著者が見聞きした「残念な教員」をこき下ろし、自身の教育実践の素晴らしさを説いた本、とでも言おうか。内容自体は頷けるところも多々存在はする。「私は、プロフェッショナルとして生徒の成長という『結果』を重んじるスタンスで教育活動を行っている(p15)」というそのスタンスは素晴らしいと思うし、生徒のことを第一に考えようとしている点も(全面的には賛同できないが)まぁ良い。
ただ、この著者の自己陶酔っぷりに辟易としてしまうのもまた事実。自分は素晴らしい、(この本で例に挙がっているような)教師はクズだ、というような書きぶりにはすこぶる違和感が残る。国語教師たるもの、こういう他人をこき下ろす文章を書けばたとえ良い内容だったとしてもなかなか心に響いてこないものだとは分からないものなのかな、と。まぁこの本の意図かもしれないが。
以外、本書の中で納得いかなかった点をいくつか。まずクラス全員の前で生徒を叱るという事例は納得できない(p219)。ストレス耐性を測るという名目のもとらしいが、そのような"実験的な"目的で叱ることに意味があるとも思えない。指導の目的は叱ること自体ではない。生徒の反省を促すことである。それは生徒の自尊心を傷つけるような形でなくても可能であるはずだ。
また「『先生には全て見透かされているような気がする』と言われた」という記述が何箇所かあったが(例えばp220)、自分ならそのような教師は気持ちが悪いと感じると思う。教師に生徒理解が必要なのは言うまでもないが、すべて見透かされていると思ったらバカでもない限り本心を隠そうとするだろう。人にすべての心理を知られるのは怖い。分かっていても「自分はすべて知っている」という態度を全面的に出すというのも疑問だ。何事も適度が大事。
そもそも自分は「熱すぎる教師」というものが苦手だ。それは小学校の頃の教師が関係していると思う(熱すぎる教師はたいてい暴走する)。だからこの著書のような熱い人が自分の先生だったら好きになれたかどうかというのも甚だ疑問。それに自身の経歴に大変な自信を持っておられるのだなぁと。この人自身、周りから彼の欠点を指摘された時にちゃんと聞く耳を持つのかな?きっと持たないんだろうな。自分を正当化しちゃったりするんだろうな。
とはいえ、著書の「生徒のために」という頑張りには敬意を示したい。ただ生徒の言葉だけを真に受けるのもいかがかと思うが。
最後に。中国語に「給人一杯水自己要有一桶水」という言葉がある。他人に一杯の水を与えるには自分にはバケツ一杯の水が必要だと。教師たるもの、知識を人に伝え教えるためにはその内容の何倍もの知識が必要であるものであることを肝に銘じ、日々勉学に励む必要があると思う。これは自分自身の決意です。