赤松啓介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
今の山村の風景や日常の暮らしから、昼間の往時の暮らしを想像するのは難くない。
秋祭りや地域の念仏など柳田的な行事は今でも形を変えて存在している。
しかし、夜の暮らしがどうであったのかまでは想像できない。
そのため興味を持って読み始めた。
読み終わって脳裏をよぎったのは、太宰治の「人間失格」。
あれって確か主人が2階にいるにもかかわらず、階下で女性が不義を働いたシーンがあったよなと。
その時に違和感があった。女性は激しい抵抗をした描写もなく、太宰に通報した友人も面白そうにしているのだから。
つまり太宰ひとりが深刻に捉えるのとは対照に、周囲はとてもあっけらかんとしていたのだ。
もし、私の理解が正 -
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最近社会学とか民俗学の本を読まなくなって久しいが、ひょんな事から昨日購入して早速読み始めたら非常に読みやすい。この手の本を一日で読み終えたのは久しぶりです。
古文や漢文のところや、色んな用語の意味がわからないことが多々あるが、そのあとの解説で全体として今でも主張が理解できるのは素晴らしいことだと思う。
第3章が特に読み応えがありました。同著者の夜這いの民俗学とか非常民の民俗学も読んでみたくなりました。
追記:沖浦 光赤著『幻の漂泊民・サンカ』文春文庫を引き続いて読んでいますが、赤松啓介先生の主張は少し行き過ぎの感があります。例えば、
時代や状況など考慮する要素はあるにしても、柳田国男先生 -
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ネタバレ民俗学の父とされる柳田国男は「性と差別と犯罪」を排除してきたといい、
明治維新以来の教育勅語的政策、その処世法の大衆化・普及に手を貸し手先となってきたのが柳田民俗学だ、と痛罵し、
或いは「性とやくざと天皇」を対象としない「常民の民俗学」柳田国男に対し、「非常民の民俗学」を標榜した赤松啓介は、'90年代、時ならぬ注目の人となった。
すでに80歳代の高齢にして、その著書は矢継ぎ早に出版され、また文庫化され、広く読まれることとなるのだが、本書巻末の解説において上田千鶴子は、この現象を「赤松ルネサンス」と賞揚する。
私は以前に「差別の民俗学」を読んでいるのだが、本書は「夜這いの民俗学」と「 -
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Posted by ブクログ
他の口コミにも多いけど、確かに重複するところは多くて、この話さっきも聞いたよ〜っていうお爺ちゃんの話聞いてる感覚、笑
でも確かに思うのはお爺ちゃんの話って今では考えられないようなキテレツなことも多くてとても面白い。
これを読んで疑問に思ったことは明治以前からも、初物が好まれるということ。なぜ男はそんなに女の初めてをもらいたいのかわからない。自分の種だとわかるからなのか!?
でも夜這いが性教育として行われてた時も、初物は好まれると書いてあるが…
なぜだ!!!!!!
明治政府になり統制されて、「戦後のお澄まし顔民主主義」という表現は笑った。そのおかげで確かに、開放的すぎた性とは真逆に裏で事件 -
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民俗学の専門家が、夜這いをはじめとする戦前の性風俗について、実体験を基に書いたもの。長年にわたり関西を中心に体験したことが基になっており、ある一面と言えるかもしれないが、当時の実態をうかがい知ることができた。性に関しては、今では考えられないほどおおらかで、あけっぴろげだったことがわかった。一夫一妻制や、結婚まで貞操を保つといった風習は、明治以降の教育によって植えつけられ、広がっていったもので、戦前には地方を中心に夜這いは普通に行われていたと主張する著者の意見には説得力がある。性風俗を語らず民俗学の権威とされる柳田國男を強く批判している。参考になった。
「婚姻の調査についても、柳田らがわかって -
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Posted by ブクログ
本書は「夜這いの民俗学」と「夜這いの性愛論」が一緒になったものであるが、そのため内容が少々かぶっており、先ほど読んだ内容とほとんど同じ内容がまた繰り返されるということがある。その点が非常に煩わしかった。
しかし内容については非常にためになり、少し低俗な民俗学にも見えるかもしれないが、実際フィールドワークを通じての事実であり、過去の日本の民衆の生活を知る上で非常に効果的だ。
夜這いというタイトルだが夜這いだけにとどまらず、実際の当時の民衆の生活模様が詳細に描かれている。
農村から都市への人口流出などの原因、当時の様々な職業の方々の生活など、セックス文化と生活が密接に関わりあっていることが少し -
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ムラの性風俗、「夜這い」については宮本常一の『忘れられた日本人』にも印象的に記録されていたが、赤松啓介のこの本はもっと徹底している。
乱交と言うほかはないような、相手を問わず、愛だのなんだのという暇さえない性の営みが、共同体を支える実体として、執拗にえがかれていく。かなりむき出しの、赤裸々なエロスの横溢である。この「性」エネルギーは凄い。半端でない。まじめな一昔前のヨーロッパ人がこの本を読んだら、
「日本人はついこないだまで破廉恥な性の野蛮人だった! Oh, my god!」
と絶叫するだろう。ジョルジュ・バタイユも村上龍も、この本に比べたら可愛いものだ。奔出するエネルギーの凄まじさにかけ -
Posted by ブクログ
昭和初期まで残っていた「夜這い」を中心とする様々な性風俗を、自らの経験を交えながら詳細に書き記した一冊。
「一夫一婦制」を中心とした明治の性イデオロギー、近代日本の「恋愛=結婚=性交」イデオロギーが最近創作されたものであり、普遍的な歴史的事象ではないことを示し、柳田民俗学を中心とする体制迎合的なきれいな民俗学を批判する。
この本は語りの文体をとりつつ、叙述されていくが、氏はもと「講座派」の正統派の民俗学者でもある。わざとこのようなくだけたスタイルで文を綴っているのは、整った学術的な文体自体が、表層しか探らないきれいな体制イデオロギーに迎合するものであるとの考えに立って書かれているからである -