平山優のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ真田信之を通じて、教科書では洗う事のない江戸初期の政治事情・風土が分かる
まだ、戦国を引きずる武将が多くいるじだいは、行政を行う立場は大変な事と想像できる
大河ドラマ大泉洋を重ねてはイケないが、生真面目に法理主義を貫く一方で戦国大名の気性が垣間見れるのは、平山先生の筆力のおかげかも知れない
徳川方についたタイミングとかが通説とちがうとなると、行動の理由がガラリと変わる
江戸初期の豊臣家と徳川家の態度は今まで習った歴史と違う、考えればそうかなと思う事もあるが、家康の晩年も豊臣政権だったと言えなくもない
浅間山噴火や飢饉によりヒドイ状態からの経営だった
松代藩を見すぎて藩をつぶした、騒動もおきたラストだけは人知の及ぶところではないのかもしれないが切ない -
Posted by ブクログ
2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」時代考証に名を連ねる平山優の著作。
放映開始時に購入していたのですが、積ん読のまま、ようやく今読みました。
昨年(2017年)のNHK大河ドラマ「おんな城主直虎」で穴山信君が「あなやまのぶただ」と呼ばれていたのが気になりましたが、本書ではこの読みの訂正の経緯が示されていて「歴史学の進歩は著しいのだな」と目から鱗が落ちた思いでした。
(1988年のNHK大河ドラマ「武田信玄」の続編であるところの新田次郎作新装版 武田勝頼(一)陽の巻 (講談社文庫)では「あなやまのぶきみ」とルビが振ってあったように記憶しています。)
1988年の「武田信玄」放映中に山本勘助の墓が見つかって、忍者ではなく、れっきとした足軽大将であることが判明し、風林火山―信玄の戦いと武田二十四将 (歴史群像シリーズ 6)で時代考証の上野晴朗が苦悩を披瀝しているのを読んで
「最近になっても、新しい発見とともに歴史は明らかになるのだな。」
と感慨深かった記憶がありますが、
さらに三十年経て、
本書でも「真田家」にまつわる新事実が沢山読めて満足でした。
と、言うわけで、本書で扱う真田三代は、
真田幸隆ではなく、真田幸綱。
真田昌幸はそのまま(笑)。
真田幸村は真田信繁として記述されます。
それだけでなく、領国支配の経緯が詳しく面白く感じました。
特に上野(群馬県)での武田、真田の領地、拠点の確保にまつわる努力、苦労が鮮明になったように思います。
大河ドラマ「真田丸」では、沼田城に居座って北条の大軍を相手に奮闘する真田幸綱の弟(矢沢頼綱)が後に豊臣秀吉の惣無事令を無視して沼田城を増強したり、おもしろく描写されていましたが、本書ではそのようなコミカル(ユーモア)は抑えて、時代の流れと成り行きがわかりやすく示されていて良かったと思います。
武田家滅亡後、北条、徳川、上杉と頼る大名を次々と変えて「表裏卑怯のもの」と嫌われていたと思っていたのですが、
頼る先を変更するのも経緯が分かり納得できましたし「表裏卑怯」と言うのも必ずしも「危険人物なので注意しろ」と言う意味に留まらず、賛辞でもあることがわかり嬉しかったです。
武田/真田贔屓である僕にとっては必読の本でした。面白かったです。 -
Posted by ブクログ
戦国大名の領国は、軍事侵攻で制圧した直轄支配地域と、彼らに従属した「国衆」(先方衆とも)が排他的に支配する「領」(「国」)とでモザイク状に構成されていた。この戦国期固有の領主はいかに誕生し、大勢力の狭間で翻弄されながらも、その傑出した実力で戦国大名の権力構造にどのような影響を及ぼしていたのか。武田氏を主軸に、史料渉猟から国衆の成立・展開・消滅の歴史を追い、戦国大名の領国支配と軍事編成の本質を総括・通覧する。(2018年刊)
・はじめに
・第一章 戦国期の国衆と先方衆
・第二章 室町期国人領主の成立と展開
・第三章 国人領主から国衆へ
・第四章 戦国大名領国下の国衆「領」(「国」)
・第五章 国衆の武田氏従属
・第六章 先方衆としての国衆と武田氏
・終 章 武田氏滅亡と国衆
・あとがき
はじめにによると、本書は「戦国大名武田氏を素材として、その領国支配と軍事編成の特徴を、国衆を軸に紹介することを目的」とし、「戦国大名武田氏の領国支配と軍事編成の特徴を通覧すること」を目指したとある。
まずは、国衆、先方衆とは何か、先行研究を踏まえ、概念の定義がされている。
つぎに、室町期の国人領主制について解説され、室町期の国人領主が、国衆へと変化する様子が書かれている。
著者らしく、手堅くがっちりと、まとめられており、大変勉強になるが、これまでの著書と比べ、取っつきにくく、人によっては好みの分かれるところであろう。(例えば、武田氏滅亡は、その出来事自体が、ドラマチックであり、ぐいぐいと引き込まれるが、本書は、戦国史研究や国衆論に、関心が無いと、読み進めるのがつらい。そういう意味では、読む人を選ぶ本である。)
また、武田氏従属の国衆についても、重厚な記述がされている。自分は、長野県人なので、地名にも、ピンとくるくるが、土地勘が無いと、読むのがと辛い気がする。
個人的には、知的な好奇心を刺激され、面白く感じたが、タイトルは、「戦国大名武田氏と国衆」でよかったのではないかと思う。
選書らしい1冊でありお勧めである。 -
Posted by ブクログ
真田丸において、『苦労』のみがコミカルに強調されすぎた感のある真田信之、彼の苦労は…真田丸に描かれた様な『軽い』ものでは無かった!!
『犬伏の別れ』で父、弟と袂を分かって徳川方について以降、苦難に次ぐ苦難。難局に次ぐ難局。
・九度山に流された父・弟への仕送り
・浅間山の度重なる噴火
・内政を重視しようにも、災害が続いて農民が逃げ出す。<身銭を切って連れ戻したり!
・そんなこんなだから藩の財政は大変です!
・松代へ転封されたら、一部家臣が集団で離反したり
・御家騒動(それも、息子が先に亡くなっての御家騒動×2
・領内でのキリシタン問題まで!
etc.etc.
よくぞこれだけの難局を乗り切って真田家が続いたものだなあと、もはや呆れるしか無い。 -
Posted by ブクログ
戦国時代を代表する知将・真田昌幸の嫡男真田信之は、父や弟の信繁と別れて徳川側につき、真田家を守り抜いた男として知られる。父子の別れの場面である「犬伏の別れ」での筋を通した決断力は、晩年の「真田騒動」を解決する際にも発揮された。関ヶ原の合戦後、信之は相次ぐ浅間山噴火や戦災で荒廃した領国の復興に取り組む。その後、徳川家にとって重要な藩であった松代藩に転封。やがて「天下の飾り」と呼ばれ、徳川将軍が隠居を許さない存在となった。義を重んじた男の九十三年の生きざまを、真田家研究の第一人者が綴る決定版。(2016年刊)
・はしがき
・第一章 信之の生い立ちと家族の群像
・第二章 武田氏滅亡の衝撃と天正壬午の乱
・第三章 真田昌幸と信之の飛翔
・第四章 信之の決断
・第五章 苦難の連続だった信之の内政
・第六章 大坂の陣と信之
・第七章 上田から松代へ
・第八章 「土呑み裁判」からキリシタン対策まで
・第九章 相次ぐ不幸
・第十章 信之、最後の戦い
・あとがき
待望の「真田信幸」の伝記である。一応、その誕生から死去までを扱っているが、上田時代が大半を占める。平山先生の著書にハズレはないが、いくつか特筆する点をあげると、真田氏時代の上田城をめぐる考察が、大変興味深い。
荒廃した上田領を復興させようとする取り組みが、第五章で論じられているが、連年のように噴火する浅間山は、農地の荒廃に直結し、凶作や飢饉に繋がったという。本書に収録されている災害年表を見ると、まるで賽の河原で石を積むような感がする。慶長末年以降、病気がちであったとするが、為政者としての重圧によるストレスが影響しているのではないだろうか。
また、松代転封についても、徳川氏の嫌がらせではなく、秀忠から信頼され、北国のかなめの城を任されたとしている。池波正太郎の真田太平記のようなお話は小説としては面白いものの、徳川の与力大名であったことや徳川氏の養女として小松殿が嫁いでいること、関ヶ原の動向をみても、(別家ともみえる)信之が嫌がらせを受ける筋合いは無いと思っていたので、腑に落ちる思いがした。(高野山にいた、信繁の大坂入城だって、信之の責任は問えまい)
松代への転封は、家臣団との関係を再構築することになる。城下町の拝領屋敷への居住や地方知行制ではあるものの各地に細分化されて与えられたため、家臣達は知行地との結びつきを失うこととなったという。転封により、主君の力が強化されたことが、のちの御家騒動を乗り越える要因となったのではないだろうか。
莫大な蓄財をどの様に行ったのか、疑問であったが、転封により、御料所が、上田時代の20%から60%にまで増加したことが、27万両の蓄財の足がかりとなったという。
松代藩と沼田藩の関係について、信之は、沼田藩を信綱系の血筋で、継がせようとしたというのも面白い。沼田領において、キリスト教の布教が盛んであった事や、その対策に悩まされたことなど興味は尽きない。
大河ドラマの影響もあり、真田氏研究は一気に進んだ感があるが、本書は随所で著者が、「記して後考を待ちたいと」書いてあるように、より一層研究の進展が望まれる。本書は、今後、真田氏を研究するうえで欠くことの出来ない必読の一冊であり、お勧めである。 -
Posted by ブクログ
真田研究の第一人者が、新たな信繁像を打ち立てる。図版や資料も充実した最新研究のすべて。大河ドラマ「真田丸」時代考証担当者の書下ろし最新作。
豊臣秀頼を滅ぼした徳川家康の意外な真意とは。信繁たち大坂方の浪人は、大坂の陣でどんな役割を果たしたのか。彼らの活躍は両陣営の戦況と政策に如何なる影響を与えていたのか。勝者と敗者を分ける「その時」を捉えなおし、真田信繁像や大坂の陣論に、新たな視座を提示する。(2015年刊)
・序「不思議なる弓取」と呼ばれた男
・第一章 真田信繁の前半生
・第二章 父昌幸に寄り添う
・第三章 関ヶ原合戦と上田城攻防
・第四章 九度山での雌伏
・第五章 真田丸の正体
・第六章 大坂冬の陣
・第七章 大坂夏の陣
・終 章 真田信繁から幸村へ
信繁の発給文書は20点が確認出来るという。史料が少ないのに380ページの大著にまとめ、内容に説得力をもたせるとは、さすが平山先生である。信繁は「不思議なる弓取」と呼ばれたそうであるが、さほど実戦経験が無いと思われるのに何故、日本一の強兵と呼ばれたのか疑問に思っていたのだが、本書ではその一端に迫っている。
p320梶原美濃守政景、太田安房守資武、菅沼休巳ら歴戦の老将の「私たちは関東で二、三百人の敵といつも戦ってきた。だがこれほど広大な戦場に五万、三万の大敵を相手にしたことはない、今回ばかりは、実戦経験者もそうでない者も立場は同じである」というの話を聞くと、信繁の活躍は、なおさら不思議に思う。
また、大坂方の浪人衆が歴戦の強者であったのに対し、関ヶ原から15年経つうちに、世代が交代した幕府側が、戦慣れしておらず味方崩れが頻繁に発生したというのも面白い。冬の陣は、実質的に豊臣方の勝利であり、幕府側のメンツのため、堀をを埋めることにしたのだという。
厚いのに読みやすいので苦にならず、その面白さにグイグイと引き込まれた。真田信繁について知りたい方は、まずは読むべし。本書は、必読の1冊であろう。 -
Posted by ブクログ
真田一族の実像を知ろうとすると、多くの空白や闇が立ちはだかる。失われた故郷を取り戻した幸綱、武田家滅亡の大混乱から一躍大名となった昌幸、豊臣家に殉じた信繁、卓越した政治手腕で家名を守り抜いた信之。彼らは戦乱の世をいかに生き、なぜ日本人の心を揺さぶり続けるのか。真田一族にまつわる100の謎を最新研究で解き明かし、その真の魅力に迫った決定版。文庫書き下ろし。(2015年刊)
・はじめに
・第一章 真田幸綱編
・第二章 真田昌幸編
・第三章 真田信之・信繁編
・おわりに
文庫本ながら濃密な1冊でオススメである。Q&A形式で読みやすく、知りたい項目が探しやすい。大河ドラマ関連の本としては、何を置いても読まねばならぬ本である。 -
Posted by ブクログ
非常に興味深い一冊であり、武田信玄亡き後の勝頼の奮闘ぶりがよく描かれている。
長篠の合戦、そして高天神城の戦い。
この二つの敗北を境に、武田家では次第に人心が離れていき、最終的には攻め滅ぼされるに至った。まさに「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」という言葉が示す通りである。
織田信長は宿敵であった武田信玄の死、そして武田家の滅亡を喜んだとされるが、その一方で敵将としての信玄、さらには武田の武将たちを高く評価していたことも事実である。しかし皮肉なことに、武田家滅亡の直後、信長自身は京都・本能寺において自害することとなる。
これとは対照的に、徳川家康は武田滅亡後、その旧領を掌握するだけでなく、旧武田家臣団を積極的に取り込み、自らの勢力を大きく拡張した。武田の軍制や人材は徳川政権の中核となり、天下平定への重要な足がかりとなったのである。家康にとって武田家は、生前においては最大のライバルであったが、滅亡後には徳川政権の礎へと転じた。そこに、勝者と敗者を分けた決定的な差を見ることができる。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ忍法を駆使する忍者はフィクションであるという認識は一般的だと思うが、その元である忍びの者はどのような存在であったかを、戦国時代の研究者である作者が丹念に多くの資料を探勝して明らかにした研究解説本である。
忍びの呼び名も、地域や役割などで多彩であり、したがって実態がつかみにくくなかなか全貌は把握しにくい。しかし、全国各地の古文書をこれでもか、という感じで紹介し、実例を多く挙げることにより素人の読者でも少しずつイメージができ上っててくるように思う。
巷間に伝わる特殊技能の持ち主で派手な振る舞いの忍者イメージと異なり、武士にもなれず百姓にもなれないアウトローの集まりであって、危険な汚れ仕事をやらされていたことが明らかになったと言えるだろう。正史には表れない名もない使い捨ての存在が、歴史を動かすこともあったのである。