彬子女王のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
日本文化の研究者でもある彬子女王の連載記事をまとめた一冊。
前半は、1つ1つの芸術品や伝統芸などにフォーカスを当てて、歴史背景や日本人ないし世界の人々にどう愛しまれて来たのか、関連するエピソードや彬子女王の洞察も入りながらまとめられたエッセイ30編で構成される「日本美のこころ」。後半は、伝承が危機に瀕する伝統技術の最後の継承者の方々に彬子女王自身が取材して、それぞれの手仕事の美や素敵な生き様をまとめたエッセイ30編の「最後の職人ものがたり」。
前半のパートが特に面白かった。まず、まだ知り得ない日本文化の奥深さや魅力の幅広さに圧倒された。30編しかないけど自分には致死量級だった。過去こんなに日本文化に触れたことない、、全部面白くて心惹かれる!日本はなんと多様で豊富な文化を持ち得て来たのだろうかと、日本に生まれて良かったと改めて噛み締めている。知らないことが多くて検索しながら読み進めるのがちょっと面倒だったが、これは生で見たい!と思うものもいくつか見つかって、今後の楽しみが増えた。
それと、浮世絵の所蔵数でNo.1は日本の美術館でなくボストン美術館だという話、前にこれを知った時は「日本の美術品が米国にあるなんて、悔しい!」と思っていたのだが、彬子女王が素晴らしい文章を書かれていたのでご紹介。心底納得がいって心が晴れた思いがしました。
ーよく「日本美術が大量に海外に流出してしまって残念だ」という意見を聞く。浮世絵はその代表格で、日本よりも外国にある作品の方が多いくらいかもしれない。でも私は、海外の美術館で日本の作品を見たとき、嬉しい気持ちこそすれ、「これは日本にあるべきものなのに」と憤りを感じたことはない。流出したといっても、そのほとんどは略奪されたものではなく、正規の手段で国外に持ち出されたもの。その作品に心をとめた人々によって蒐集されたものであり、過去に日本美術を愛した人が海外にこれだけいたのかと思うと、とても心温かくなるのだ。 -
Posted by ブクログ
『日本美のこころ』と『最後の職人ものがたり』が一冊になった文庫版。
日本人なのに、そしていい歳なのに知らなかった事ばかりである。
唯一知っていたのは、テレビ番組で見たことのある、金平糖専門店だった。
まず、ボンボニエールの形は、丸い陶器に蓋がついたもの、と思いこんでいたが、その多様なデザインにびっくり
盆栽は、「生きているから完成しない」芸術。一つの鉢の中に生と死が共存する。言われてみればそのとおり
最後の職人さんたちの物語は、更に、今知っておけて良かったと思う。
また「言われてみれば」になるけれど、貴重な文化財を残しておくためには、そういうものも作っている人がいるのか。そしていなくなってしまったらどうなるのか、とため息ばかり。
使われなくなったものはやはり、作る人もいなくなってしまうのだろう。
「烏帽子」!!
烏帽子専門の職人さんがいるのか!
大河ドラマで烏帽子はたくさん見たけれど、あれは本物の材料ではないのかもと今思った。
本物の材料は、なんと「古い和紙」だそうだ。
「長崎刺繍」は初めて聞く。立体感と迫力。九州地方には、鎖国時代も外国(中国やポルトガル?)をつながっていたエキゾチックな文化があると思う。
どの職人さんの仕事に対しても、真摯な興味を持ち、敬いの気持ちを感じる文章が、お人柄だと思う。
まことに皇族の方らしい研究をされていると思う。
私にとっての、あなたにとっての「日本美のこころ」はそれぞれ違うのかもしれない。それでいい、と書かれている。
ときどき意識して、日本美のこころについて考えたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ新聞の広告欄で見かけたことがきっかけで手に取った一冊で、著者である彬子女王についても、まったく存じ上げなかった。皇室のお方による留学記ということで、堅苦しく読みにくいのではないかという先入観があったが、その印象は良い意味で裏切られた。留学当時の出来事や心情が飾らず率直に綴られており、非常に読みやすい内容だった。
私自身も短期間ではあるが留学経験があるため、異国で心細さを感じたことや、現地で出会った日本人に支えられた記憶など、共感できる場面が多々あった。そうした個人的な感情の描写が、本書をより身近なものにしていると感じた。
最終的に彬子女王はオックスフォード大学で博士号を取得されており、その学業面での優秀さにも強く感銘を受けた。皇族という立場から、何らかの特別な配慮があったのではないかと当初は想像していたが、本書を通して、そのような甘えは一切なく、論文執筆に必死に向き合われていた様子が伝わってくる。むしろ、一般の日本の大学生以上に努力を重ねてこられたのではないかと感じ、深い敬意を抱いた。
これまでほとんど存じ上げなかったお方であったが、本書を読むことで強い親近感を覚えた。留学記としても、人となりを知る一冊としても非常に満足度が高く、読んでよかったと心から思える本だった。