たなかのかのレビュー一覧
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航ちゃんに会いたい――その願いひとつだけを胸に、引越し先から電車に揺られて緒道へと戻ったタビ。しかし、5年前に住んでいたその町はとある異変が起きていて・・・。
前作からうって変わって、ミステリーとファンタジーとシリアスとリリカルさが前面に押し出された作品。
どちらかというと、『伊賀ずきん』ではギャグ・コメディの体裁を保つためにオチで茶化さざるを得なかった"たなワールド"の核の部分がまっすぐ描かれているといった印象です。画風が繊細かつ緻密になり、時折のぞく鬼気迫る心理描写、伏線の仕込み方には感心しきり。
1巻から最終巻まで一気に階段をかけ上がるように読んだ後、ふたたび1巻 -
Posted by ブクログ
一見すると少年少女の気恥ずかしいポエムがずらりと並んだナイーブな作品に見えるけれど、いざ読み進めるとどうしてなかなか、キャラクターの内面の暗部に踏み込み、かつ謎解きとしても重厚な展開に引き込まれてしまった。各キャラクターが主人公との交流の中で自らの問題と直面・解決するというのが物語展開の基本単位となっているのだが、このあくまでリリカルな展開が同時に作品世界のシステムの解明というロジカルな展開と並行するように仕組まれているのが心憎い。ミスリードに伏線、どんでん返しといったミステリーの文法もきっちりこなしながら、キャラクターの成長とシステムの解明が一気に収束するラストシーンの高まりには迫力と説得力
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Posted by ブクログ
素晴らしい物語でした。それはひとえに、作者のたなさんがとても素敵な哲学を持っていらっしゃる方だからだと思います。人が誰でも持っている心の暗闇や負の感情を容赦なく描きながら、人を星に例え、人の繋がりを星座に見立て、星座の物語を人の物語と重ねることで、それぞれ登場人物たちが前向きに生きていこうと成長していく過程が美しいです。"例え"は作中の随所に散りばめられていますが、一つ一つに深い意味があり、決して字面だけの表面だけのものではないところが凄いです。構成力の高さも見事です。また1つ、素晴らしい作品に出会うことが出来て心から良かったと思います。
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Posted by ブクログ
前置き
タイムパラドックス的な何かです。ガンガン系はひょっとして時間モノが好きなのか?
ジャンルを現代モノにするかファンタジーにするか迷ったけど、ガンガンだからファンタジーで良いかーという勝手なイメージの元にカテゴライズ。
あらすじ
主人公・タビは、片思いだった”航ちゃん”に再会するために、かつて住んでいた田舎町を再び訪れる。5年ぶりに足を踏み入れた町は、延々と同じ一日を繰り返していて―。
後ろを振り向きがちでなかなか先に進めない町と、その住人達と、そしてタビが、もがきながら見た未来とは?
レビュー
まずですね、一見ライトに見える装いとは裏腹に、読み応えはガッツリあります。よく練 -
Posted by ブクログ
15歳の少女“タビ”が幼なじみの航ちゃんに会うために向かった緒道の町を舞台にした不思議な物語。
ある一人の“セキモリ”の願いにより、緒道の人達は今日起こった出来事全て1日経つと忘れてしまいます・・・。
だから明日になるとまた同じ事を繰り返す。繰り返される毎日。そんな世界に入り込んだ少女タビ。
同じくこのループから抜け出そうと必死に頑張る高校生ユキタと、それを見守る町の警官ニシムラさん。
この3人を中心に、とても不思議なストーリーが展開されるお話。なかなか面白かったです。
まだ1巻しか読んでいませんが早く続きを読みたいところです。キャラのタッチが頻繁にユニークで愛くるしく変化するため見ていても