トマス・ペインのレビュー一覧
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イギリス生まれ、コルセット職人の子の労働者階級出身の知識人のトマス・ペインがアメリカ独立戦争蹶起を促した檄文の出版である。彼自身特別なわけではないものの、当時のムードがよく言語化されているらしい。
訳者があとがきで提起している「今の日本もそうなっていないか」という問題意識は、その国債発行が1. 土建国家時代の「誰も住んでいない限界集落にぴかぴかの国道が通っている」過剰なインフラ投資、2. 民主党-安倍政権時代の「死体に赤ん坊を食わせる」医療福祉補助金等、純然たる無駄・詐欺に繋がっているならば全くそのとおりである。
【引用】
- アメリカの大義は大部分、全人類の大義でもある。 (p. 11 -
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植民地アメリカの人々を独立戦争へと駆り立てた冊子の新訳。
我々からすると、アメリカとは超大国であり、独立戦争は歴史のなかで当然の通過点と思ってしまうが、当時のアメリカ住民からすればまだまだ発展途上の不安定な土地だったのだろう。この本を読むと、そうした感覚が伝わってくる。
著者トマス・ペインは、そんな彼らを力強く鼓舞し、宗主国のイギリス王室をかなりこき下ろす。ちょっと、彼の身の安全が心配になるレベルで、口汚く断罪している。
だがしかし、独立を促す説得力はある。独立の必要性、しなかった場合のリスク、なぜそれが今すべきなのか、をしっかり説明している。特に、著者も触れているがイギリスがまさに課税や -
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レキシントンの戦いから八ヶ月以上が過ぎた十七七六年一月の時点においても、独立を積極的に主張するアメリカ人は少数派だったのだ!
イギリスの態度に不満はある、けれども戦争に訴えてでも独立をめざすのは行き過ぎではないか――多くの人々はこんな葛藤を抱え、態度を決めかねていた。
『コモン・センス』は、この状況を一変させた。
もはや流れは決まった。独立戦争の遂行はアメリカの常識となったのだ。13
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『コモン・センス』はまずもって、「イギリスとの全面対決をためらうアメリカ人にたいし -
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世界を変えた一冊として、歴史教科書でも取り上げられることのある、言わば檄文の書。
第一章、第二章では、国家の役割の一般論から始まりイギリスの統治形態について、そして旧約聖書を引き合いに、君主制、世襲制の理不尽さを糾弾する。
「以下、私が示すのは単純な事実と平明な主張、そして常識である」として、著者は論を進めていく。
第三章では、イギリスとアメリカの関係に考察を進め、アメリカに対するイギリスの強圧的姿勢を批判するとともに、一時的な妥協ができたとしても、アメリカはイギリスの政治体制においては従属的な客体にすぎないと、その関係性を喝破する。
また、本章では、独立に当たっての見取り -
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トマス・ペイン「Common Sense コモンセンス―アメリカを生んだ「過激な聖書」」(佐藤健志訳)を読む。
もともとアメリカの歴史にあまり興味はなかったのだが、独立の背景となる本書を読んで、目からウロコが落ちた!と云えるかも知れない。この「コモンセンス」、アメリカとイギリスが武力紛争に突入した1年後に発行され、発刊より3か月で12万部とも1年で50万部とも云われる。当時の新大陸アメリカの人口が250万人だったのを思えば、まさに空前の大ヒット。この書によってアメリカの民衆がイギリスからの独立へ決起したと云っても過言ではないのだろう。まさに歴史を作った一冊と云うことになる。
しがな