笹井一個のレビュー一覧
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ウェブ小説からの書籍化ですが、他の作品群とは一線を画する、重厚な騎士道ものです。メシテロ要素が目新しいですが。ベースとなる騎士道冒険譚は、結構がっつり。
従士から騎士になる流れとか、決闘とか、財産の略奪権とか、実際の中世ヨーロッパ史からひっぱってきた設定が巧みに取り込まれているので、世界の重厚感が感じられます。
主人公が年配の男性というのも、好きな設定です。最後まで、一番好きなキャラはバル度でした。
そして、気軽な旅だったはずが、あっちこっちで戦闘をし、後の伝説にと変貌していくドラマがおいしい。
騎士道ものといえば、やはりほしいのは貴婦人とのロマンス、プラトニック、両想いか、両片 -
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久しぶりに、童心に帰ってファンタジィを読んだ気がする。
ひとつひとつのエピソードが、幼い頃に夢見た魔法と冒険の旅を彷彿とさせる。
しかし破天荒&単純な強さで読者を置いてきぼりにすることはない、という安心感を最初に得られた。
ただ才能に頼った強さなんてなくて、あったとしても、そんなものは呆気なく崩れ去るものだという現実を知った今、人間の強さを裏付けるに足るのは経験と実績、培ってきた人間性である。
そして明日も生きていく、その理由には、一途な愛と、美味しい料理が不可欠だ。
大人になった今だからこそ、ジャルチャガの真っ当ではない魅力や強さも理解できる。
大人も満足できるファンタジー、とい -
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ネタバレ主人公バルドはお爺ちゃんだし~と毎回思うのだが読みだしたら止まらない。味のあるストーリーとメシウマ描写、味のあるイラストにノックダウンされます。
もちろん過去のある凄腕剣士のカーズの居ますし、ここぞと云う所で活躍する盗賊のジャルチャガも大好きです。
要所要所に女性の影もありスキのない物語です。
今回は辺境競武会での試合や歌にバルドもカーズもドリアテッサも活躍します。新登場のシャンティリオンと水戸黄門の世直し旅もどきもします。魔剣の謎も解明です。
外伝は『レイリアの恋』ザイッフェルト・ボーエンの息子ティグエルトと、ゴドン・ザルコスの姪レイリアの恋バナです。 -
ネタバレ
面白い。続きが早く読みたい。
バルドって、老騎士なのにバイタリティがあふれてて、壮年期の人に勝ってしまうので凄い。
バルドの若き日の恋は実らなかったけれど、実ってしまっていたら王太子はいなかったわけだから、彼にとっては爺や(じいや)が今この時にいてくれて助かってるよねぇ。ところでジュルチャガのくだりが少ない。もっとジュルチャガの出番を出してほしかった。 -
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パルザム王国での諸事を描き、中原に巻き起こる戦乱の始まりを描いた今巻は、一言で言うのなら、大変面白かった。いま現在読んでいるシリーズの中でも屈指の作品だろう。
文物への深い知識もさることながら、そこでの洞察の鋭さには本当に驚かされる。たとえば、私でもわかるもので言えば、歌が共鳴するものだ、という見解。これ体験でしか理解できないものに思われるのだが、折り返しを見て納得。なるほど、東京音大のご出身だったのか。
ストーリー展開のテンポの良さと、その裏で働く大きな動きとがよく計算されていて、様々な設定と展開が結びつき、少しずつ物語が披露されていく様は本当に心地よい。
不動の星五つである。次は -
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古書店の店頭の話題作コーナーに以前から並んでいるのを目にしていて、気になるものの手にとることはありませんでした。
その日々にちょっと後悔。どうしてもっと早く手にしなかったんだろう、わたし。
異世界が舞台のファンタジー。
辺境パクラで、魔獣の脅威を退けつづけるテルシア家に長年仕えてきた騎士バルド・ローエンは、老い先短いと悟って主家へ引退を願い出、財産等はすべて返上したうえで、愛馬スタボロスとともに死地を探す旅へ出た。
……のであるはずが、それは後世に残る大冒険のはじまりだった。
ネットで連載されていたものが加筆修正のうえで書籍化されたのだということは、これを読み始めて知ったことでした。
「こ -
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ネタバレ引退した老騎士が主人公の異世界グルメ・エピック・ファンタジー第二弾!
前回は「死に場所を探す旅」で、あてどもない旅路の先で土地土地のグルメを気ままに楽しむ旅でしたが、ここから「生きる旅」。旅の仲間も増え、目的地も定まり、グルメからエピックのほうへ比重が傾きます。なので、グルメ描写はちょっと少な目。
その分、増えた登場人物が大いに活躍します。
特にジュルチャガとヴェン・ウリル。最後の章では、ゴドンの領主としての手腕も見逃せません。
目的のある旅で常にあちらこちらへ駆けまわる場面の多い中で、滝壺のそばで修業をしつつのんびり過ごす場面は、この巻では貴重ななごみの場面で、特に好きなところ -
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二巻は仲間が集い、思いを交わし、別れを告げる物語である。
語るべきことはあまりない。一巻ですでに、ネット小説では頭一つ抜けた作品だと思っていたが、その評価を修正したい。これは隔絶していると言ってよい。
文句なしの星五つ。おかしみあり、波乱あり、胸が熱くなる交情ありの名作であるが、惜しむらくは次が来年の冬まで飛ぶらしい件だろう。
完結したと聞くネット版に手が伸びそうになる。困ったものだが、そこはグッと我慢することにして、楽しみに待つことにしよう。
まあ、おっさんにとって、一年はさほど長くはないのだから、待てるだろう。が、若人には殺生な間であるとも思う。 -
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「老騎士」って打とうとして予測変換に「労基署」を出してくる我がPCよ……。
でも、もうすっかり「老騎士」を一発変換で出してくれるようになりました!
読んでる途中から「これいいよ!」と宣伝したくなる、楽しいファンタジーでした。
グルメ・エピック・ファンタジーの冠、伊達じゃないです。
全部が全部美味しそうなのですが、わたしは敢えて「炊きプランの卵まぜ」をオススメしたいところ。日本人なら(笑)
異世界ファンタジーでは、衣食住、その世界の持つ当たり前の文化をいかに説明するかっていうのは大事だな、と個人的に思っているわけですが、この小説はその辺すごいです。なんてったって、ファンタジー世界で「 -
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面白い本ほど、よく手が止まり積んでしまうことがある。自分が一番良い状態の時に、思う存分楽しみたいと思うからだ。
この本もそうした類の一冊で、明日続巻が発売されるからと踏ん切りをつけて読み切った。
やはり、面白い作品である。極上のひと時を味わわせていただいた。
ネット小説出身の作品としては異色のハイファンタジーであり、乾いた世界観と、だからこそ映し出される人情味あるストーリーが、この上なく良い。
主人公であるバルド自身が出来事に対して客観視しない、主観の物語であることも、物語により彩りを添える結果となっている。
そのストーリーを支えるだけのディテールもまた素晴らしい。スペイン風の( -
Posted by ブクログ
読み終えて溜息が出るような、涙腺のゆるむような「物語」。表見返しから裏見返しへと老騎士の旅が続いていく感がいい。ウェブ版で何度となく読み返している、現在も「小説家になろう」さんで連載中の物語の、最初の部分の書籍化。連載は7章が終わったところだけど、この本には序章と1章部分が収められている。
冒頭、山から下りてきた姿で登場する主人公と宿屋の娘の会話で、ここが家畜が角をもつ異世界であることが示され、やがて奥深くへ入り込んでいくこの異世界の紹介であり見聞録である導入パートだけれど、この一冊だけでも十分に楽しめる。
主家から離れた流れ騎士バルド・ローエンが旅の途中で様々な人と出会い、野菜売りの少年の -