黒崎視音のレビュー一覧
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黒崎視音『マインド・チェンバー 警視庁心理捜査官』講談社文庫。
『警視庁心理捜査官シリーズ』が徳間文庫から講談社文庫に移籍。書下ろしの最新作で、630ページというシリーズ最大のボリューム。
シリーズが最初に刊行されたおよそ20年前と現在とでは様々な事情が異なるのだが、全く違和感は感じない。
結末には少し不満が残るものの、全体を通じて読み応えがあった。ひと昔前にブームになった猟奇殺人事件を扱うミステリーとプロファイリングの組合せを黒崎視音がリバイバルさせようと挑んだ意欲を感じる。
『プロローグ』と『エピローグ』、『間奏曲』と題されたインターミッションを挟み、三章構成の連作小説かと思って -
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黒崎視音『警視庁心理捜査官 KEEP OUT II 現着』徳間文庫。
新装版が刊行されたので、5年ぶりに再読。中短編3編収録のシリーズ第5弾。
シリーズ第1作は警視庁捜査一課に初めて誕生した女性心理捜査官の吉村爽子が主役の物語で、柳原明日香は吉村が尊敬する上司という役回りであった。第2作でも吉村爽子が主役を務めるが、第3作、第4作の主役は柳原明日香に代わり、この第5作では二人がダブルヒロインという設定になのだが、やはり元公安の女狐と呼ばれた柳原明日香の方が吉村爽子より遥かに上手のようだ。
『嗤う女狐』。時代的には『警視庁心理捜査官』のシリーズ第1作の前になる。柳原明日香の元に27歳の吉村 -
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黒崎視音『警視庁心理捜査官 KEEP OUT』徳間文庫。
新装版が刊行されたので、11年ぶりに再読。前作で活躍した吉村爽子のその後を描くシリーズ第2弾。9編収録の連作短編集。
警視庁初の心理捜査官として任命された吉村爽子は、無謀な単独行動による連続猟奇殺人事件の解決と引き換えに多摩中央署に左遷されていた。所轄の一癖も二癖もある刑事たちに揉まれながら、再び心理捜査官としての自信を取り戻していく吉村爽子。
『第一話 所轄署刑事』。年の離れた夫婦の夫が突然死し、吉村爽子らが臨場する。夫の死は元看護婦だった若い妻による保険金目的の殺人なのか……
『第二話 二二五』。タイトルの『二二五』は誘拐事 -
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黒崎視音『警視庁心理捜査官 上』徳間文庫。
新装版が刊行されたので約17年ぶりに再読。
警視庁捜査一課に初めて誕生した女性心理捜査官である吉村爽子と上司の柳沢明日香の物語はここから始まる。組織に於ける女性の地位が著しく低く、まだプロファイリングの技術が認知される前の時代。吉村爽子が男社会の警察組織の中で自らの信念を曲げずに姿を見せぬ恐るべき犯人に迫る。
被害者は女子短大生。下半身の着衣は乱れ、頭部から夥しい血を流した死体は意図的にポーズを取らされたかのようにうつ伏せに倒れていた。腹部には『ジャック・ナイト』の文字が……臨場した27歳の心理応用特別捜査官の吉村爽子は犯人のプロファイリングを -
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黒崎視音『警視庁心理捜査官 純粋なる殺人』徳間文庫。
何年か振りの『警視庁心理捜査官』シリーズの続編。表題作の中編1編と『蒼い闇』『クリスマスイブの出来事』の短編2編を収録。
『純粋なる殺人』。シリーズ初期の原点に回帰したかのような読み応えのあるストレートな作品だった。東京町田市で2人の女子大生がマンションで襲われ、1人が絞殺された揚げ句に頭部を切断された状態で発見される。もう1人は目隠しと猿轡をされ、結束バンドで縛られた状態で事件現場に残されていた。事件の捜査を指揮するかつて公安の女狐と呼ばれた柳原明日香は多摩中央署から心理捜査官の吉村爽子を召集する。爽子は同期の日高冴子とコンビを組み、 -
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黒崎センセ初の時代物。
綿密な取材と膨大な参考文献があり、その上に、物語として昇華させるための過不足ない脚色が加わっている。こりゃ読み応え十分。
また、主人公ほかキャラクター各々の書き込まれ具合も申し分なし。
ヒロインの脇を固める、気骨あふれる漢たちが良い。
黒崎作品は、サブキャラに魅力的なヒトたちが多いのだ。
時代や立場は異なるが、「市井の人々を護るプロフェッショナルな面々とその矜持」という見方をすれば、これまでの作品の延長線から進化を遂げた作品ともいえる気がする。
(というエラそうな批評)
黒崎作品のこれまで唯一の不満点が、何しろ新作がなかなか出ずに待ち遠しい日々を過ごさなければな -