山室恭子のレビュー一覧
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著者は日本史を専門とする研究者。現在、東京工業大学社会理工学研究科教授、という肩書きがまず目に留まる。
日本史と東工大? 社会理工学、って何だ?
異質なもの同士の出会いから、今まで見えなかった姿が見えてくる。歴史meets数量分析の1冊だ。
江戸の商人というとまずはなんと言っても三井(=越後屋)らしい。老舗の大店だ。
江戸の商人像というのは、三井のイメージでできあがっている部分が多いという。なぜかといえば、三井家には、決算帳簿、為替のやりとり、給与明細など、まとまった形のきちんとした文書記録が残ってきているからだ。そして、ここがもう1つポイントだが、他に、同様なまとまった資料はほとんどない。 -
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江戸時代の金融政策を面白く解説した本。
江戸時代の歴史研究はかなり進展していて、僕が子供の頃のイメージとは180度違った実像が語られている。この本も、そういう流れに沿った一冊で、江戸時代の金融政策という、「そんなのあったの?」みたいなところから、現代に通じる諸問題に、幕府の人々がどう対処したかが楽しく読めるようになっている。
天保の改革を主導した松平定信たちが、現代的な「チーム」として生き生きと描かれている前半が特に面白かった。天保の改革といえば、派手な生活を締め付ける……みたいな側面だけで語られているけれども、ちゃんと政策を立案して実行に移し、結果を出すために苦心しているんだなぁと、昔の -
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ネタバレ大江戸商い白書
数量分析が解き明かす商人の真実
著者山室恭子
2015年7月10日発行
講談社
10月に読んだ本。
著者は東京工業大学大学院社会理工学研究科教授、日本史研究者。朝日新聞の別刷Beで月1ぐらいのペースで連載している記事の書籍版。毎回、数字史料を根拠に軽快な筆致で江戸の商売や暮らしぶりを解説してくれている。読んでいて江戸の町並み、商店、人々の暮らしぶりが見事に浮かんでくるのが不思議。
江戸時代、商売をする場合は「株」と呼ばれる営業の権利を保有する必要があった。新規に発行されることは少なく、公儀が政策的になにかをするときぐらいなもの。あとは、現在出回っている「株」を何らかの形で -
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≪目次≫
第1章 お江戸の富の再分配
第2章 改革者たち
第3章 お江戸の小判ゲーム
終章 日本を救った米相場
≪内容≫
松平定信の寛政の改革をベースに、江戸後期の日本経済をちょっと噛み砕いて紹介した本(あまりうまくいっているとは思わないが…)。
お話のポイントは二つ。江戸時代の後半は、武士が威張ることはなかったよ。幕府・武士・商人が各々お互いを理解して、三者痛み分け(もしくは三すくみ)状態で、経済的にやりくりし合っていた。ということ。この話を寛政の改革期の「棄捐令」を題材にドキュメンタリー風に紹介してます。
第3章は経済に疎い私にはややわかりにくかった。終章は、幕府が風前の灯のと