向井蘭のレビュー一覧
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出版社より献本御礼。
日本の労働法について、世界各国の労働法と比較しながら、なぜ現在の形となったのかを解説する本。労働法に限った話ではないが、他国や過去を知ると現在の状況が当たり前というわけでないことに気がつく。本書の始めに書かれている通り、本書は業務や学習に直接役に立つタイプの本ではない。当たり前を疑い、労働法と向き合うための本である。
本書を読んで一番驚いたのは、時間外労働の割増率は50%が国際基準であり、日本の25%は少ないということである。労働基準法が制定される時、GHQは国際基準の50%を求めた。しかし戦後の復興期においてはある程度の時間外労働が必要だとされ、その状況で50%は負 -
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人事労務管理の実践的なアドバイス。
基本的には、労働基準法は工業化社会の黎明期に制定され、工場労働者の保護を前提に設計されているという。現代の多様化した社会には、現実的にそぐわない部分も多々あるものの、判例もこれを元にしたものが蓄積されており、実際の運用も影響を受けるという。
特に解雇については非常に厳しく、会社側が勝つことはなかなか無いという。
一方、退職勧奨については、特に制限が無いということである。
また、残業の請求については2年を以って時効となる。
退職させたい社員について、外資系はロックアウトという手法を使うことが多いという。
給料は支払いを続けるものの、自宅待機させるものであり -
Posted by ブクログ
ネタバレ解雇は経営者に相当なリスクがある。異議申し立てをされ、仮処分申請されると裁判が終わるまでの給与を払う必要がある。裁判で負けると、その期間の給与を重ねて払わねばならない。
首を切る解雇には裁判所は相当シビア。特に無能力は数値で出さないと認めてくれないし、認めても教育する義務を果たしていなければ解雇は認められない。代わりに日本では、転勤、人事異動、退職勧奨には緩い。なので、厳しく再教育するか退職してもらう、という方法が一般的に取られる。
そもそも揉めやすい社員を雇わないようにすべき。例えば、給料の話しになった途端饒舌になりとんでもない額を要求してきた。そんなに払えないと言ったら要求をひっこめたが