小池桂一のレビュー一覧
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量子論的に言うならば、脳における情報処理は量子における波動関数の崩壊であるということです。では、実際に波を形づくるのは何か?波の動きは何によって条件づけられるのかというと、それは海全体のうねりなんです。つまり、ひとつの波は海全体の運動状態を表現している・・ひとつの素粒子は全宇宙の情報を表現しているとも言えます。(p.48)
脳の自動的な情報処理がストップしたの。生まれたての赤ん坊と同じ。
たいていの人に赤ん坊の頃の記憶がないのは、記憶は情報が処理されて初めて成り立つものだから。いまあたしたちがいるのは、それ以前の、量子的ゆらぎの世界。エネルギーの海・・。(p.106) -
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世の中にはとんでもない天才がいるものだと思った。
この本が描いているのは、薬事法改正でドラッグの規制が緩和されて、ドラッグが煙草のような嗜好品として日常的に扱われる世界。客の好みに合わせてドラッグのカクテルを作って出すポンプバーがあったり、衛生局の査察官による取り締まりがあったり、そういう近未来描写がまず、すごい想像力だ。
なによりも、ドラッグでトリップした時の表現がものすごい。時間の動きがコマ送りみたいになったり、自分の手が壁にくっついて細胞分裂をしていったり、遠くの物と近くの物の位置が逆転したり。これだけは、とても文章による表現では到底追いつけない。読んでいて怖ろしくなるほどの、とんでも -
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アメリカインディアン、アラスカなどの先住民の暮らしを「土地と暮らす」と表現し、現代の私たちの暮らしは「土地と切り離されている」と表現する。この本は2013年マザーのイベントの露店で購入。キャンプは、「土地と暮らす」暮らしといえると思う。土地と切り離された暮らしがいかにそれたけで摩耗するものか、根本的な動物としての必要なものが欠落している暮らしだと感じる。だからこそ、定期的に、山へ川へ、平原へ行き、「土地」を感じる必要があるのかもしれない。それは確実に私たちに力をくれるものだから。
※筆者の表現について…冗長なくどい表現力が多く、美しい自然が文体から浮かび上がるというよりは、くどい表現が鼻につき -
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前半部というか、190pくらいまでは菅啓次郎さんの書きもので、
残りの40pくらいが小池さんによるナバホ族の神話を描いた漫画です。
本書を読んでいると、人間というものは機械じゃない、
熊や蜂や猫と同じ生き物なのだから、
自然の中で生きるのがすごく厳しいことだとしても、
地球を俯瞰する視座でみてみたら、自然の中での生活が一番適当なのではないかと思えてきました。
町や村も含めて、現在の人間の暮らしというのは、
自分で農耕や採集や狩猟をしない都市型(市場経済型)の生き方をしている。
それって、僕の言葉でいえば、
人間が自身のために作った温室のようなシステムにひきこもって
生きているようなものかもし -
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わたしたちが、自然を畏れ、敬い、その恵みに感謝することの大切さを忘れてしまって、いったいどのくらい経つでしょう?現代社会が如何に仮想的で、実態を伴わないものであるかということに、改めて気づかされる1冊でした。
なにかを決めるとき、7世代あとの人々のことを考え、その人々に対し責任を負うものでなければならないという考えが、原野で暮らすインディアンの基盤にあったということに驚かされました。
人間もまた自然の一部であり、この世界の片隅で生かしてもらっているという事実があるにもかかわらず、わたしたちはあまりに多くのものを破壊し、捨て去り、置き忘れてきてしまいました。自然を支配し、利用しようという思い上が -
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長期の連載休止をはさんで、かなり久しぶりの新刊。
1巻を初めて読んだ時ほどの衝撃はないけれど、相変わらず遥か彼方の領域までブッ飛んでいる。長期連載の構えを取るようにしたのか、ストーリー重視になって、色々な理屈や説明が増えた感じがする。
最初の頃の、理論を超越した、ただひたすら感覚の内側に迫ってくる圧倒的な描写は鳴りを潜めてしまったものの、これはこれで楽しみな展開だ。
名前は・・名前でしかない。名前はその人そのものじゃない。瞑想を深めていくと名前ってものがあまり意味を持たなくなってくる・・どうでもよくなるんだ。で・・適当な呼び名が自然とつくのさ。(p.30)