木村政則のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「人間の不可解さを浮き彫りにする珠玉の6編」とあるように、まともだなぁと思っていた登場人物が話の進展に伴い黒い面を見せてくれる。個人的に良かったのは、「雨」「掘り出しもの」だろうか。今までミステリは避けて通ってきたが、これだけ面白いなら手を出してみようかな、と思う。思うだけでもある。
人間の醜く卑しい面を見せつけつつも、どこか笑い飛ばせるような読後感。「雨」のデイヴィッドソンなど、どんなオチで締められるのかと思ったら、まさかそこまで堕ちるとは・・・聖人なんていないよね、と思ってしまう。
人間と絆、月と六ペンスを読んだ際に感想を書くのを忘れてしまったのが悔やまれる。もう一度読み直してみようか -
Posted by ブクログ
同時に読み始めて、永井荷風の「四畳半襖の下張」から9日遅れで読み終えた。芸術か猥褻か、の判例で有名な作品だが、猥褻さはほぼ感じない。ベッドシーンはせいぜい数%程度か。(猥褻さは、村山由佳さんの「ダブルファンタジー」の方が十倍位えげつない。)
内容は、純愛小説のような、昼ドラ小説のような。身も蓋もない言い方をすると、体の相性が妙に良い39歳の森番と20代の若奥様がセックスに嵌る、というお話。妻は世間体を気にしながらも最後は夫に告白し、夫は人格が崩壊する。
純愛といえば純愛なのだろうが、恋愛のスイッチはどこにあるのかも分からなければ、いつオンになるのかも分からない以上、出会い頭の衝突事故のようでもある。
主人公2人のうち、コニー(女)の方は現代的で魅力的だが、メラーズ(男)の方は正直行けすかない。身分差はともかく、夫が荒れたのは分からないでもない。。
100年近く前の作品としては、新訳のおかげか随分読みやすかった。
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Posted by ブクログ
クリフォード・チャタレーの妻コニーは、“男と恋に落ちるには、まず言葉で親密な関係を築く必要(p21)”がありました。そのため、性生活をあまり重視しないクリフォードとの、“性を超え、男の性的な満足感も超えた自分たちの間柄に”、“多少の誇らしい喜びを覚え(p31)”ていました。
“ただコニーはどうしても子供が欲しいと思った(p31)”のですが、クリフォードが戦地から送り返されてきたとき、ずたずたの状態で、一命は取り留めたものの、体の下半分、つまり腰から下が永久に麻痺したままとなってしまいました。
いつしかコニーには、“自分を犠牲にし、クリフォードに一生を捧げてどうなるというのか(p151)”という“反抗心”がくすぶります。そして、森番のメラーズに恋をします。
裏表紙には“地位や立場を超えた愛に希望を見つけようとする男女を描いた至高の恋愛小説”と書いてあります。確かに二人の地位は異なっており、それでも関係なく惹かれ合う恋愛でした。
しかし、読んでいて二人はいつか別れるのではないかと思っていました。メラーズが妻バーサ・クーツとなかなか手を切れずにいて、彼女が下品な話を触れまわっているとコニーが知ったとき、“遠方に来ている自分までもが汚辱にまみれようとしている”と、“メラーズに怒りを覚え”(p550)ています。また、コニーが「赤ちゃんができたの(p572)」とメラーズに言ったとき、メラーズの顔からは、いっさいの表情が消えます。コニーが「うれしいと言ってちょうだい(p572)」と言っても、メラーズは言ってくれません。
それでも、最後のメラーズからコニーへの手紙は、美しく、愛している気持ちと、希望を感じることができました。