池谷瑠絵のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
様々なSF映画を題材にして、ロボットと人間や社会との関わりを考察している科学新書。大して分量もないので読みやすい。
著者は、いきなりプロローグで「人間とロボットのあいだに明確な境界はない」と言い切ってしまう。生き物を勉強してきた自分にとっても、「人間が核酸とタンパク質のロボットである」と言うことに抵抗はない。それならば「ロボットが金属の人間だ」と言ってしまうことも、十分うなずける考えである。
もちろん人間とロボットは違うモノだと考える人もいると思う。そこで特に言われるのは、感情の欠落だろう。しかしむしろ著者は「アンドロイドだから、いくらでも表情を豊かにすることができる」と述べている。あらか -
Posted by ブクログ
映画の中のロボットの描かれ方を通して、
研究につながるリアルさ、人間を問う視線のありかたなどを検証。
「社会のループ」に入れれば、
ロボットであっても人間と同じ、
コミュニケーションの取れる存在として認識される。
人間にしたって、その心が本当にあるのかどうかを
検証することはできないのだから。
ジェミノイドのスイッチを切ることで、
普段は目にすることのない「死」を感じるというくだりは
ちょっとショックだったなー。
ロボットに競争心を持たせることの可能性には、
危ない部分もはらんでいると思うが、
なかなか興味深い視点だと思った。
「マトリックス」「サロゲート」ちゃんと見てみようかな。 -
Posted by ブクログ
SF映画と現実のロボット技術との対比の中で、「ロボットとは何か?」「人間とは何か?」を考察していくという内容。
何かについて考察するときは、それに非常に近いものとの対比することで、「その差はどこから生まれているのか」を考えるというのが一番ストレートなやり方になる。
ほとんど人間の代わりになるロボットが出てくるSFの世界では、「じゃあ、ロボットと人間の線引きはどこになるんだろう」という疑問を考えずにはいられなくなる。それは、やはり私たちが人間であり、人間に近いものに注目し、その差を意識する、という性質を持っているからだろう。たぶん究極的に言えば、それが人間かどうかを気にするかどうか、というの