西岡常一のレビュー一覧

  • 木に学べ 法隆寺・薬師寺の美(小学館文庫)

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    昭和の時代を中心に宮大工の棟梁として法隆寺等の修繕や復興に携わった西岡さんという方のインタビューをまとめたものです。
    本自体が昭和のものなのと関西弁の口語調で書かれているのでやや読みにくい部分もあるのですが、宮大工としての経験から来るヒノキの強さ、鉄やコンクリートへの苦言等素人からすると目からウロコの情報が多く、前述した書き口も相まって「リアル」な説法を聞いているような感覚でした。
    いわゆる「教科書では分からない」大切なものを丁寧に説いてくれる本、という感じです。

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    2024年11月22日
  • 木に学べ 法隆寺・薬師寺の美(小学館文庫)

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    【感想】
    世界最古の木造建築、法隆寺。建設から1300年以上経った今でも、幾度の地震を乗り越えてなお立ち続けている。ということは、それを作り上げた棟梁たちの腕が、現代のレベルとはかけ離れた高みにあったことに他ならない。

    では、その法隆寺の構造はどうなっているのか。また、法隆寺に携わった棟梁たちの頭にあった「理論」はどういうものだったのか。それを語り下ろしたのが本書『木に学べ:法隆寺・薬師寺の美』である。語り部を務めるのは棟梁の西岡常一氏だ。西岡家は代々法隆寺の修繕や解体を仕事にしており、常一氏自身は法隆寺金堂や薬師寺金堂の修理・復元に携わってきた。設計から選木、木組み、立てあげ、と全ての工程

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    2024年10月31日
  • 木に学べ 法隆寺・薬師寺の美(小学館文庫)

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    棟梁は木のクセを見抜いて、それを適材適所に使う。
    木のクセは、木の育った環境で決まる。
    建物はそう簡単に立て直すことは出来ない。
    だから、「木を組むためには、まず人の心を組め」という名言は響いた。
    法隆寺を作った宮大工さんは、10年20年先でなく、1000年建ち続けることを目的に建築していたそう。
    「木は正直、人の方がよっぽど嘘つき」とも書いてあったので、どのように人の心を組んでいったのか、その辺りが書いてあったらもっと読んでみたかった。

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    2022年01月25日
  • 木に学べ 法隆寺・薬師寺の美(小学館文庫)

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    宮大工のレジェンドが語る仕事論。

    法隆寺解体修理の経験から、木のクセは勿論、どの時代の木材なのかを瞬時に見破る能力をもつ。薬師寺再建にあたっては、設計から予算まで全てのプランを策定し、各セクションの頭領たちを自在に動かす。操作系能力者とみた。決して敵に回してはならないタイプ。

    法隆寺・薬師寺に行く大人の修学旅行生は、本書を事前課題図書とする。

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    2021年11月18日
  • 木に学べ 法隆寺・薬師寺の美(小学館文庫)

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    宮大工の意匠から建築の本質を考えさせられた。
    今の社会は資本主義が先行して25年持てば良い、という考えだが、200年持たせようと考える宮大工の本質的な考え方に感銘を受けた。
    特に、「木の癖を考えて組む」というところは人間にも共通するのでは。その人の本質的な癖を見抜いて、最適な仕事を与えるということが双方にとって長期的な利益になるという視点も持てた。
    どうきても短期収益追求の資本主義社会だが、このようなサステナブルな考え方や構造物を失ってはいけない。矛盾を孕む世界だからこそ、もう一度見つめ直す必要性を感じた。

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    2021年04月14日
  • 木に学べ 法隆寺・薬師寺の美(小学館文庫)

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    素人目で見ると、綺麗に製材された後世の建造物のほうが技術的に優れていると思っていた。知らないという事は恐ろしい。あの時代に既にロストテクノロジーがあったとは。
    しかし、資材の問題、技法の継承など文化を維持していく事は並大抵の事ではないなあ。

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    2020年12月17日
  • 木に学べ 法隆寺・薬師寺の美(小学館文庫)

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    古い建造物だからという理由で、法隆寺を訪れる人がほとんどでっしゃろ。それではあきまへんな。それなら、そこら辺にある石や砂を見たほうが古いとちゃいまっか?
    自然というものを理解し、受け入れて、ありのままの自然でモノを立てる。一見単純そうに見える行程であるが、職人や技能者が最も大切にするべきものが垣間見えた気がした。おおきに。

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    2020年03月17日
  • 木に学べ 法隆寺・薬師寺の美(小学館文庫)

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    薬師寺宮大工棟梁の故西岡経一さんが宮大工として生きた人生から感じ学んだこと。薬師寺や法隆寺など、千年以上の歴史を有する塔や講堂の改築や修繕を手がける中で理解できた、建設当時の技能や材料の質の良さ、現代とは全く異なる長持ちさせるための合理性、そしてこういった技が消えて行くことへの無念さなどがよくわかる。柱の材料となる木を選ぶにしても、その木が生えている土地、風向き、斜面の様子や日当たりなどを考慮して木を切る。年輪だけでなく、ねじれ、湿気などの木のくせを見抜き、組み合わせることで美しく長持ちする建物を立てることができる。木だけでなく鉄も現代のものは質が悪いらしい。だから補強のために鉄筋を入れること

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    2019年02月25日
  • 木に学べ 法隆寺・薬師寺の美(小学館文庫)

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    法隆寺の宮大工である西岡常一氏の話をまとめた本。

    西岡氏のお話が載っている本を読むのは、大分前に読んだ「木のいのち木のこころ」に続いてこれが2冊目となる。1冊目の本と重複している話も多かったが、やはりとても興味深い話ばかりだと改めて思った。

    この本を携えながら、法隆寺や薬師寺に行ったらとても楽しいだろうなと思った。昔、近くに長年住んでいたにも関わらず、一度も行かなかったことを悔いている。

    以前、陶芸は桃山時代が、作刀は鎌倉時代が最も技術的に優れていたと聞いたことがある。本書で述べられている通り、木造建築の技術は飛鳥時代が最も高いとなると、やはりそれぞれの技術においてピークとなる時代がある

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    2025年01月22日
  • 木に学べ 法隆寺・薬師寺の美(小学館文庫)

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    法隆寺、薬師寺に行きたくなった!
    道具の名前や建物の構造などの専門用語がたくさん出てきて理解しづらい箇所もあったが、とにかくヒノキを使いこなした飛鳥時代の大工はすごかったのだと分かる。
    関西弁の話し言葉がそのまま書かれているのでなじみのない人には読みにくいかも…?

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    2024年08月08日
  • 木に学べ 法隆寺・薬師寺の美(小学館文庫)

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    奈良の法隆寺などで活躍した棟梁のインタビュー
    代々受け継がれた技術と教え。残念ながら無くなっていくものがあるんだろう。
    法隆寺、未来に残せるか心配になった。

    学者さんとの喧嘩、なるほどと思った。梅原さんの法隆寺の本読んだけど、いろんな見方あるんだな。
    確かに受け継がれた棟梁の推測の方が納得できる。

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    2023年06月02日
  • 木に学べ 法隆寺・薬師寺の美(小学館文庫)

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    インタビューアーに説明するという形態で、木の事、法隆寺・薬師寺の事、宮大工としての仕事、そして人生訓について語っている。

    著者だけでなく、一芸に秀でている人というのは、総じて話も上手い!

    唯一勿体ないと思う箇所は、建築物や構造体についてもっと懇切丁寧な説明があった方が読者の理解は深まると思う。


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    2019年01月13日