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■念願かない「さかな町」で筆を振るった朝日新聞の名物記者が描く、石巻と東北再生の物語。泣けて、怒って、笑えて、ついでに魚が食べたくなる一冊!■久米宏氏推薦「三陸の人間達の必死の『生』を、無数のさかなの眼が大海原の奥から見つめている」■この本は、石巻で三年間、「さかな記者」の修業をした私の震災考であるとともに、何かしなければという思いに突き動かされた私の行動録である――著者
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Posted by ブクログ
2011年(平成23年)3月11日14時46分に発生した東日本大震災。その時、筆者は夫婦で欧州旅行をしていたところで、娘さんからの連絡で地震のことを知ったそうだ。宮城県石巻市局長という職場を最後に40年間勤めた朝日新聞社を退社した記念旅行中で、日本に帰る際、ロンドンのヒースロー空港で入管職員に「あな...続きを読むたの家族は大丈夫か」と尋ねられ、「大丈夫だ」と答えると笑顔で通してくれ、世界中が日本を心配しているのだと感じたという。 私は西日本にいたので全く地震の影響のない土地にいたのだが、当日のことはよく覚えている。 その日は会社で新人研修を受けていた。研修室に小さめのテレビが備え付けてあったから、地震の情報を誰かからの連絡で知った社長と奥さんが「テレビを点けて」と部屋に入ってきた。テレビを点けると、津波に追われて逃げる車の様子など、にわかには現実とは思えないパニック映画のような映像が映し出されている。あまりにも甚大で悲惨な状況に皆、言葉も出なくなり、研修最終日で学ぶ内容がほぼ終わっていたということもあって、予定していた閉会式をせず、そのまま解散になった。「どれほどの被害になるだろう」と心配しながら家路についた。 取引をしていた企業に仙台の会社があった。社長や上司たちは関係者から被災地の様子を聞くことがあったようで、すぐに事務所に募金箱が設置され、私たちに募金を呼びかけた。さらにボランティア活動の希望者を募ったり、直接トラックで支援物資を運んだりもしていた。零細企業なので取引先と親密な関係を築きがちだった。ボランティアに行った人から、迂回路を使って行く道路の混雑状況や、「なんであんな良い人たちが……」という社長たちの話を朝礼や飲み会で聞いて、毎月少しばかりのお金を募金箱に入れるくらいしか私にできることはなかった。 ここからは本書の内容について書く。 筆者の記憶が鮮明に書かれている一冊で、事柄が時系列で並べてあるのではなく、筆者が石巻で築いてきた人間関係を中心に、震災後の人々の活動を書き連ねてある本だった。人間関係の説明から話が入っていくので、最初は少し読みづらい。地震より何年も前に筆者がその人といつ、どのように出会ったかとか、その人がどんな仕事をしているかから話が始まるので、今と昔が入り乱れるのだ。地元の漁業関係者だけではなく、政界や自治体、NPO法人などたくさんの人々と交友を結んでいるので、多くの登場人物が出てくる。さまざまなエピソードに年月日が付してあるのに感心してしまった。記者というのは、人と出会う時、いつも記録をとっているのだろうか。あるいは記憶力が私とは桁違いなのかもしれない。 筆者は大震災を機に東日本大震災復興構想会議の委員に就任し、震災で親をなくした児童・生徒を支援する「東日本大震災こども未来基金」を立ち上げ、理事長に就任する。本の前半が土地とたくさんの人々の紹介という印象だったけれど、中盤から筆者の持つ復興の構想が記述される。前半よりもっと固い内容になってくるし、今までの漁業界をこの復興を機に刷新したい、というようなかなり尖った主張も展開される。賛同するかどうかはまた別の話として、内容自体はすっと頭に入ってくる。筆者がその土地にどういう人々がどういう生活をしているかをこの本に書いてくれているのを読んだからだ。構想だけを読んでも、その土地の生活を知らない私には到底理解できない内容に思えた。 また、本書には復興に関して筆者の人間関係を上回る非常に多くの人間の思惑が絡むものなのだ、ということも折に触れて書いてあった。地元の人たちだけでも復興に関して目指すところが一つではない。生活が一変してぎすぎすと軋むような人間関係に苦心しながら、一つ一つの折り合いをつけていったであろう各所のまとめ役たちの苦労は想像しても余りある。ものすごく頭を絞って考えた構想が通らないのは「損」を感じる人がいるからで、その限界を見せてくれることで、読者の私も個人という限界について考えさせられたし、復興はどうやっても一人ではできないものなのだとよく分かった。 被災や復興の話に織り交ぜてある漁業の話も大変興味深かった。「さかな記者」のさかなの本も読んでみたいと思う。今食べている魚がどこで上がって、どのような技術で食卓まで流通してきたのか、あまり考えずに普段食べているけれど、「食べ物も、飲み物も、そこにドラマがあるからおいしいんですよ」と筆者が言っていた。それを知らないのは、ひどく勿体ない食べ方をしているのかもしれない。 本書は漁業の歴史や金融など多角的な視点が書かれるが、根っこに「仕事が続けられれば生活できる」という信念を持っているのだろう。震災があった時の社長たちの様子が思い出される。私は根が怠け者なのですぐに働きたくなくなるのだけれど、働けていればこそ生活が続けられるのだとは常日頃思っている。何年経とうとも震災の影響が生々しい人もいるだろう。新たな災害もたくさんあった。これからだってどんな災害が出てくるか不安は尽きない。けれど希望を忘れず地道に活動している人がいるということを思って、私は私でいつも通りの生活を続けられるだけ、続けていこうと思う。
ニュースステーションに出演していたことがある元朝日新聞記者の著作.定年後,さかな記者を志望し,石巻支局長をしていた関係で構築した人間関係を中心に,東日本大震災の経験をまとめたもの.寄せ集め感があるが,逆に生々しさを醸し出していると思う.テレビや新聞報道では伝えることがないことが書かれており,興味深く...続きを読む読めた.政府が設ける◯◯会議でさえも、本来介入できない霞が関の役人が自分たちの考え,既得権益の保護にマッチするよう記録などを常態的に操作していることよくわかった.あとがきにあるが,本書の印税は著者が理事長を務める東日本大震災こども未来基金に全額寄付するとのことで,間接的にだか私も協力することができた.
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