イスラのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
イ・スラによる『29歳、今日から私が家長です。』は、先日KBOOKラジオで紹介されていた一冊。著者が、今月開かれるKBOOKフェスティバルにも参加するとのことで、早速読んでみた。
イ・スラは、2018年に著作『日刊イ・スラ』が韓国で爆発的な人気作となった新鋭作家だとか。
本作『29歳…』は、日本では今年の4月に出版となった新作。
著者と同じ名前の主人公スラが、自ら出版社を立ち上げ、母を調理師、父を清掃夫として雇用し、三人で会社をきりもりする日々が綴られる。
社長でもあり、「家長女」でもあるスラ。
家長と社長が長女になったとき、どんな関係性がそこには生まれるのか。軽やかに、日常を織り交ぜながら -
Posted by ブクログ
家父長制の時代が音を立てて崩れていく。そんな予感させる物語だった。29歳で両親を雇って家長になったスラ、心からかっこいい。家父長制という言葉が死語になり、《男女参画社会》が本当の意味で成立することを心から望む。
p.210 ともかく、それが印刷だというスラの答えはもっともだ。作家を生み出した技術の歴史は、数千年前から大きな変化を伴いながら流れてきた。スラの職業も、木版印刷術と活版印刷術とデジタル印刷術の発明によって可能になった。無垢浄光大陀躍尼も直指心体要節もグーテンベルク革命も、重要な情報を一気に広めたいという欲望から出発したはずだ。おかげで、物語を作る人たちの功績を何度でも複写すること -
Posted by ブクログ
29歳のスラは自ら出版社を経営しつつ売れっ子作家として活躍する女性。
苦手な家事を両親にまるごとお願いしているけれど、まさか自社で雇用しているスタイルだとは。
家族の物語のようだけど、淡々としつつユーモラスがあり、時代の革新を感じさせたりするお仕事ものとして読んだ。
父だから、母だから、娘だから、といったレッテルを超えて、互いの能力を提供し合い敬意をもって見合った報酬を渡す。なんて爽やかな関係なんだろう。
家父長制を痛烈に批判する物語ではないのも良かった。ちょっと身構えて読んでしまうから。おじいちゃんからの古き良き愛は受け取りつつ、新しいやり方で行動していく姿勢は今を生きる人には必要なことな -
Posted by ブクログ
読書記録61.
29歳、今日から私が家長です。
作家・出版社の長としての娘が両親を社員として雇い、書店との受注処理や在庫管理など出版社の業務と共に、父は掃除洗濯、母はその才能を活かし料理台所仕事を担当し月給を得て、娘である社長が給料(専従者給与)として支払う
家事労働を外注して対価を払うのは当然だが、それを両親に支払うという循環
妻や嫁が担う家事労働にも対価が生まれる
社員と社長として敬語で話し合う日常に、フィクションではあるが自伝的要素もあるという事で、実際のご両親を描いているように思えて楽しみに読んだ
韓国料理に関心の深い私が特に興味を深めて読んだのは、台所仕事を受け持つボキ氏(母 -
Posted by ブクログ
斬新!
「風の時代」をめちゃくちゃ反映している人物設定。
著者は占星術を意識しているのだろうか!?と思うほど、占いの型にハマった人間関係です。
この作品では「風の時代の」のこんなところが盛り込まれていました。
・個性、個人、といった個を大切にする
・合理的な考え、ものの見方
・今までの家族の在り方を刷新
世の中では「風の時代」と騒がれて、「フリーランスにならないといけないのか?」「独立しないといけないのか?」ムードが漂っているらしいですね。
それは集団(会社とか組織)に所属するのではなく、「個を大切にする」=個人で何かをやらないと、と読み解く方が多いからなのかもしれません。
それも一意見