尾本恵市のレビュー一覧

  • 教養としての将棋 おとなのための「盤外講座」

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    羽生 善治
    将棋棋士。1970年生まれ。1996年、史上初めて七大タイトルを独占。2017年、永世七冠の資格獲得。2018年、国民栄誉賞。

    梅原 猛
    哲学者。1925年生まれ。京都市立芸術大学、国際日本文化研究センター名誉教授。ものつくり大学総長、日本ペンクラブ会長などを歴任。1999年、文化勲章。

    尾本 恵市
    1933年生まれ。分子人類学者。東京大学、国際日本文化研究センター名誉教授。2015年、瑞宝中綬章。

    将棋にはこのように、理系と文系といった学問領域の枠を超え、さらには芸術から文明論に至るまで、実に多彩な「見どころ」「考えどころ」がある。あらゆる人の知的好奇心に訴えかけ

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    2023年10月25日
  • 教養としての将棋 おとなのための「盤外講座」

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    将棋を多面的に解説する本で、将棋を指さない人にも日本の文化を知るという意味で読んでもらいたい。
    梅原猛氏と羽生善治氏の対談、考古学から考える将棋の起源、数学的に分析する将棋の面白さ、美術品としての将棋の駒、将棋がもたらす教育的効果、将棋の観戦記の変遷など、読み応えがあるし面白い。
    江戸時代の名人や棋士のレベルについての羽生さんの見解だとか、升田幸三がGHQに呼び出されて将棋の精神について説いた話、「負けました」や無言で察することの重要さなどは忘れないでおきたい。

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    2021年03月14日
  • ヒトと文明 ──狩猟採集民から現代を見る

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    ヒトとは何かを、文系、理系双方の考え方を交えて論じたもの。ヒトについては、生物学、医学、遺伝子学などの科学的分析と、文化人類学、史学、考古学など人文系の分析とがあって、融合した研究はなされてこなかった。そこを総合的に研究し、まとめたすぐれた研究成果だと思う。極めて論理的かつ学術的な、説得力ある内容であった。
    「(明治17年(1884)「じんるいがくのとも」設立(坪井正五郎))世界最古の人類学会は、1859年(「種の起源」出版年)パリに創設された。それからわずか20数年後に、日本に人類学会が設立されたのは驚くべきことである。アメリカには、20年先行している」p29
    「大型類人猿はその他サルに比

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    2018年10月21日
  • 日本の人類学

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     人類学は京大と東大が両輪のごとく、それぞれの特徴を生かしつつ発展してきたとのことで、京大の山極(現総長)、東大の尾本両氏の対談が実に楽しい。尾本氏からすると人類学の学者が総長になるのは、いかにも京大らしく羨ましいとのこと。東大は分子人類学、遺伝子研究に、そして一方では京大は霊長類学に特色。霊長類学は本来は人類学と動物学の狭間の領域。今西錦司氏以来の伝統で、それが日本の人類学の権威になっていることに誇りを覚える。ルワンダの山奥で26年ぶりに出会った34歳のゴリラのタイタスが、山極氏を憶えていた!近づいてきてまじまじと見つめ、子供っぽい表情になったという!34歳は老年の域になるらしい。この実話は

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    2017年12月18日
  • ヒトと文明 ──狩猟採集民から現代を見る

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    好きな著者の自伝などはたいがいすぐに飛びつくのですが、尾本先生の著書はいままで読んだことがなかったので、少し迷いました。が、これは断然、読んで正解でした。正月の帰省中、高速バスの中で、何度もクスクスと笑えてしまいました。ドイツ留学時の話。共用の冷蔵庫に入れておいた味噌を捨てられてしまった。においをかいで、腐っていると思われたらしい。東大医学部受験時の問題「シラミの絵を描け」。50年以上前の話ですが、これはすごい。結果は、絵は描けたが、他の問題がとけず不合格。そして、「医学部くずれ」の独文学科。そのあとの鈴木尚先生との出会いがいい。文学部で行われた「人類の進化」についての講義を聴く。授業後の質問

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    2017年01月04日
  • 日本の人類学

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    大学の先生の話は
    立派かもしれないけれども
    ちっとも面白くない
    そんな定説(?)をすっかり
    覆してくださる

    いやあ 人類学って
    こんなに 面白いんだ
    こんな 歴史を背負っていたんだ
    こんな 人たちが居たんだ

    「人類学」って 
    私たちの過去と
    私たちの未来と
    何より
    私たちの現在と
    ちゃんと つながっているんだ

    そんな 気持ちを
    持たせて もらいました
    この お二人の碩学の対談を
    企画された編集者さんに感謝です

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    2025年08月31日
  • 教養としての将棋 おとなのための「盤外講座」

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    将棋に関して様々な角度から紐解いた一冊。

    オムニバス形式なのでまとまりはないものの、将棋について幅広く知る上では有効かと。

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    2024年06月27日
  • 教養としての将棋 おとなのための「盤外講座」

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    羽生先生と梅原猛氏の対談ももちろんよかったが、飯田先生の研究者として、また大川慎太郎氏の観戦記者としての視点からのアプローチが興味深かった。
    飯田先生の将棋を含めたゲームやスポーツの面白さの評価は、将棋の面白さが絶妙なバランスの上に成り立っていること、スポーツのルールが変わる視点を教えてくれた。大川氏は河口先生の時代とは異なるAI時代の観戦記者としての立ち位置を教えてくれたような気がします。

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    2021年05月06日
  • ヒトと文明 ──狩猟採集民から現代を見る

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    明治17年に坪井正五郎など10人が、日本初の人類学の組織「じんるいがくのとも」を立ち上げた。これは数年後に東京人類学会に発展し、その後、現在の日本人類学会となる。明治26年に東京大学理学部の前身である理科大学に、日本初の人類学の講座が設けられ、坪井が初代教授に就いた。

    アボリジニには、岩壁壁画が描かれた場所で、ディジュリドゥというホルンのような楽器を吹き鳴らし、夜通し歌って踊る儀式がある。

    斎藤成也や著者らは2012年に、ゲノム全領域のスニップ検出法を用いて日本人の二重構造説をほぼ支持し、アイヌ・沖縄同系論の証拠も得られた。スニップ検出法は、ゲノム上に点在する多数の独立の単一ヌクレオチドを

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    2020年12月09日
  • 日本の人類学

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    人類学にも自然人類学と文化人類学等の種類に分けられているみたいなのですが、本書は自然人類学についての対談がメインでした。確かに人類学というものは馴染みが薄く、あまり意識したこともなかったのでしたが、 人間の本質を知るのに人類学という分野は非常に大事だと思いました。勢いが弱まりつつある人類学ですが、本書を読んだのを機にもっと知っていこうという思いが芽生えました。

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    2019年10月13日
  • 教養としての将棋 おとなのための「盤外講座」

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    将棋盤の上での勝負はもちろんメインとなる部分ですが、その外側にも、人生を豊かにしてくれる多様な世界が大きく広がっているのです(p3)といって
    将棋学、歴史、メカニズム、教育への利用、観戦記と
    複数の視点から解説、考察している。

    なんだか将棋が気になるけど
    ルールブックも棋譜もおもしろくない。
    でも、棋士や将棋界は興味深い。

    将棋というと限定的な世界のように感じていたが
    意外にも裾野は広く門戸は開かれているのだと
    知ることができて 楽しい が増えた。

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    2019年10月02日
  • 日本の人類学

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    2000万年前、類人猿は何十種類もいたが、サルは少なかった。サルは、サバンナに出て多産になると、森に戻ってきてから栄え、類人猿を追い詰めた。人類もサバンナに進出して多産になった。

    デニソワ人は、64万年前にネアンデルタール人から分岐した。現在のメラネシア人やオーストラリア原住民、フィリピンのネグリト人のゲノムには、デニソワ人のDNAが数%含まれている。インドや東南アジアの人たちのDNAには、デニソワ人の痕跡は全くない。

    単独生活やペア社会の動物は、雌雄の体格差がない。規模の大きな群れ生活をする動物では、オスがメスより大きくなる。複数のオスが共存する群れ社会では、厳格な優劣の順位ができる。母

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    2019年09月18日
  • 教養としての将棋 おとなのための「盤外講座」

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    梅原が、ええかげんな散らかり方や自慢ばっかりしているのに対し、羽生がとにかく端正で知的で情意も安定しているのが目立つ。

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    2019年08月17日
  • 教養としての将棋 おとなのための「盤外講座」

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    将棋本だが盤面作られている方の話、将棋の歴史を教えてくれたりとバラエティ。将棋に合駒を考えた人は天才だと思う。
    羽生先生と梅原猛先生の対談が将棋のみならず様々な点に及んでいて面白かった。『隠された十字架』は未読だけど裏話があり対応する羽生先生の見識も素晴らしい。「大山康晴先生は盤面を見ないで相手を見て指す」というエピソードが印象に残った。

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    2023年02月21日
  • 教養としての将棋 おとなのための「盤外講座」

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    哲学者の梅原猛氏と羽生善治永世七冠の対談が非常に面白い。理系的直感と文系的経験、大山康晴と升田幸三、一見ムダに思えることがブレイクスルーを生む、けれどもAI全盛の今は「新手一生」が「新手一勝」といった話。
    いい具合に対話が広がっていって気持ちいい。

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    2023年02月01日
  • 教養としての将棋 おとなのための「盤外講座」

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    将棋本としてはイマイチかな。
    将棋そのものというか、それに関連する周辺の話というか。それぞれが逆に短すぎるような気がした。
    小学生に将棋を教える先生の話が一番面白かったか。まず、「負けました!」と大きな声で言えるところから始まる。

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    2022年07月01日
  • 教養としての将棋 おとなのための「盤外講座」

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    将棋をいろんな角度からとらえた本。今の将棋と昔の将棋の違いや、日本将棋が誕生したとされる頃の分析とかもあって面白かった。

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    2019年09月03日
  • 日本の人類学

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    2014年より京大総長に就任した霊長類学(特にゴリラの研究で著名)を専門とする山極氏と、東大で長らく遺伝人類学の権威として活躍した尾本氏という2人の人類学者が、現代における人類学の意義について語った対談集。

    期待の割には東大と京大を代表する人類学者のポジショントーク的な部分が非常に多く、スリリングな知的興奮が得られる場所が少ないという印象。

    ただ、最終章の「これからの人類学」のパートだけは、純粋に面白く、ここに本書の面白さは凝集されているという印象。

    特に、
    ・インターネットの大きな特徴の一つは「何度でもやり直しが利く」という点にあり、徐々にそうした世界観が普通のものだと子供たちは考える

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    2017年11月23日