」という惹句にある通り、旧来の支配ー被支配の階級史観的な見方ではなく、集団間の均衡というゲーム論的な視点から江戸時代の経済政策を捉え直そうとした野心的かつ魅力的な内容。

    江戸時代は投資がない(ないとは言い過ぎで少ない)社会。その中で商人にお金をはき出させるための「棄捐令」あるいは改鋳政策。まさに金は天下の回りもの。金が回らなくなると武士も商人も困ってしまう。一見難しそうな資料を読み下し、軽妙な語り口で一気に読ませる工夫も豊富で飽きない。お薦めの一書である。

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    2013年03月02日
  • 江戸の小判ゲーム

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    江戸時代の金融政策を面白く解説した本。

    江戸時代の歴史研究はかなり進展していて、僕が子供の頃のイメージとは180度違った実像が語られている。この本も、そういう流れに沿った一冊で、江戸時代の金融政策という、「そんなのあったの?」みたいなところから、現代に通じる諸問題に、幕府の人々がどう対処したかが楽しく読めるようになっている。

    天保の改革を主導した松平定信たちが、現代的な「チーム」として生き生きと描かれている前半が特に面白かった。天保の改革といえば、派手な生活を締め付ける……みたいな側面だけで語られているけれども、ちゃんと政策を立案して実行に移し、結果を出すために苦心しているんだなぁと、昔の

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    2013年02月19日
  • 大江戸商い白書 数量分析が解き明かす商人の真実

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    ネタバレ

    大江戸商い白書
    数量分析が解き明かす商人の真実

    著者山室恭子
    2015年7月10日発行
    講談社

    10月に読んだ本。
    著者は東京工業大学大学院社会理工学研究科教授、日本史研究者。朝日新聞の別刷Beで月1ぐらいのペースで連載している記事の書籍版。毎回、数字史料を根拠に軽快な筆致で江戸の商売や暮らしぶりを解説してくれている。読んでいて江戸の町並み、商店、人々の暮らしぶりが見事に浮かんでくるのが不思議。

    江戸時代、商売をする場合は「株」と呼ばれる営業の権利を保有する必要があった。新規に発行されることは少なく、公儀が政策的になにかをするときぐらいなもの。あとは、現在出回っている「株」を何らかの形で

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    2021年03月17日
  • 江戸の小判ゲーム

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    ≪目次≫
    第1章  お江戸の富の再分配
    第2章  改革者たち
    第3章  お江戸の小判ゲーム
    終章   日本を救った米相場

    ≪内容≫
    松平定信の寛政の改革をベースに、江戸後期の日本経済をちょっと噛み砕いて紹介した本(あまりうまくいっているとは思わないが…)。
    お話のポイントは二つ。江戸時代の後半は、武士が威張ることはなかったよ。幕府・武士・商人が各々お互いを理解して、三者痛み分け(もしくは三すくみ)状態で、経済的にやりくりし合っていた。ということ。この話を寛政の改革期の「棄捐令」を題材にドキュメンタリー風に紹介してます。
    第3章は経済に疎い私にはややわかりにくかった。終章は、幕府が風前の灯のと

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    2013年03月06日