あらすじ
古くは劣悪な労働環境改善や、長時間労働の是正などのため、最近では同一労働同一賃金、ハラスメント防止などへのために、ルールを定めてきた労働法。細かいルールを正しく理解して適切に対応するのはもちろん大切なことですが、社会状況が変われば、さらなる課題も生まれるものです。
外国人労働者の増加、多様な働き方が求められる今後を考えると、いま存在しているルールを知っているだけでは、新しい課題に立ち向かうことは困難です。
そこで本書は、重要判例や、海外諸国の制度と比較しながら、労働基準法や労働契約法などが制定された歴史的な背景から労働法をわかりやすく解説。「採用時に職務が決まっていない」「時間外労働の割増率が低い」など、日本の特殊な雇用環境や、先進国のなかでは低い労働条件で働いている実態もみえてきます。
実務や試験ではほとんど役に立たないかもしれませんが、物事に対する別の角度からの見方や今後の課題を解決するヒントがみつかる一冊です。
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Posted by ブクログ
ちょうど今、自分が知りたいテーマを平易に分かりやすく解説されていて、とても興味深く読むことができた。労働系法令が国際的に見てユニークな日本の雇用文化に合わせてつくられていることから、海外の同様法令との違いの説明は理解の助けになった。
Posted by ブクログ
背景にある立法者の考えや時代背景、海外との比較について詳しく触れられており、ストーリーとして労働法を理解することができる。
【メモ】
・契約自由の原則:社会生活において個人は、国家の干渉を受けることなく、自己の意思に基づいて自由に契約を結ぶことができるという民法の原則
・労働法制は全体のバランスを取っていることが多く、解雇法制が全体のバランスに影響を与える。
→日本は「客観的に合理的な理由」「社会通念上相当」でないと解雇が認められない。一方で、業務命令により従業員をさまざまな部署や業務に異動させることができる。
・工場法=労働基準法の原型
・労働時間は「使用者の指揮命令下にあるかどうか」で決まる
・労使協定:労基法など、法令上の規制を免除するために締結する(36協定など)
→締結主体は過半数労働組合または過半数代表者
・労働協約:労働組合と使用者との間で締結される労働条件に関する契約
Posted by ブクログ
これが教養レベルなのかはよく分からなかったが(教養と言えるほどには身につかなかった)、トピックを一通り読めて、それぞれの成り立ち・思想、海外との比較などにふれられることはよかった。
Posted by ブクログ
3.5。行政法とは少し、趣きが違う感じがしたが、対ドル通り共用として労働法が学べた。8時間労働の始まりや、日本で初めて週休2日を導入したのはパナソニックなど、興味深い内容が多かった。特にハラスメントや有休などは社会人が思いっきし関わる事なので、一通りこの辺りの知識は知っておいた方が良いと思う。
Posted by ブクログ
日本の労働関連法が、どのような歴史を経て現在に至るか、また、諸外国と比較してどう違うのかという事が書かれている。
特に労働時間の考え方についての内容は個人的に勉強になる内容であった。
人事部門や労働組合は教養として知っておくべき1冊であると思う。また、労務管理を行うものも知っておいて損はない1冊であると感じた。
Posted by ブクログ
出版社より献本御礼。
日本の労働法について、世界各国の労働法と比較しながら、なぜ現在の形となったのかを解説する本。労働法に限った話ではないが、他国や過去を知ると現在の状況が当たり前というわけでないことに気がつく。本書の始めに書かれている通り、本書は業務や学習に直接役に立つタイプの本ではない。当たり前を疑い、労働法と向き合うための本である。
本書を読んで一番驚いたのは、時間外労働の割増率は50%が国際基準であり、日本の25%は少ないということである。労働基準法が制定される時、GHQは国際基準の50%を求めた。しかし戦後の復興期においてはある程度の時間外労働が必要だとされ、その状況で50%は負担が大きすぎると判断。結果、割増率は25%とされ、それが現在まで続いているのである。
割増率以外でも似たような決められ方をしているのがある。復興期に国際基準は厳しすぎるとして、使用者に有利なルールが制定される。当時は復興期の一時的なものという雰囲気だったのに見直しはされず現在に至ると。ルールというものは始めが肝心で、譲歩してはならない。譲歩するならば見直しの期限を明確に設定する。これが重要である。