唐津一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
良書 マキャヴェリの「君主論」入門書である。東に韓非子あり、西に君主論ありなのです。
冷徹な理論にもとづく考察であり、君主とはどうあるべきかとのあるべき論ではない。
君主論は、ひと言でいえば、人間研究の書である。政治における現実を客観的も物語っただけである。進歩はつねに事実を直視するところから始まるものであって先哲の字句の解釈からは生まれない。
マキャヴェリもダ・ヴィンチや、ダンテ、コペルニクスとともに、教会と先哲の亡霊の威圧を排除して、ふたたび人間に真の意味の人間性を取り戻すべく努力したルネサンスの人々の一人なのである。
本書は、君主論のエッセンスを6章にわけて、目的別に解説をしている。
気になったことは以下です。
・企業経営は、つねに事実との戦いである。経営というものはすべてが人によって行われている。その本人の責任を追及しないかぎり、けっして改善はされないだろう。人と人との戦い、これが経営の実態である。
・従来の行きがかりとか、人情とかいったものにこだわっていたのでは、会社はつぶれてしまう。利潤を目的とするならば、手段を選ばないことを、みずから裏書していることに気がつくであろう。
・経営の問題を解決するためには、道徳その他の制限のワクをはずして、問題を解決するための本質をついていくことが必要である。
・「愛されるより、恐れられるほうがはるかに安全である。」。人間は、自分を愛してくれる者に危害を加えることはためらわない。とくに、愛情が憎悪に変わった瞬間に、ふつうでは考えられないような行為を平気で犯すものである。
・少数精鋭主義、知恵のないやつに、いくら聞いてもむだだ。一握りでよいから、知恵者を慎重に選定して、その人々の意見に耳を傾けよ。
・側近とは手足ではなく、頭脳である。君主は決定者であり、また、実行者でなくてはならないが、それに至るまでの着想の源泉として側近がいる。君主の頭脳の程度を推し量るに、側近はもっとも効果的な尺度である。
・たとえ一芸に秀でていても人間的な欠陥があると、これを遠ざけたがる人がいる。しかし人間的欠陥は公的社会においては二の次にすべきである。
・法とは、組織における評価のルールである。組織における人は、ルールによってつくられる。際限の移譲とは、部下に決定権を与えることである。際限を委譲するものは、その部下について人事権を持つ。部下が思うようにやらなければ、その部下を首にすればいい。
・臣下が命を惜しまずに遂行するようになるためには、なによりも君主に対する信頼感が大切だ。
・経営における管理の秘訣は、信賞必罰である。罰は衝撃的であるべく、賞は、細く長いほうがよい。
・獅子身中の虫は、危険が察知されたなら、できるだけすみやかにその根を断つことである。不平を満足させるか、または、不平家そのものを排除しなければならない。
・裏をかくことを成功させるためには、相手の手のうちをさぐる必要がある。しかし、それは直接さぐらなくても、過去の戦歴を調べればだいたいの見当はつく。
・才能や運よりも、狡猾で如才ないことが必要である。
・強いものと手を握ってはいけない。強い者と手を握ってもたとえ勝利を得たところで、自分の手柄にはならない。
・相争う2つの勢力があって、そのどちらに組みするかを決めるは、どっちつかずではいけない。それは一見賢明のようで、はなはだ危険である。タイミングよく旗幟を明らかにしたほうがいい。勝利者は、何か事が起こった時、その手助けにならないような者を自分の友人とは考えないからである。
・競争の場においては、敵は味方しかない。敵に回すということは積極的なマイナス要素が増えるわけで、その攻撃をささえるための勢力を別に用意する必要があるということだ。
・弱肉強食の世界においては、自分の弱みを見せることは絶対に禁物である。だけかが助け起こしてくれることを期待して弱みを見せてはならないことは明らかである。
・権力を得ようとする者は、他人の恨みを一手に引き受けてくれるような悪役を必要とすることがある。自分は常によい子にならなければならない。
・決めたことをぐらつかせることはいけない。多少誤った決定であっても、それを断固として実行するところに、新しい知恵がわき、成功への糸口が見いだせる。実行力をもたない経営者は必ず失敗する。自信過剰なくらいでいい。
・次世代の後継者を育成することは経営者にとって重要な仕事である。その際に、自分と次の経営者のあいだに存在するすべての幹部の首を切ってしまうのが通例とされる。
・迫害をうけるとおもっていた者から恩恵をこうむると、より強い義理を感じるものである。
・兄弟は垣根内ではけんかをしていても、外敵には一致してあたれ。
・民の心を知るには民になってはいけない。君主となって初めて民の心がわかる。
・組織の戦いとは、すべて知恵と知恵との戦いである。反乱者のふりかざすロジックは、自由とむかしの特権を口にすることである。
・部下は自分の将来の発展を保証してくれるような管理者を敬慕することを忘れてはいけない。
・共栄共存とは一時的な力の均衡の上にのみ存在する。相手と手を組むにせよ、それは一時だ。
・弱いものは滅ぼされる運命にあり、自らつよいものを手助けするものは自殺に等しい
・追い詰めると神に近い能力を発揮することがある。それをさせないためには、①相手に逃げ場をつくっておく、②みずからをそのような極限状態に追いこむことで成功の原動力とする
・運命はみずからの手でコントロールすべきものであって、それは可能である。
・大義とは経営の理想であり、現実とは、経営の現実である。大義のために現実を顧みなければ必ず滅びる。
結論
・毎日は現実との戦いである。そこで持つべき理想は現実とかけ離れたものであってはならない。長期計画があっても、やはり重視すべきは、短期計画である。
目次
文庫版へのまえがき
まえがき(旧版)
序章 マキャヴェリの現代的意義
1 「君主論」におけるマキャヴェリの人と思想
2 現代企業と「君主論」
第1章 臣下を使うの巻
第2章 地位を得るの巻
第3章 地位を保つの巻
第4章 反乱を防ぐの巻
第5章 領土を拡大するの巻
終章 未来を支配するの巻
ISBN:9784569567976
出版社:PHP研究所
判型:文庫
ページ数:196ページ
定価:447円(本体)
発行年月日:1995年09月
発売日:1995年09月14日 -
Posted by ブクログ
名著であります。著者に感謝します。仕事をする上でも大変重要な指針を与えてくれます。
フツーに考えろ、フツーに。余計な風評にとらわれるな。騙されるな。ゼロベースでしっかり考えろ、と教えてくれます。
「何が本当の強みで、何が本当の問題点かは、丹念にデータを集め、現場を歩いて回ればおのずと見えてくる」(p.62)
その通りですね。しかも読者私にしてもサラリーマンでありますから、そういうデータや現場にアクセスできる機会はあるわけだ。なのに出かけなかったり、データにあたらなかったりしていてはもったいない。自殺行為なんですよね。報告だけ待っているような輩、コンサルタントに依存している輩…こういうのは職業倫理に欠ける。道義に反するんだなあ。
最後の一言が「現場現物主義だけが成功の手段である」(p.204)です。いまの御時世には重要な考え方です。
マスコミに対する厳しい論評は賛同申し上げます。「言論公害」(p.184)「マスコミ不況」(p.188)いいですね。 -
Posted by ブクログ
筆者は日本の産業界・経済界の発展にも大きな影響を与えてきたシステム工学者、評論家だ。残念ながら私は知らなかったがパナソニックの松下幸之助やソニーの井深大などとも関係があり、品質管理の手法を生産現場に取り入れるなど活躍された方だ。そうした日本経済を作ってきた歴史的な人物達と行動を共にする事で学んだ、人を説得するという技術を惜しみなく紹介していく。人だけでなく生物全般が外部からの情報をもとに活動していると捉え、であるなら、人と人との接触、コミュニケーションの中に人間活動は成り立つとする。だから相手に何かをやってもらったり、自身が何かするたもの同意を得る事、即ち説得こそが成果を生み出すきっかけとなる。
前述した偉人達は説得の技術に長けていたわけであるが、何故その様な技術を持っていたのか。勿論相手が納得するだけの正確かつ事実にもとづくデータ量は重要だ。それを用いて相手に伝えるロジカルな思考も外せない。だが一つ大きな要素としては、相手を説得して何かを成し遂げたいという強い気持ち、信念がそこには欠かせない。また絶対にそれは実現できるという確信がなければ、自信や信念は生まれない。
大きな事を成し遂げるには何より信念に基づく説得が重要である事を一貫して紹介していく。その上で現代社会においては、コンピュータ処理による正確性や表現力の強化にも適応し、それを使いこなす事が重要となる。本書が書かれた1999年という年を考えれば、Windows95が出て間も無く、プレゼンツールもそんなに大した事が出来なかった時代にも、そうした先見性の高さに舌を巻く。
中々時代が進んでも人間同士が協調して仕事が完成することは変わらないから、今読んでも古さを感じず納得感を持てる。 -
Posted by ブクログ
以前読んで、情報について非常に印象に残った内容があったので再読した。
元禄時代に、赤穂浪士による吉良邸討ち入り事件というのがあった。ご存じのように、江戸城の殿中で赤穂潘の殿様・浅野内匠頭が吉良上野介を斬りつけたことが事件の発端である。
その日のうちに浅野内匠頭は切腹ということになった。これは大事件である。現代ならすぐさま国許に電話をかけたり、インターネットを使って知らせるわけだが、当時はそんな便利なものはない。そこで早駕篭を仕立てて、播州赤穂の城まで一目散に知らせに走った。しかし当時の記録を見ると、到着までゆうに四日はかかっている。
この四日間の赤穂の人たちのことを考えていただきたい。殿様は、即日切腹した。ところが、赤穂の人たちは何も知らない。早駕篭が着くまでの四日のあいだ、赤穂の人たちにとっては、江戸で死んだはずの殿様はまだ「生きている」のである。そして早駕篭の知らせが着いたそのとき、赤穂の人たちにとって殿様は「死んだ」のである。
このように、あることが起きていても、そのことについての情報を手に入れるまでは、そのことがなかったのと同じ状態にあるということだ。いい換えれば、情報とは、それが到着、あるいはそれを入手したとたん、環境を一変させる力をもつ。もちろん、到着しないかぎり、なんの力ももたないのである。(p34)
という部分である。
当時、これを読んで情報についての概念を一変させられた。
他にも情報やデータの扱い方など、過去の出来事を例に分かりやすく書かれている。 -
Posted by ブクログ
説得の実例が面白く参考になる。それ以外にも興味深いトピックあり。
以下注目点
・ドイツ原発廃止も簡単でなはい様子。フランスにならって35時間労働にすることをぶちあげているようだが、実行できる策は無い模様。一方、自動化の進んだ日本の半導体工場では週36時間勤務を実現しているところもあるとのこと。24時間フル操業のシフト性の話なので、単純な話ではないが、フランスの役人にその話をしたら絶句したとのことで、フランスでも35時間労働の実現はさすがに難しいことが分かった。
・マニュアル主義の問題点に触れているところが、面白い。日本はかつてその解決にQCサークルを使っていた。
・あなたと私は意見なり考え方が一致していると思わせることが説得に重要。ねじ伏せては、相手に悔しさが残るだけ。
・同じ話題を持っていることが、話の分かる奴になるコツ。
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Posted by ブクログ
p59
どんなプロジェクトでもそうだが、まずその目的を徹底して分析すること、そしてどのよ
うな結果人なったら成功したといえるのか、という評価システムを明示することが大切である。
その際、どんな条件やしがらみにもとらわれてはならない。原点に戻って、理想を追求するべ
きである。
じつは、何のためにそれをやるのかという目的を検討する段階で、成否の90パーセントが
決まるといっても過言ではない。これをつきつめていくと、結局、プロジェクトを組んでかか
るほどの問題ではなかったというケースも少なくないのである。
p68
報告書というものは分厚ければ分厚いほど、多くの情報がつまっていると思いやすいが、そ
の中身がすべて自分の知っていることばかりだったとしたら、そこから受け取る情報量はゼロ
に等しい。逆に、たったひとことしか記されていなくても、それが読む人に大きなインパクト
を与えることもある。これが、「情報量」の定義である。
すなわち、文字の多寡だけでは情報量の大小ははかれない、「受け手が知らなかった内容をど
れだけ伝えているかが」が、情報量のものさしになるというわけだ。ただし、これだけではまだ
不十分である。じつは情報量というものは、受け手の「予測」をどのくらい覆すかという点に
価値基準をおくべきなのである。
p73
重要なことは、目的をもって、意識的に自分の知的体系を拡大していくことである。
もちろん、自分の専門分野だけでは間に合わない。むしろ専門外のあらゆる分野にわたって、
そうした知的ストックを充実させる必要がある。これにはいい方法がある。
「得手に帆を揚げて」という言葉があるが、要は専門分野や得意分野をテコにして、周辺分野
を征服していくという方法だ。たとえば数学が専門なら、英語で書かれた数学の本を読んで、
英語をマスターするとか、将棋や以後が趣味なら、対戦用のコンピュータ・ソフトに挑戦して、
パソコンの技能をブラッシュアップするといった具合である。
いずれにせよ、その動機付けになるのはやはり好奇心だ。
p78
現状に満足して、何事も「これでいいや」となったら、もう本当にボケてしまいそうだ。す
なわち、人間の脳の働きは「心配する」ことによって活性化されるわけである。
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序章 問題解決とは何か
時代とかけひきした男
戦いを避けるために、戦いに備える
環境への適応が問題解決の本質
問題は利害の対立から生まれる
「死の承認」が暗躍する世界の現実
アジアの論理は「人権」よりも強し
国際競争を勝ち抜く切り札とは
マスコミは日本の実力を正しく伝えていない
品質を上げれば原価は下がるという真実
「技術タダ乗り論」のウソ
原理だけでは新商品は生まれない
第1章 思考の進め方
意思決定の条件とは
情報不足から生まれる短絡思考
思考を進める四つのプロセス
共通の目的と言葉を持つ
警察庁を困らせた質問
目的によってまったく異なる解決策
稚拙な問題解決「コロンブスの卵」
「仮説検証型」思考の欺瞞
原点に戻れば役所も変われる
その道のプロほど目的を見失いやすい
報道番組の歴史を変えた「ニュースセンター」
日本の農業は「新幹線方式で救える」
第2章 情報戦を制する
経済情報活動に乗り出したCIA
ある産業スパイ事件の教訓
「情報量」とは驚きの大きさ
きょう考えることの95%は昨日と同じ
「誰に」「いつ」伝わるかで価値は一変
情報は集めなければ集まらない
好奇心が知的ストックを豊かにする
見ていないものは思い出せない
心配する人ほど長生きできる
重量だけで原価を言い当てた”神様”
情報と経験の蓄積からパターン認識が生まれる
現場現物主義こそマーケティングの基本
偶然も必然と説くマスコミ報道
大数の法則と層別の原理
平均値では語れない街・東京
データが表しているのは実態の一部に過ぎない
情報を捨てる-パレートの法則
第3章 アイデアを設計する
「こうすればこうなる」という予測
マッチングがアイデア開発の要諦
何をいまさらITか
沖縄の経済活性化は「距離」の克服から
問題をチャンスに変えた国・アイルランド
用途開発なくしてIT革命なし
ほとんど知られていないシーズのすごさ
技術は明日の社会を築く原動力
差別化と集中によって情報量を極大化
”特注品”に活路を求めた隙間戦略
古い技術が新しい技術の種になる
隙間は目立たないからこそ隙間
売上げよりもシェア独占を目指せ
第4章 決断の方法
チャーチルのスケープゴート
「策士、策に溺れる」の危険
天皇に口止めした企業秘密とは
いま打てる手から打っていく
ロシアで蝶が羽ばたけばアメリカで嵐が起きる
生命体は「サイバネティクス」で動く
おおまかに発射されるミサイル
フィードバックの輪をまわせ
マニュアル主義を超えた日本式経営
誉められても使われない技術
目的と手段を取り違えてないか
交渉の成否を握るBATNAの理論
交渉は手の内を知られたら負け
譲歩を引き出すミスター・ニエットの交渉術
不確実性をヘッジする「ミニマクスの原理」
日米勝負の分かれ目
第5章 IT時代の落とし穴
加工された情報が失ったもの
俳句は情報圧縮の芸術
スケルトンニュースとは
日本語の4割は”必要なムダ”
ものをいいすぎる数字に要注意
数字のトリックは数字で打ち破れ
技術の世界ではアメリカも潔く負けを認める
「失われた10年」説はウソだった
実際はきわめて低い日本の輸出依存度
貯蓄大国・日本のパラドックス
「空気」で移ろう個人消費
日本人の消費は「ゆとり」へ向かう
IT関連の消費はまだまだ少ない
なぜ東京の商店街が阿波踊りをはじめたか
POSデータの解析でわかった意外な購買動機
個人の意思決定は理屈で割りきれない
論理的な解決策だけが解決策ではない
問題解決の力学 -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
どうすれば説得の達人になれるのか?
いかにも「説得された」と相手に思わせずに事を運ぶ方法とは?
情報を武器にする「説得の法則」。
力ずくでも、情でもない。
情報の威力で武装した<最強の説得>とは!?
無理強い、詭弁では人を動かせない。
説得の成否を分かつのは、押しの強さでも情でもなく、「情報」の使い方である。
相手の翻意をうながす決定的な情報とは何か?
困難な状況を乗り切り、一つの目的を貫徹させる交渉術とは?
欧米との丁丁発止、歴史に残る究極の説得など、数々の具体例から説得の「法則」が明らかになる。
[ 目次 ]
序章「実践的説得の技術」
第1章「説得とは何か」
第2章「科学的説得の技術」
第3章「説得の達人たち」
第4章「説得の現場」
第5章「デジタル時代の説得術」
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]