ヒラリー・ウォーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
警察小説として名高い本書ですが、宮部みゆき氏の推薦の言葉にある通り「捜査小説」の方がしっくりきます。
一人の女学生の失踪事件をしつこいほどに徹底的に捜査する過程を、じっくりと楽しむ1冊でした。
現実的な捜査ですから当然聞き込み、考察、捜査の繰り返しでとっても地味。
サプライズや派手な演出はなく、個性的な登場人物もいません。
しかし、ジリジリと真相に迫っていく過程は楽しく、地道に積み重ねたものが結実するラストは気持ちいい。地味ながらしっかりエンターテイメントをしていたと思います。
途中がたるくなりますし、人間ドラマも何もないので退屈な面もあるんですが、余計なものを全て排してひたすら捜査過程を描くというのはなかなか斬新な1冊なのではないでしょうか。
個人的にはフォード署長とキャメロン巡査部長の掛け合いが、もっと軽妙で楽しいものであったらなぁと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこれは「失踪当時の服装は」と似た雰囲気だが、随分後に書かれた、フェローズ署長が指揮を執る別のシリーズ。衝撃のラストという言葉通りの作品。
これを先に積んでいたが、初めての作者なので発表された順がいいだろうと「失踪当時の服装は」から読み始めた。
コネチカット州ストックフォード警察署、フェローズ署長が指揮を執るシリーズ。
「失踪当時の服装は」とは別なシリーズになるが、よくあるメンバーの私生活や個人的なつながりに深入りしていないので個別な作品として楽しめた。
続けて読んでよかったのはプロットがよく似ているし混同しそうだった点だが、並べてみるとストーリーの違いが整理できた。
警察の捜査方法も、書かれた時代を反映している。今から見るとスマホもなく科学捜査の点でも足を使っての証拠集めが主になっているのもよく似ている。
ただ「失踪当時の服装は」に比べて「犠牲者」という言葉があるところが登場人物は重く、社会的な影が濃く、個人の人生を踏まえた深みがある。
どちらかといえばミステリに哀切な色付けがされた時代背景や社会環境の影響が濃い作品だと感じた。
代表作とされる「失踪当時の服装は」と雰囲気が同じようなところも多かったが、やはり読んでよかった作品だった。
題名のとおり「生まれながらの犠牲者」が語る最終章が、まさに慟哭の結末で、伏線にも気づかないで一気読みをした。
ヒラリー・ウォーはチャールズ・ボウエルのノンフィクション「彼女たちは、みな若くして死んだ」に啓発されてミステリを書き始めて成功したのだそうだが、参考図書を読むのは好きだが、こういった犯罪はフィクションだから読めるので、現実に起きた事件なら悲惨な結果に眼をそむけたくなるだろう。犯人も被害者もいわば不幸な出会いがあり、被害者になり加害者になった。その不幸は環境や素質の歪みであったとしても、即犯罪に結びつくのはやはり異常で、ミステリにだけ許されることだろう。昨今の似たような事件でも死刑判決が出て執行された例がある。だがやはり罪は罪で被害者がどんなに恵まれない環境で育ち性格が大きく歪んだ結果にしても犠牲者の人生を恐怖に陥れることはできない。
この作品で美しい13歳の少女の人生がどんなふうに閉じられたか。捜査の足並みが深みに踏み込むにつれ、伏線も見逃す新しい視点で読んだ。二作を比較して同じようでいながら犯人は誰だというミステリの根本はこうも書けるのだという新しい読み方ができた。 -
Posted by ブクログ
このところ短編が続いたので、ガッツリ集中して読めるものを。
ということで、『米澤屋書店』で紹介され積読になっていたこちらをチョイス。さらに帯には宮部みゆきさんの推薦文が。うーん私得!
一言で感想を述べるなら、「警察の執念ってすごい!」。
よく耳にする「徹底的に洗え」がどんなものか、それをまざまざと見せつけられて恐れ入りました。
カレッジ1年生のミッチェル嬢はどこへ行ったのか?
それ一本で書き通すのかと思いきや、中盤からはもう一捻り。しかし、フォード署長らのやることは変わりません。
歩き、話を聞き、あらゆる証拠を集め、また歩く。
特に、筆跡のメモをもとにニューヨーク中のホテルの宿泊者名簿を虱潰しに探すシーンには驚きました。いや、そこまでも大概のことをやっているんですけどね。。
ただ、気になる点もいくつか。
以前読んだ『幻の女』では、「彼女は何者なのか?」に視点が置かれていたため、今作のミッチェルにも何かものすごい秘密が隠されているのではと期待してしまい……なので、「何があったか?」に関してはやや物足りなさを感じました。まあ、警察の手法を描くことが主旨ならそこはあまり、なのかもしれませんが。
また、犯人に狙いを定めるきっかけは少し弱いのではないかなーと。描いたストーリーに合う証拠を探しているようにも見えてしまいました。
それに、フォード署長のパワハラ発言もなかなか……。皮肉屋なキャメロンとのやりとりがガス抜きにはなっていましたが(^^;
と、ツッコミどころもなくはないのですが、地味な割になぜか読ませる勢いのある本作。
こちらでは警察の泥臭い手法の勝利でしたが、他の探偵たちがこの事件を扱ったらどんなふうに解決に導くのだろう?と想像も膨らみました。
機会があれば著者の他の作品も読んでみたいですね。 -
Posted by ブクログ
アメリカの作家ヒラリー・ウォーの長篇ミステリ作品『失踪当時の服装は(原題:Last Seen Wearing...)』を読みました。
ここのところ、アメリカの作家の作品が続いています。
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●宮部みゆき氏推薦──「『捜査小説とはこういうものだ』というお手本のような傑作」
1950年3月。カレッジの一年生、ローウェルが失踪した。
彼女は成績優秀な学生でうわついた噂もなかった。地元の警察署長フォードが捜索にあたるが、姿を消さねばならない理由もわからない。
事故か? 他殺か? 自殺か? 雲をつかむような事件を、地道な聞き込みと推理・尋問で見事に解き明かしていく。
巨匠が捜査の実態をこの上なくリアルに描いた警察小説のパイオニア的傑作!
解説=川出正樹
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1952年(昭和27年)に刊行された作品で、警察小説のパイオニア的作品して認知されている作品です。
1950年3月3日、マサチューセッツ州ブリストルの女子大学からロウエル・ミッチェルという美貌の女子学生が失踪した… ブリストルの警察署長フランク・W・フォードは若手の巡査部長バート・K・キャメロンとともに、長年の経験を頼りに、この雲をつかむような事件に挑むが、行方は杳として知れない――。
失踪か? 誘拐か? 殺人か? 雲をつかむような少女失踪事件を、刑事たちが地道な聞き込みと推理、尋問で解き明かしていく… 捜査の実態をこの上なくリアルに描いた警察小説の代表的傑作、新訳決定版!
思いつく限りの人々から証言を集め、穴が開くほど被害者の日記を読み返し、何度も事実を確認して、推論を巡らし、仮説を立てて検証… その過程で新事実が判明し誤りに気付くと、すぐさま方針を転換し、新たな仮説に基づき捜査を続け、最終的に些細な手掛かりから意外なかいけつを導き出すというシンプルな展開、、、
地味な展開なので、やや冗長な感じがありますが、警察の仕事を細部まで描いたリアルさが印象に残る警察小説でしたね… フォード署長とキャメロン巡査部長の遠慮ないやりとりも印象的、名コンビですね。