高成田享のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2011年(平成23年)3月11日14時46分に発生した東日本大震災。その時、筆者は夫婦で欧州旅行をしていたところで、娘さんからの連絡で地震のことを知ったそうだ。宮城県石巻市局長という職場を最後に40年間勤めた朝日新聞社を退社した記念旅行中で、日本に帰る際、ロンドンのヒースロー空港で入管職員に「あなたの家族は大丈夫か」と尋ねられ、「大丈夫だ」と答えると笑顔で通してくれ、世界中が日本を心配しているのだと感じたという。
私は西日本にいたので全く地震の影響のない土地にいたのだが、当日のことはよく覚えている。
その日は会社で新人研修を受けていた。研修室に小さめのテレビが備え付けてあったから、地震の情報を誰かからの連絡で知った社長と奥さんが「テレビを点けて」と部屋に入ってきた。テレビを点けると、津波に追われて逃げる車の様子など、にわかには現実とは思えないパニック映画のような映像が映し出されている。あまりにも甚大で悲惨な状況に皆、言葉も出なくなり、研修最終日で学ぶ内容がほぼ終わっていたということもあって、予定していた閉会式をせず、そのまま解散になった。「どれほどの被害になるだろう」と心配しながら家路についた。
取引をしていた企業に仙台の会社があった。社長や上司たちは関係者から被災地の様子を聞くことがあったようで、すぐに事務所に募金箱が設置され、私たちに募金を呼びかけた。さらにボランティア活動の希望者を募ったり、直接トラックで支援物資を運んだりもしていた。零細企業なので取引先と親密な関係を築きがちだった。ボランティアに行った人から、迂回路を使って行く道路の混雑状況や、「なんであんな良い人たちが……」という社長たちの話を朝礼や飲み会で聞いて、毎月少しばかりのお金を募金箱に入れるくらいしか私にできることはなかった。
ここからは本書の内容について書く。
筆者の記憶が鮮明に書かれている一冊で、事柄が時系列で並べてあるのではなく、筆者が石巻で築いてきた人間関係を中心に、震災後の人々の活動を書き連ねてある本だった。人間関係の説明から話が入っていくので、最初は少し読みづらい。地震より何年も前に筆者がその人といつ、どのように出会ったかとか、その人がどんな仕事をしているかから話が始まるので、今と昔が入り乱れるのだ。地元の漁業関係者だけではなく、政界や自治体、NPO法人などたくさんの人々と交友を結んでいるので、多くの登場人物が出てくる。さまざまなエピソードに年月日が付してあるのに感心してしまった。記者というのは、人と出会う時、いつも記録をとっているのだろうか。あるいは記憶力が私とは桁違いなのかもしれない。
筆者は大震災を機に東日本大震災復興構想会議の委員に就任し、震災で親をなくした児童・生徒を支援する「東日本大震災こども未来基金」を立ち上げ、理事長に就任する。本の前半が土地とたくさんの人々の紹介という印象だったけれど、中盤から筆者の持つ復興の構想が記述される。前半よりもっと固い内容になってくるし、今までの漁業界をこの復興を機に刷新したい、というようなかなり尖った主張も展開される。賛同するかどうかはまた別の話として、内容自体はすっと頭に入ってくる。筆者がその土地にどういう人々がどういう生活をしているかをこの本に書いてくれているのを読んだからだ。構想だけを読んでも、その土地の生活を知らない私には到底理解できない内容に思えた。
また、本書には復興に関して筆者の人間関係を上回る非常に多くの人間の思惑が絡むものなのだ、ということも折に触れて書いてあった。地元の人たちだけでも復興に関して目指すところが一つではない。生活が一変してぎすぎすと軋むような人間関係に苦心しながら、一つ一つの折り合いをつけていったであろう各所のまとめ役たちの苦労は想像しても余りある。ものすごく頭を絞って考えた構想が通らないのは「損」を感じる人がいるからで、その限界を見せてくれることで、読者の私も個人という限界について考えさせられたし、復興はどうやっても一人ではできないものなのだとよく分かった。
被災や復興の話に織り交ぜてある漁業の話も大変興味深かった。「さかな記者」のさかなの本も読んでみたいと思う。今食べている魚がどこで上がって、どのような技術で食卓まで流通してきたのか、あまり考えずに普段食べているけれど、「食べ物も、飲み物も、そこにドラマがあるからおいしいんですよ」と筆者が言っていた。それを知らないのは、ひどく勿体ない食べ方をしているのかもしれない。
本書は漁業の歴史や金融など多角的な視点が書かれるが、根っこに「仕事が続けられれば生活できる」という信念を持っているのだろう。震災があった時の社長たちの様子が思い出される。私は根が怠け者なのですぐに働きたくなくなるのだけれど、働けていればこそ生活が続けられるのだとは常日頃思っている。何年経とうとも震災の影響が生々しい人もいるだろう。新たな災害もたくさんあった。これからだってどんな災害が出てくるか不安は尽きない。けれど希望を忘れず地道に活動している人がいるということを思って、私は私でいつも通りの生活を続けられるだけ、続けていこうと思う。 -
Posted by ブクログ
メモ
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・高齢化社会のアミューズメント事業
→「子供だけ」に視点を当てたパークは生き残れない
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・「娯楽」は1つ1つの「点」ではなく、楽しみの流れる「線」
→ディズニーのエントランス(ワールドバザール)はムード作りに欠かせない
(乗り物がないのに莫大なコストをかけた背景)
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・ディズニーは「擬似海外旅行」
→パークでアメリカ人になりきる日本人
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・本社へのロイヤリティは5〜10%
→ライセンスの強み
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・「心地よい異空間の提供」がビジネスのPOINT
→ファミレス、パソコン、ウォークマンとかが良い例
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・パークのゴミ箱は郵便ポスト型
→ポイ捨て防止(いつもパークが綺麗ならゲストは汚さない)
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年々、値上がりを続けるディズニーランド
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つい先日も「大人入場料700円値上げ8200円に」
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というニュースが話題になっていましたね
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ですが年々入場者数は上がる一方です
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何か「お金」の仕組みにカラクリが?と気になり手にとった1冊
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著書の中で、ディズニーが「お金」をできるだけ意識させない工夫が
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「前売り券制度」の導入を例にとってみますと
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当日に入園料を払うよりも、事前に払っておくことで、「お金」に対する
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ゲストの執着心を緩和するという狙いがあるそう
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他にも、「値札を前面に出さないショップ」や
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「売り込み禁止」制度など
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「遊び」と「料金」をできる限り話していくあらゆる工夫が
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結果として満足度の高い遊園地としてリピーターを量産していたわけです
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面白いですよね、確かにディズニーを訪れると自然と「金銭面」
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に関しての不安がなくなって純粋に「娯楽」を満喫しています。
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(私の場合無駄遣いがすごいですがw)
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「お金以上の価値提供」がサービスにおいて何よりも大事だと知れました -
Posted by ブクログ
ちょうど、TDLがオープンしたのは、日本が成長社会から成熟社会へ変わっていく時、つまり「モノ」の所有から、「経験」の共有へひとびとの価値観が大きく変わるターニングポイントで(TDLがそれに気付かせ、流れを加速させたともいえる)あったことを示唆していたり、かつTDLを受け入れた日本の外部文化許容のキャパに関して言及したり1987年の初版の段階でかなり先駆的なことを述べている本。今回読んだのはその増補版で、内容的にも大きな主張は変わらず、その増強版。読みやすかったけど、かなり読み応えのある本でした。ディズニー経済学の古典にふさわしいです。
日本が外部の文化をジャパナイズすることが非常にうまいことが許容する -
Posted by ブクログ
ニュースステーションに出演していたことがある元朝日新聞記者の著作.定年後,さかな記者を志望し,石巻支局長をしていた関係で構築した人間関係を中心に,東日本大震災の経験をまとめたもの.寄せ集め感があるが,逆に生々しさを醸し出していると思う.テレビや新聞報道では伝えることがないことが書かれており,興味深く読めた.政府が設ける◯◯会議でさえも、本来介入できない霞が関の役人が自分たちの考え,既得権益の保護にマッチするよう記録などを常態的に操作していることよくわかった.あとがきにあるが,本書の印税は著者が理事長を務める東日本大震災こども未来基金に全額寄付するとのことで,間接的にだか私も協力することができた.
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Posted by ブクログ
【本の内容】
日本人の心をわしづかみにした東京ディズニーランドの企業秘密を余すことなく記したロングセラー。
増補にあたり、巨大リゾート化する経緯、卓越した集客戦略、消費社会との関わりなどを大幅に加筆。
ライバルに圧倒的な差をつけ、なお進化し続けるディズニーを分析する。
[ 目次 ]
1章 夢を売る現実主義者たち
2章 サービスの魔術師たち
3章 舞台を操る黒子たち
4章 遊びの経済学
5章 「現代の祭り」に酔う人びと
6章 「テーマパーク」から「テーマリゾート」へ
7章 「成熟消費」の経済学
8章 ディズニーを受容した日本の“ごった煮”文化
終章 仮想現実化する日本・TDLはなぜ生き残ったのか
[ POP ]
ディズニーランドには、人を引きつける魔法がある。
その正体をのぞきたいという抑えられない気持ち故に、本書を手に取った人もいるだろう。
経済記者だった著者たちが、1983年に開園した直後から東京ディズニーランドに通い詰め取材した。
スポンサーや地元への経済効果、余暇が増えたという時代考察など、多角的にディズニーランド人気を検証している。
特に興味深いのは、「経営の秘訣は、綿密に計算されたキメ細かいサービスにある」という雰囲気作りへの言及だ。
例を挙げると、キャスト(従業員)に対するマニュアルは約400種類もあり、客がアイスクリームを落とした場合、交際を求めてきた時の応対にいたるまで規定されているという。
観光やレジャー産業に興味のある学生を中心に、今も読まれているという。
なぜか。
著者の1人、粟田さんに尋ねると、「魅力的であり続けるディズニーランド自身が、ロングセラーだからですよ」。
なるほど、28年たっても色あせない「夢の国」の魔法のレシピが、本書には詰まっている。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
30を迎えてはじめて、妻の誘いでディズニーランド、シーへ行った。
「はまるから」に「まさか」と猜疑心を抱きながら、現地に向かったのを覚えている。
行く機会がなかった、のも理由のひとつだが、そんなとこに行ってもおもしろくないっしょ、の気持ちが強かったのかもしれない。
しかしながら、「夢の国」「魔法の国」にすっかり魅了され帰ってくるという、予想だにしない結果となった。
とても楽しかった。
パレードでは、涙腺がゆるみ、ミッキーは僕のヒーローとなってしまった。
それだけなく、そこで働く「キャスト」の対応にも感動してしまった。ランド内では、いやな気持ちなく、楽しめた。
ランド内の仕掛け、街並。。。
ディズニーについて、知りたくなった矢先に本屋さんに並べられており、運命を感じ、即購入した書籍。
夢の国「ディズニーランド」について、少し分かった気がした。 -
Posted by ブクログ
本書はディズニーランド開園の翌年に著された。本書の一節を引用しよう。
「ここで繰り広げられるドラマのクライマックスは、一周年でも10周年記念祭でもない.『雄目と魔法の王国』がただの住宅地に暗転する場面なのだ」
TDRの現在を知る我々にとっては、なんとも滑稽な感じのする一文だが、ポイントは、それが当時の衆目の一致するところであったということである。結果として、本書は当時の世間の空気を今に伝える良い資料となっている。
分析の内容自体よりも、当時にどうしてそのような分析がなされたか、その分析はなぜ外れたのかを考えながら読むと、大衆心理に対する洞察を深められる、かもしれない。逆に、そういった目的意識を持って読まないと、全く意味のない本でもある。