ジョン・A・リストのレビュー一覧

  • そのビジネス、経済学でスケールできます。

    Posted by ブクログ

    私は経済学出身でないが、目から鱗であった。
    まずスケールアップという考え方を初めて知った。そしてスケールアップするには何に注意しないといけないか。特に限界分析のところは私の仕事にも活かせる。

    著者の経歴がものすごいことにより、説得力も生まれる。

    これだけ論理的に書かれていて、さらにチームの精神面もケアしているところが評価できる。しかもエビデンスに基づいて。

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    2026年04月21日
  • その問題、経済学で解決できます。

    Posted by ブクログ

    実験のできない経済学から、実地実験の経済学へ。問題は何か?(何が困りごとか。)のブレイクダウン、要素分解から、解決方法を探るためには、実地実験こそが大事だということ。重要なことは、インセンティブが何かを知ること。また、インセンティブ、いつ、誰に、どのように与えるかによって、結果が全く異なるということ。これは、実地実験を行い、コストをかけず成功例を見出すことが大事。特に、大企業では、これまでのやり方が踏襲され、実地実験をやりたいにも、承認待ちとなり、なかなか変革が起こらないのではないか。重要なことは、実地実験をする風土を作ること、風土を作るにはどのようなインセンティブ制度が必要かも、実地実験で確認することである。

    これまで、経験が重要と言われてきたが、大事なことは、経験ではなく、実験なのではないか?ここは、新しい気づき。経験が大事ということについて、疑心があったが、実験が大事ということであれば、納得する。

    自分が所属する企業、部署は実地実験の文化風土があるだろうか?実験というと、科学実験をイメージしがちだが、日常の行動経済学にも、そのような土壌があることを認識しているだろうか?

    例として、イスラエルの保育園や人種による差別等。彼らはイデオロギーで差別しているのではなく、彼らに働くインセンティブによってそう行動している。すぐに結論づけるのではなく、何がインセンティブとして働くのか?しっかりと議論する必要があると学んだ。

    テクニカル用語として、利得フレミングと損失フレミングがある。どっちが有効かは実験次第、だが、飴と鞭の使い分けが大事。前者は達成できたらお金を払う、後者は達成できなかったらお金を返金してもらう。という感じで。

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    2026年01月18日
  • そのビジネス、経済学でスケールできます。

    Posted by ブクログ

    はじめに 失敗に終わるのか、拡大に向かうのか
     素晴らしいアイデアが、完全に実を結ぶという法則はどこにもない。じつは、すべての素晴らしいアイデアに共通しているのは、成功する保証はない、ということだ。
     医学上の画期的発見、消費財、技術革新、政府のプログラム、その他のどんな事業も例外なく、当初掲げた目標から広範な影響を及ぼすまでに至るには必要なことが一つある。「スケーラビリティ」、つまり、力強く持続可能な形で成長させ、拡大する能力だ。
     簡潔に言えば、スケールがあって初めて世界を変えることができるのだ。

     これらの事例は、すべて「ボルテージ・ドロップ(熱気の低下)」に関係している。ある事業が規模の拡大がうまくできず、プラスの効果が消滅する(「ボルテージ・ドロップ」とは、実理科学の文献に由来する用語で、エイミー・キルボーンらの研究に遡ることができる)。ボルテージ・ドロップが起きるのは、それまで人や組織を動かしてきた将来の芽がなくなり、結果、カネやハードワーク、時間が無駄になり、希望を打ち砕かれるときだ。そして、それらには驚くべき共通点がある。ソフトウェア開発から医学、教育まで分野を問わず研究の妥当性をモニターするために創設された事業「ストレート・トーク・オン・エビデンス」によれば、施策や事業の50%から90%は、規模の拡大に伴ってボルテージが低下しているという。


    第1章 チェックリスト①偽陽性や詐欺ではないか
    ▪️企業はどうすべきか
     一般的な教訓はこうだ。第1に、企業は従業員を、アイデアを売るだけでなく利益共有に関与させるべきだ。スケーリングや買収の重要な判断を従業員が下す場合は、特にそうだ。スタートアップ以外の世界では、そうしたケースは少ないが、報酬を将来の業績の指標と連動させるケースは数多くある(たとえば、小売りチェーンのバイヤーや出版社の編集者の報酬は、彼らが買いつけた商品や書籍の売上高と連動している)。組織内でインセンティブがしっかりはたらけば、スケーリングに伴うエラーは少なくなる。
     第2に、リーダーの立場にあるなら、部下が「パイアスの破壊者」になってくれるようなインセンティブを与える。これまで見たように、従業員に真実を述べるインセンティブがなく、アイデアを思いついた当人が、その検証役を兼ねている場合が少なくない。もっと広く言えば、どんな企業も組織も、その構造のなかに、悪魔の提唱役をしてくれる補佐、チーム、機能——多くのデータや証拠を常に求める勢力——を埋め込んでおくべきだ。ほんとうに良いアイデア、スケーラブルなアイデアなら、徹底的に突っこまれても持ちこたえるはずだ。


    第2章 チェックリスト②対象者を過大評価していないか
     当時も将来もウーパーに対抗するうえで、戦略の根幹に商品差別化と顧客ロイヤリティを据えるべき、とのローガンの主張には全面的に賛成した。その理由は、ウーパーのような手強いライバルとの激烈な価格競争からうまく逃げるには、価格以外の何かに力を入れるしかないからだ。だが、商品差別化と顧客ロイヤリティという二本柱をどう新戦略に活かすのかについてを入れるしかないは、意見が食い違った。ローガンは有料会員制が決め手だと自信をもっていたが、わたしはそれではうまくいかないとの確信があった。その根拠は、コストコやネットフリックスのような企業とはくらべものにならない、リフト特有のベースラインの脆さだった。わたしの考えでは、サブスクリプション・モデルでスケールアップできるのは、それによって、容易に手に入らない商品やサービスが手に入る場合だけだ。それこそが、コストコの成功の秘密の源泉であり、会員は会員証を提示しなければ中に入ることすらできない。これと対極にあるのがライドシェア市場であり、画面をタッチすれば、ほどなくウーパーかリフトの車が到着する。タクシーや鉄道など低料金の他の選択肢もある。コストコで鶏の胸肉ーポンドを買おうと考えているとき、別の会員制スーパー、サムズクラブのアプリを操作して、鶏の胸肉をバスケットに入れてもらうようなことはないだろう。
     さらに、加工食品やデパートで扱われる商品は、どこでも価格や品揃えが大して変わらないが、コストコは、他の小売店では簡単に手に入らない商品の選択と在庫に力を入れている。一方、ライドシェアリングは、ミクロ市場のダイナミック・オペレーティング商品であり、価格、需要、(乗客を乗せられる車の)供給、到着時刻が常に変動している。1社のドライバーの供給が払底すれば、料金が跳ね上がるか、待ち時間が大幅に長くなり、乗客は競争相手に簡単に乗り換える。実際、多くの人はウーパーとリフト両方のアプリを登録していて、両社の待ち時間と料金を素早くチェックしてどちらかを選んでいる。切り替えるのは造作もない。別のアプリをタップして、待ち時間と料金を確認し、もう一度、タップして申し込む。タップ、タップで完了だ。
     コストコ・モデルは、このようには機能しない。ネットフリックスのようなサブスクリプション・サービス(会員制サービスとほぼおなじ)もそうではない。一般に視聴者は衝動的にサプスクリプションを解約して、その場で別のネット配信サービスに乗り換えることはない。アカウントを作成し、クレジットカード情報を入力するという手間が必要だ。くわえて、ネット配信サービスでは、豊富な選択肢から選べるように、同時に二つ以上のサイトに登録し、料金を支払うことが多い。
     また、コストコの会員だからといって、他の店で買い物しないわけではない。家庭用品はすべてコストコで買っても、生鮮食品は品揃えが違う他の店で買うこともあるだろう。ライドシェアリングでは、こうした差異はない。多くの場合、迎えに来る車のフロントガラスには、リフトとウーバーの両方のステッカーが貼ってある。ドライバー自身も、二つのアプリを使い分けているのだ!そして、コークとペプシのように似たような商品でも違うブランドになっているが、リフトとウーバーのドライバーは、ブランド化に力を入れていないばかりか、顧客のロイヤリティ獲得にも熱心ではない。会員サービスの場合、乗車体験以外に、会員でなければ簡単に手に入らない商品やサービスを付加できない限り(ユナイテッド航空と提携して、リフトのロイヤルカスタマーにのみ無料のアップグレードサービスを提供する等)、スケールアップは不可能と言わないまでも、むずかしいとわたしが強く主張した理由はここにあった。そして、わたしが懸念した課題は、これだけではなかった。


     リフト・ピンクの逸話が物語っているのは、どんな事業でも、スケールアップするうえでの課題は顧客を理解することが不可欠だ、ということだ。商品やサービスを提供する場合でも、政策介入する場合でも、現在の対象者(顧客)がどんなタイプなのかをほんとうの意味で理解していなければ、スケールアップした場合にどんな人たちが反応してくれるか正確に予測することはできない。つまり、第1章で論じた偽陽性のハードルを乗り越え、アイデアのスケールアップの有効性を信頼できる形で示すことができたとすれば、次のステップは、「アイデアがどこまで広く通用するか?」を問うことになる。一般に、文化や気象、地理、社会経済集団の垣根を越えてアイデアや事業を広めようとする場合、人の選択が大きく異なるのは避けられない。そして、パイロット調査やソフトローンチ(限定した地域や対象向けの先行発売)の参加者は、それぞれの土地や文化に特有の行動をとるリスクが常にある。バカバカしいほどわかりやすい例で言えば、新作のビーチウエアは南カリフォルニアでは飛ぶように売れるだろうが、アラスカまで太平洋沿岸全般に展開するのは無理がある。同様に、地震対策キットは、地震に弱い地域ならよく売れるだろうが、他の地域ではそれほど売れないだろう。そのため、新たな広告キャンペーンを全国展開しても意味がない。


    ▪️うまくいかなかった例
     電力事業向けの顧客エンゲージメント・プラットフォームを提供するオーパワーは、2008年、節電プログラムを立ち上げた。顧客には、おなじ地域内の他の住民と比較した電力使用量状況を知らせる手紙を送る。近隣住民の使用量を知れば、節電の意欲が高まると期待したのだ。オーパワーは、全米の860万世帯を対象にした第Ⅲ相ランダム化試験で、行動の「ナッジ」(省エネ・アドバイス)を実行した。聡明な若手エコノミストのハント・アルコットがデータを詳しく見ると、当初の結果は驚異的で、電力使用量が大幅に減っていた。その後の何度かのトライアルでも、同様の結果が再現された。これなら全米に拡大してもうまくいくはずだ。そう考えた。だが、それは間違いだった。
     数百万世帯を対象にした最初のテストで好結果が出たとしても、プログラムをスケールアップできるか否かは、最初のナッジ・プログラムに参加した標本集団と、その再現性にある。住民の環境意識が高い地域では、トライアルへの参加が多い傾向があり、顧客はナッジに反応しやすかった。だが、価値観や優先度が異なる地域にプログラムをもっていくと、手紙では針1本動かせなかった。最初の市場では目覚ましい結果を出したが、他の地域ではボルテージが大幅に低下した。全米に広げたとしたら、大誤算になっていただろう。少なくともボルテージは大幅に低下したはずだ。
     オーパワーは、「エリアの選択パイアス」を除外していなかったし、自社のパイアスにも気づいておらず、データの正確な解釈ができなかった。標本集団が全体をどこまで代表しているのか読み間違えるのは、標本集団のさまざまなセグメントが、スケールアップした場合の対象者とどう異なるかを完全に理解していないからだ。こうした選択バイアスの問題の大きさを実感したのが、シカゴハイツのプロジェクトだ。


     じっくり身のまわりを観察すると、至るところに交渉可能財と交渉不可能財が存在していることに気づくはずだ。自動車を分解して部品にしてみると、どれが交渉可能財でどれが交渉不可能財かはすぐわかる。自動車本来の目的を果たすには、4本のタイヤとエンジンは不可欠なので交渉不可能財だ。一方、最先端のナビや後部座席のテレビ画面は、なくても構わないので交渉可能財だ。経済学では、こうした部品の価値をウエイトづけすることを「ヘドニック・アプローチ」という。スケーリングの科学では、おなじようにヘドニック・アプローチでアイデアを評価することが、中心的な課題になる。
     交渉不可能財の価値は無限大だ。スケールアップする際、それなしでは機能しないのだから。一方、交渉可能財の価値は有限である。スケールアップは、交渉不可能財が入手できる限りにおいて成功する。一般に、事業が成功していても、交渉不可能財をスケールアップできなくなった時点で、ボルテージは下がり始める。


    第3章 チェックリスト③ 大規模には再現できない特殊要素はないか
    ▪️適切なインセンティブの導入
     当然ながら、本人のためになるはずの薬をなぜ飲まないのかという問題は、トレーダージョーズでディップをなぜ買わないかよりも、心理的に複雑な問題だ。薬の場合、支払いはただちに発生するが、その効果を実感できるのは先なのに対し、トレーダージョーズのディップは、口にした瞬間に美味しさが実感できる点に違いがある。人間には目の前の事柄を重視する「現在バイアス」があるので、効果が表れるまでに何週間も何か月もかかったのでは、薬をきっちり飲んでもらうのは簡単ではない。とはいえ、突き詰めると、どちらのケースも(その中間のあらゆるケースも)課題はおなじだ。成功するかどうかは適切なインセンティブの導入にかかっている。それができなければ、どうなるか。わたしは、シカゴハイツ幼児センターの教育カリキュラムで実際に経験した。


     では、ノンコンプライアンスやミッションの迷走を、組織はどう阻止すればいいのか。出発「点としては、それぞれに経済的、心理的なインセンティブを取り込むことだ。コンプライアンスを向上させるには、そのメリットをすぐに目に見える形にする一方、コンプライアンスのコストを下げる。ミッション・ドリフトに関しては、たとえば、企業の創業者や、最初に画期的な発見をした科学者など、アイデアを忠実に守ることに個人的な強いこだわりがある人がいると、実行チームによる迷走は最小限にとどまることがわかっている。要するに、実行役がミッションをなぜ実行するか理解していれば、思い入れがぐっと強くなる。
     だが、21世紀のビジネスでは、スケールアップした場合に深刻なボルテージ低下につながる交渉不可能財への忠実度の欠如が、迷走とは関係ない場合が多い。一見、見事にスケールアップできそうな素晴らしい新素材——革新的な最新テクノロジーの導入をした結果なのだ。


    ▪️スマート・テクノロジーとスマートでない人々
     ほとんどのデジタル技術は、本質的にスケーラブルだ。一連のコードは即座に無限に複製できるし、人々はまさにそのために、それなりのカネで購入したのだから、製品にすぐ「適応」できる。そのため、最新技術が事業の基盤にあれば、規模を拡大してもおなじものが複製されるだけなので、交渉不可能財は安泰だと思うかもしれない。だが、そううまくはいかない。
     第2章で取り上げた節電プラットフォームのオーパワーの例を思い出してみよう。節電イニシアチブを導入して2年後の2010年、わが研究室の博士課程の優秀な学生ロプ・メトカーフが、集まったデータの分析を提案した。オーパワーはハネウェルと組んで、スマート・サーモスタットを考案したばかりで、ゲームチェンジャーになると自信満々だった。スマート・サーモスタットでは、住人の活動時と就寝時で室温を変えたり、オフピーク時に電力の購入を増やしたり、ピーク時の購入を減らすなどして節電できる。スマホのアプリとも連携していて、室内にいるときは、スマホさえもっていれば簡単に温度を調節できる。
     勝てる製品の要素がすべて揃っていた。試作品として、すべてのエンジニアリング・テストに合格し、異例の好結果が出たことから、オーパワーはカリフォルニア中央部で広く売り出した。だがなぜか、期待された節電効果はまったくあがらなかった。そこで、われわれのチーム(クリス・クラップ、ロブ・メトカーフ、マイケル・プライス、わたし)が取締役会に呼ばれ、原因を究明することになった。
     約20万世帯のデータを見ると、ボルテージ低下の原因はシンプルだった。製品を購入したからといって、必ずしもコンプライアンスを守るわけではない。たしかにスマート・サーモスタットは顧客の家庭に設置され、アプリはスマホにダウンロードされていたが、適切に使われていたわけではなかった。デフォルト設定では節電する仕組みになっていたが、徐々に設定を解除し、元の利用パターンに戻っていた。そのためスマート・サーモスタットが謳っていた利点は帳消しになった。


    ▪️顧客は生身の人間
     問題は、エンジニアが現実の人間の行動をモデル化していなかったことにある。要するに、これだけ節電できる、とのふれ込みは、最適な使い方をする「完璧」な顧客を前提にしたものだった。だが、顧客は生身の人間だ。気まぐれで、よく間違いを犯し、早合点し、目先のご褒美になびきやすい。取扱説明書をよく理解して、それに従うわけでもない。出勤して家を空けるときもスイッチを切らないのは、留守番の愛犬に寒い思いをさせたくないのかもしれない。あるいは、帰宅してから暖房を入れるのではなく、暖かいわが家に帰りたいのかもしれない。人間のいい加減さ、怠け癖、無駄の多さを侮ってはいけない。特に規模を大きくする場合は!
     エンジニアは、こうした人間の特性を頭に入れたうえで、製品を考案し、テストしておくべきだった。画期的な製品も、実際のユーザーで適切なテストを実施しなければ、さまざまな間違った使われ方をして、意図した成果がまったく見られない事態が起こりうることを想像できていなかった。
     要するに、スマート・サーモスタットをつくってはみたが、それを利用する人間は、それほどスマートではなかった。じつは、オーパワーの問題は、処方薬をきっちり飲まない患者の問題とさほど違わない。医薬品も画期的なテクノロジーも、理論的には完全にスケーラブルな素材だ。ただし、それは適切なコンプライアンスさえあればの話だ。そこで、われわれチームは、顧客にもっとスマート・サーモスタットを活用してもらうために、どのようなインセンティブをつけるかをあきらかにするフィールドワークを設計した。当初の結果は有望だった。もちろん後から振り返れば、オーパワーが製品の設計段階で、コンプライアンスの課題を見越して対処しておけば、期待外れの結果になるのを避けられただろう。それには想像力と、エンジニアほど技術に詳しくない一般人を対象にしたベータ・テストが必要だ。アップルのような一流テック企業は、たいてい、これを実践している。スティーブ・ジョブズのレガシーを引き継ぐアップルは、ベータ・プログラムで、ユーザーに発売前のソフトを試してもらい、バグを見つける。登録ユーザーは、発売前のソフトにいち早くアクセスし、使い勝手をフィードバックする。


    第4章 チェックリスト④ ネガティブなスピルオーバーはないか
    ▪️スピルオーバー効果
     明白なのは、一見、自由意思に見える日々の選択が、じつは自分たちが自覚していない隠れた効果に左右されている、ということだ(シートベルトは締めて、そのうえで安全運転しなければならない!)。だが、スケーリングの文脈で考えると、避けなければならない、ボルテージ低下のもう一つの要因が浮かび上がる。「スピルオーバー効果」だ。スピルオーバー効果とは、ある出来事や結果が別の出来事や結果に意図せざる影響を及ぼすことを指す。ある市が工場を新設したところ、工場が大気汚染を引き起こし、周辺住民の健康被害が生じるケースは、スピルオーバーの古典的な例だ。スピルオーバー効果は、逃れられない出来事の連鎖、人間の創造物、自然界について物語っている。「スピルオーバー効果」という用語は、心理学から、社会学、海洋生物学、鳥類学、ナノテクノロジーまで幅広い分野で使われているが、本書の目的に照らし、人間的なアプローチで、あるグループの行動が別のグループに意図せざる影響を及ぼすこと、と定義しよう。さまざまな属性の人を対象にスケールアップするときほど、スピルオーパーが発生しやすく、目に見えやすくなる。スケーリングに関するマーフィーの法則を覚えているだろうか。うまくいかないものは、規模を拡大してもうまくいかない。もう少し退屈な言葉で言えば、予期せぬ何かは、スケールアップしないときよりも、スケールアップしたときに起きる確率が高い。


     注意点を簡単におさらいしておこう。三つの基本的なカテゴリーで、スピルオーバーを検討し、計測すべきだ。
    1.「一般均衡効果」一般均衡効果は、規模の拡大に伴い発生する傾向があり、意図せぬ結果を招く。それが市場全体にポジティブまたはネガティブな効果を大規模にもたらす可能性がある。
    2.「社会面の行動のスピルオーバー」自分の行動に他者が影響しているとき、社会面の行動のスピルオーバーが起きている。他者のふるまいを観察し、真似しようと思うこともあれば、直接影響を受けることもある。他者を観察して(意識的か無意識的にか)自分自身の行動を変えることになるが、ポジティブにもネガティブにもなりうる。
    3.「ネットワーク効果のスピルオーバー」ある製品の利用やある政策の導入が広がり、すべての利用者、すべての政策対象者のメリットまたはコストが増大するのが、ネットワーク効果のスピルオーバーである。ネットワーク効果は、意図的に埋め込まれている場合もあれば、規模の拡大に伴い自然に生まれる場合もある。


    第5章 チェックリスト⑤ コストがかかりすぎないか

    第2部 最大の効果をもたらす四つの方法
    第6章 方法① スケールするインセンティブを使う
    ▪️パイロットに炭素排出量を削減してもらうには
     2014年2月から9月にかけて、ヴァージン航空のパイロットの三つのグループに、毎月、それぞれ異なるレポートを送った。第1のグループには、本人の前月の燃費についてのレポート。第2のグループには、前月の燃費に加えて、各人に燃費節減目標を示し、目標達成を促すメッセージを添える。第3のグループには、第2グループとおなじく前月の燃費報告、個人の燃費節減目標の奨励に加え、目標が達成されるごとにパイロット本人名義で慈善団体に少額の寄付がされる、との情報を付け加えた(これは、「向社会的インセンティブ」と呼ばれる)。第4のグループは対照群で、単に燃料使用量が計測される、とだけ伝える。こうして7か月にわたって、いつものように世界中を飛び回るパイロットに、毎月ささやかなレポートを送り続けた。
     このフィールド実験は、ドミニカ共和国の税金の実験と違って、社会的に恥をかく要素はなかった(収監のような要素は、まったくなかった)。どのレポートでも、燃費データを公表すると、結果が年俸や業績評価に影響するかもしれない、などと脅すことはしなかった。ただ、この実験設計は、パイロットの年俸や業績評価を左右するわけではないものの、ヴァージン航空が炭素排出量の削減という「規範」の確立を目指していることを暗黙のうちに知らせていた。パイロットは、自身の選択が直接マイナス評価を受けることがなくても、選択の結果としての燃費データを幹部やわれわれエコノミストに見られることは認識していた。言い換えれば、パイロットが選択する行動の影響は、社会的な組織の仕組みのなかで結局は本人自身に返ってく る。そのため、新たな規範に従わなければ、面目を失う可能性があった。

    ▪️ナッジを適用する
     調査の結果判明したのは、パイロットが燃費を向上させる行動をとるインセンティブになったのは、同僚の手前バツが悪いという恐れではなく、自分自身が炭素排出量の削減という社会の期待(あるいは会社全体の規範)に応える人間でありたいという願望だった。このナッジを、335人のパイロット、4万便あまりのフライト、10万強のパイロットの判断に広く適用することができるだろうか。人間の脳には、こうありたいという自己のイメージを実現するための微細な調整機能が備わっていることから、このナッジは広く適用できるはずだ、とわれわれは前向きに考えた。
     その考えは正しかった。データを分析すると、三つの介入グループはすべて、燃費を向上させる行動をとっていた。さらにうれしいのは、実験が行なわれているのは知っていても、介入群とおなじナッジを受け取っていない対照群のパイロットも、おなじように燃費を向上させる行動をとっていたことだ。これは、おそらく環境の変化に伴って行動が変化するホーソン効果か、見られていることを意識した効果だろう(ホーソン効果とは、1920年代のホーソン工場の実験で、明かりを替えたことで作業効率が高まったことにちなんで名づけられた)。ヴァージン航空のMYOU

    ケースでは、単に燃料の使用量が計測され、われわれエコノミストにデータが送られると知ら せるだけで、十分にパイロットが習慣を変えるインセンティブになった。産業心理学では、作 業効率を向上させる手法としてホーソン効果が活用されているが、まさにパイロットでその効 果が確認できたわけだ。
     ナッジを適用した三つの介入グループのなかで、最大の効果があがったのは、前月の実績に 加えて、明確な削減目標を示し、目標達成を促すメッセージを受け取った第2のグループだっ た。燃費向上効果は、前月の実績だけを知らされたグループを28%上回っていた。これはあた かも、目標を達成できないかもしれないという可能性だけで、パイロットは燃料を節減し、体 面を保つようになる、つまり自分自身を期待に応え、規範を守る人間として見ることができる かのようだった。興味深いことに、慈善団体への寄付という追加的なインセンティブには効果 がなかったようだ。平均すると、寄付に関するメッセージを受け取ったパイロットが、削減目 標と奨励の手紙を受け取ったパイロット以上に燃費を節減したとは言えない。寄付がなくても、 インセンティブの効果は最大になっていたのだ。
     総合すると、実験の結果、ヴァージン航空が節減した燃料は7700トン、燃料費は537 万ドル、削減した炭素排出量は2万1500メトリックトンにのぼった。さらにうれしいおまけとして、機長たちがこの実験を気に入り、70%がこうしたイニシアチブにもっと取り組みた いと回答した(そうしたくないと答えた割合は、6%にとどまった)。さらに、対照群にくらべて介入群の機長は、仕事の満足度の向上も見られた。

    ▪️なぜスマート・サーモスタットは失敗したのか
     こうしたイニシアチブは、効率的なデータ収集の仕組みを取り入れれば、簡単にスケールアップできる。これは、「五つのバイタル・サイン」が、この種のナッジに自然に馴染むからだ。エネルギーの節減が、航空業界だけでなく、21世紀の産業全般の関心事であることからすれば、これは朗報だ。その証拠は、オーパワーを見るだけでいい。第3章で取り上げたが、「スマート」なサーモスタット技術も、利用者が適切な使い方をしないために、スケールアップするとボルテージを失ってしまった。
     スマート・サーモスタットの大失敗は、裏を返せば、一つの商品を売り込むよりも利用者に省エネのやり方を教えたほうが、オーパワーにとっても(消費者にとっても地球にとっても)メリットが大きい、ということだ。そこでオーパワーは、「ホーム・エナジー・レポート」と題する社会的ナッジのプログラムを導入し、利用者の電力使用量を近隣住民と比較した報告書を定期的に送付することにした。ヴァージン航空の実験と同様に、自己認識と社会的規範を利用した戦略だが、一つだけ強力なインセンティブを付け加えた。他者との比較である。これは、「隣人には後れをとるまい」とする、人間の基本的な願望にはたらきかけて省エネを促そうという考え方であり、パイロット全員に燃費報告書を送付したのに似ている。ここで問われるのは、地域社会で責任をもって省エネに取り組むセルフイメージだ。「環境に配慮した」隣人よりも、化石燃料を多く消費していることがわかれば、セルフイメージを保つことができない。データが匿名になっていて、テスラ車に乗っていたり、リビングの明かりを一晩中つけていたりすることを誰も知らなくても関係ない。社会的損失回避の心理は、どちらの方向にも傾く。25万世帯にホーム・エナジー・レポートを送付して38のフィールド実験を分析したところ、おなじ地域の近隣世帯と比較した電力使用量のデータを受け取っていた世帯は、平均の電力使用量が2・4%減っていた。
     うれしいことに、データをさらに深掘りすると、ホーム・エナジー・レポートの効果は、われわれの想定以上に長続きしていた。オーパワーがレポートの送付を止めた後も、35%から5%の節電が続き、実験終了後、数年が経っても続いている場合が多かった。あたかも省エネの天使が消費者の肩に止まって、せめて隣の住民並みに節電しなさいと囁いていたかのようだ。セルフイメージを保ちたいと思う効果は、レポートにあった近隣住民の省エネに関する情報以上に長続きした。
     スケールアップという目的から考えると、この発見の意義は大きい。1度だけ導入すればいいインセンティブのスケールアップが容易にできるだけではない。メッセージを継続して送るよりも、一度だけ送ったほうが効果が大きいのだ。メッセージを繰り返し送ると、効果が次第に下がっていくものだ。要するに、繰り返し送られるメッセージは陳腐化して、受け取る側には免疫ができるのだ。


    ▪️生徒にも同じ実験をしたら
     教師で実験がうまくいくと、おなじ戦略が生徒に通用するかどうか疑問が湧いてきた。そこで、シカゴ地区の6000人超の小学生と高校生を対象に、新たなフィールド実験を行なうことにした。金銭的報酬(10ドルか20ドル)と、非金銭的報酬(トロフィー)の両方を使って、学力向上を目指す。結果は心強いものだった。第1に、従来型のインセンティブは有効だったが、クローバック型が若干、効果が高かった。第2に、報酬は必ずしも現金でなくても効果があった。最初に現金またはトロフィーを渡しておくと、テストの点数が上がった。とはいえ、教育の最大の謎の一つは、人生で先々得るものが大きいにもかかわらず、努力しない生徒が多いのはなぜか、ということだ。そこでわれわれは、さらに報酬のタイミングを見極めることにした。
     今回は、クローバックを逆向きにして、一部の生徒に、テストの点数が良ければ、テストの1か月後に、ご褒美をあげると伝える。するとどうだろう。このインセンティブはまったく効果がなかった。つまり、いくら大きなご褒美でも、すぐにもらえないなら、生徒の成績にはまあったく影響しなかったのだ。この発見は、生徒が自発的に勉強しようとせず、中退が多いことの理由の一つになる。一部の生徒にとって、(大学に進学するとか、高給の職につく、といった」リターンはあまりに先のことなので、十分なモチベーションにならないのだ。結局のところ、インセンティブをわずか1か月先に延ばしてもモチベーションが損なわれるようなら、違い得来、良いチャンスに恵まれるかもしれないという抽象的な見通しではたいしたやる気が起きないのだ。そのため気候変動対策や健康的な食事、禁煙を促すインセンティブについて考えると、コストはたった今、発生するが、その恩恵を受け取るのは先(時にはかなり先)なので、対策に身が入らないのも仕方ないと思える。インセンティブに関しては、タイミングがすべてなのだ。
     教育のインセンティブは、どんなタイプのものでも、生徒にネガティブな下方効果を及ぼす、と論じる識者がいる。成績をあげる原動力は、内的ではなく外的なモチベーションであり、外的な報酬には限度があるが、個人の満足には限りがないからだ。外的なインセンティブに頼るのは、自分からやる気を奮い立たせるのではなく、他人に尻を叩かれるのを待つということだ。内的なモチベーションが既にかなり低い状況なら、それも致し方ない。シカゴのサウスサイドのコミュニティが、まさにこの状況で、チャンスがなかったため、子どもたちは学校で努力しても意味がないと投げやりになっていた。いくつかの研究で、ご褒美を与えることが大きなプラスの効果をもたらし、長期的な副作用もないことがあきらかになっている。そして、じつは、カネやトロフィーといった外発的な形のモチベーションが、内発的モチベーションを喚起する可能性がある。生徒はご褒美欲しさに勉強するが、学ぶこと自体がご褒美なのだと気づくのだ。
     頑張ったことのご褒美に、報酬を取り入れるスキルは、たいていスケールアップできる。


    第7章 方法② 「限界革命」を導入する
     だが、議論にはもう1段階ある。ジェヴォンズ、メンガー、ワルラスは、効用は静的なものではないと定義づけた。財やサービスを、「単位」に分解すると、消費したのが最初の1単位か、最後の1単位か、そのあいだかで、消費者にとって価値が変わってくる。最後の1単位の価値は「限界効用」と呼ばれ、全単位を平均した価値とおなじになることは滅多にない。つまり、アイゼンハワー行政府ビルに戻り、どの機関やプログラムの最後の1ドルが最も効果的かを見極めるため、機関やプログラムごとに支出の最後の1ドルの価値を推計したのは、事実上、限界効用を計算しようとしていたことになる(ただし、当然ながら、消費に関する限界効用ではなく、政策に使われた支出の限界効用である)。


    第8章 方法③ やめるが勝ち
     アイデアを次々と中止せざるをえないのは、Xのプロセスのただの副産物ではない。それがあってこそ、Xは成り立っている。リサーチラボのチーフ、アストロ・テラーは、TEDの講演でこう語っている。「何物にも縛られない楽観論を許し、ビジョンを焚きつけることで絶妙のバランスが手に入った。だが、こうしたビジョンに命を吹き込み、実現するために、情熱的な懐疑主義も育んでいる」。これが意味しているのは、多くのアイデア、アプローチ、プロトタイプがいったんは捨てられ、その一部がいずれ一から再構築される、ということだ。期待外れだったグーグル・グラスの最初のバージョンがそうだったように。とはいえ、こうした最適な撤退を信条とすることで、グーグルXは人類史上最も革新的な事業を発見し、その一部のスケールアップを目指している。


    第9章 方法④スケーリングの文化に変える
    ▪️謝罪の効果は謝罪の仕方で決まる
     データを分析した結果、得られた第1の教訓は、謝罪が効果的かどうかは、謝罪の仕方で決まる、ということだ。「わたしがしたことについてお詫びします」ではなく、「あなたがそう感じていることを遺憾に思います」と謝られたことがあるとしよう。ウーパーから後悔が伝わってくる謝罪を受けた乗客は、通りいっぺんの謝罪文を受け取った乗客よりも、ウーバーを利用し続けていたことがわかっても驚かないだろう。だが、第2の発見はもっと興味深い。どんなタイプの謝罪文でも、言葉よりカネがモノを言うのだ。もっと言えば、悪い体験をした乗客をつなぎとめるには、謝罪文にカネを組み合わせるのが最も効果的だった。どんな謝罪文でもらドルのクーポンを同封するのが最良の戦略なのは、5ドルのクーポンがそれほど貴重だからではない。後悔を示すジェスチャーと、少額の物理的コストを合わせることで、顧客がクレームを訴える価値があったと示しているからだ。
     第3の発見は、おそらく最も衝撃だが、何度も謝罪が重なると裏目に出る、ということだ。じつは、短期間に3回以上謝罪するのは、まったく謝罪しないよりも悪い。初めて悪いことが第3の発見は、おそらく最も衝撃だが、何度も謝罪が重なると裏目に出る、ということだ。じつは、短期間に3回以上謝罪するのは、まったく謝罪しないよりも悪い。初めて悪いことが起きたとき、謝罪すれば顧客の信頼は一時的に取り戻すことができる。だが、この謝罪は、今後は改善されると顧客が期待する約束になる。そのため、高まった期待が裏切られたとき、まったく謝罪しなかった場合よりも、会社の評判は傷つく。したがって、謝罪は戦略的に活用すべきだ。理想としては、予想外に悪い事態が起こり、近い将来、再発する可能性が低い場合にのみ謝罪するのがいい。謝罪を検討する際は、「売主の品質保証」を原則にすべきだ。

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    2024年03月02日
  • その問題、経済学で解決できます。

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    経済学のことを勉強しようと思ったが、実際には実用的に実験を行う事の大切さを教わった。
    例えば、会社で物を売る値段を決定する時でも、試験的に値段に幅を利かせて売ってみて、どの値段の時が最も利益が上がるが試してみるなど、実験が必要な場面は往々として存在する。
    面倒と思わず、実験を行うことが利益をあげることがわかった。

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    2020年12月20日
  • その問題、経済学で解決できます。

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    ネタバレ

    良い本。くだけた感じの翻訳で読みやすい。好き嫌いはあるかもしれないけど。
    行動経済学の本だけど、どちらかというと実地実験をすることが大事!ということを伝えている本。ナッジとかは少し触れられる程度。
    著者の行ってきた実地実験をなぞるように進んでいく、ちょっとドキュメンタリーな部分もあって面白い。
    全般的に行動を起こす、または改める前には実験をやってからの方がいいし、実地実験をやっていけば世界も変えられるかもよ!っていうノリ。
    その見方は楽観的過ぎるかもしれないけど、それでも感化されて自分もやってみたくなる。

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    2020年11月21日
  • その問題、経済学で解決できます。

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    子供に勉強のやる気を起こさせるためにはどうしたらよいだろう。
    寄付金をより多く集めるにはどうしたらよいだろう。
    新車を安く買うためにはどうしたらいいだろうか。
    訪問販売でより多く売るためにはどのようにしたらよいだろうか。
    社員のパフォーマンスを上げるためにはどうしたらよいだろうか。

    こんな疑問は日常生活でもよく考えると思う。
    これらに対する回答は、昔ながらの迷信や習慣ではなく、科学ー特に実験に基づく行動経済学ーによって与えることができるし、そうあるべきである。

    最近はビッグデータという手法が流行っているが、こちらは非常に大きい(ビッグ!)データ群から相関関係を主とした分析を行う。ここで注目してほしいのは、因果関係ではなく、相関関係であるということだ。
    悲しいかな、人間は相関関係と因果関係を混同しやすいらしい。
    たとえば、ある広告代理店のCEOが、広告をTVで流した量とその売上げの正の相関を証拠として、「どうだ!広告を流せば流すだけ売り上げが伸びているぞ!」ということができるだろうか。
    一方で、夏時期にアイスクリームの売り上げと溺れる子供の量のグラフ(こちらも正の相関だ!)をみて、アイスの売り上げが多い年に、子供にプールに行かせることを禁止する親がいるだろうか?
    実は、両者とも本質は全く同じだ。つまり、相関はあるけれども因果関係は必ずしもイコールではない、ということである。
    (ネタバレだが前者は、たまたま広告を流した時期がクリスマス的な売り上げが伸びる時期であるため広告と売り上げの因果関係があると錯覚した例で、後者は暑くなるとアイスを買う人とプールや海に行く人が増えるので相関がある、というだけの話だ)

    ということもあり、真に因果関係を調べたい場合は、従来のよく整備された実験環境を構築して、対照群と比較して検討する必要があるのだ。
    一昔前は、大規模に実験する環境、資金、アイデアがなかったので困難であったが、ここ最近の実証経済学の流行をうけて大規模な社会実験も可能となってきたらしい。

    本書に記載されている例として、子供成績を上げたいと思うのはほとんどすべての親御さんの願いであろう。
    この場合、どのようにしてやる気を出させるのがもっとも有効であろうか。
    物でつる場合と、お金そのものズバリを上げる方法がまず考えられるが、物を上げる場合も本質的にはお金を上げることと等価なので、お金という尺度で実験をしてみる(小さい子供は、お金よりもおもちゃの方が喜ぶだろう!というご指摘はもっともである。これについても本書では研究成果を披露しているので本書参照)

    1)何もしない(これがベースとなるので比較対照群)
    2)事前に1000円あげておいて、前の成績よりも下がったら1000円を没収する
    3)事後に、成績が上がった場合に1000円をすぐにあげる
    4)事後に、成績が上がった場合に1000円を少し時間を空けて(1か月等)あげる

    この4つのケースで成績があがったのはどのケースでしょうか?
    1つだけ劇的に上がったケースがあります。
    詳しくは本書で。


    また社員のパフォーマンスを上げる問題についても同様に実験した結果が披露されている。
    こちらは個人でインセンティブを与える場合と、チームとしてインセンティブを与える場合とで結果が異なるという興味深い結果が得られたそうだ。
    詳しくは本書で。


    というように、このようなテーマは普遍性があり、知っていると意外と役に立つことがあるかもしれない。
    お勧めできる一冊である。

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    2016年02月19日
  • その問題、経済学で解決できます。

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    UC San DiegoのRady School of Management教授のUri Gneezy師の著作。学術的にも実務的にも面白い。この本もっと日本でブレークしても面白いと思う。ベンチャーが事業開発にとって必要な「実験」の組み立て、この分野、サンディエゴと日本のビジネス連携でも、色々と仕掛けていける可能性があるのではないかと思います。

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    2015年05月04日
  • その問題、経済学で解決できます。

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    いわゆる「ビッグデータ」から求められた結果がただの相関関係であるのか、因果関係であるのかは判断するのが難しい。多くの場合ビッグデータを元に解析された結果というのは相関関係であることが多く、且つもっともらしいので因果関係があるとたやすく誤解されやすい。
    著者達は、この誤解を行わず正しい結果から正しい答えを出すために、実社会、実経済の中で実験を行い実際の因果関係を解き明かしていく。

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    2014年11月24日
  • その問題、経済学で解決できます。

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    「子どもの成績を上げるには?」「保育園のお迎えの遅刻をなくすには?」「恵まれない子に寄付してもらうには?」といった課題に対して、どのような仕組みを講じれば成果が最大化するのかについて検証、解説したもの。結局インセンティブをどう設計するかなのだが、誰に、いつ、どのように仕向けるかという工夫を、世の中の人々はあまり考えていないようである。地域活性や社会問題の解決等、この点を考慮することで成果があがるだろうということがたくさんあり、一読に値する。

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    2014年10月26日
  • その問題、経済学で解決できます。

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    経済学というより、行動学かなと感じた。実験、検証を行い(これ大事)どの様な状況なら人はどの様に動きやすいを見極め、改善活動につなげるというもの。
    ・検証の大切さの再認識
    ・この行動原理がつかめれば改善活動はやりやすい
    と感じる。

    問題がある学生に多くの投資をして
    ・その人がさらに多くの問題を起こさないようにする
    ・世界で活躍できる存在になってもらう
    考え方は共感、教育の大切さを再認識。

    ■学
    人は見た目左右される
    同性愛者、身体障害者はモノを買うときに値引き交渉時に有利になりにくい
    生まれ等自身で同仕様もないことに対しては人は寛大になりやすいが、外見、態度等その人自身で変えられる事ができていないと他の人は不快に感じやすい

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    2024年12月03日
  • その問題、経済学で解決できます。

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     誰かにやる気を出させるために何かしようと思うときは、まず、その誰かがインセンティヴがなくてももともと持っている、いい結果を出そうというやる気(空き缶をリサイクルに出して環境を守ろうとか、ガンの研究を後押ししようとか)をインセンティヴが押しのけてしまわないかを考えないといけない。インセンティヴが元のやる気を押しのけてしまうのは、自分がやっていることをなんだと思うかが変わってしまったり、あるいはインセンティヴを提供された人が侮辱されたと感じたりやる気を失ってしまったりするからだ。インセンティヴという手段を使う気なら、十分に大きなインセンティヴを提供して、やれば報いられると相手に感じさせないといけない。インセンティヴは価格だと考えよう。大きな額のインセンティヴを与えれば(たとえばアメリカの一部で実際に行われているように、レベッカが遅れてきた親御さんに1分あたり5ドルの罰金を科していたら)、たぶんみんな、あなたの望みどおりに振る舞うだろう。だから、この話のキモは、お金はたっぷり支払うか、あるいはまったく支払わないかのどちらかでないといけない、ということだ。
     結局、いつなんどきでもお金は王様なわけじゃないのである。る。人が本当は何をありがたがるか「自分の時間とか善良な市民という自分のイメージとか、ひょっとしてキャンディとか――に基づいて報酬の内容を決めることが、単純にお札を何枚か叩きつけたり、あるいはふんだくったりすることより、ずっと人をやる気にさせるのだ。まとめると、すべてのインセンティヴは生まれながらにして平等ではないのである。


     公的教育の世界を探索してみてわかったのは、実地実験と経済学の論理を組み合わせれば、とても大きな力になるということだった。子どもたちは即座に貰えるご褒美には強く反応する。それから、一度上げたご褒美を取り上げられるかもしれないという脅しは、後でご褒美を上げるよという約束よりも、ずっと強力であるのもわかった。親御さんたちが子どもの教育に参加してくれればとても助けになる。それは読んだり計算したりという認知的技能の学習に限ったことではなく、慎重さやなんかの非認知的技能の学習についてもいえるし、加えて、今行う投資がどうやって将来より大きな報いにつながるかを学ばせることについても同じことがいえる。
     悪いニュースとしては、一部の子どもの行動、とくに中高生の行動はなかなか変えられないものだということもわかった。たとえばケヴィン・マンチーがそうだ。ブルームトレイル中学に入るころ、ケヴィンはすでに手遅れになっていた。結局彼は、どの授業も全部落第した。一方、ユーレイル・キングの成績はずっとよくなった。ユーレイルみたいながけっぷちの生徒は、お金とくじ引きでずっと容易にやる気を出させることができた。中学校で成績の改善が見られたことに、ぼくたちは希望を持った。中退していたかもしれない子どもたちをそれなりにたくさん卒業させることができた。でも、そういう子が劇的に増えたわけではなかった。中学生の子どもたちは、ぼくたちが願ったほど、簡単にやる気になってはくれないようだ。


     人に行動を変えさせるための手段として、大きく強力なものに「社会的規範」がある。「隣のジョーンズんちには負けない」みたいな漠然としたきっかけで、人は他の人の後を追うようになる。
     社会的規範はありとあらゆるところで人を動かすきっかけになる。他の親御さんがみんな、時間どおりに保育園へ子どもを迎えに来るようになれば、それが社会的規範になり、きっかけになる。テレビのコマーシャルで「10人中7人のお客様が」特定のシリアルだか歯磨き粉だか車だか、それこそ何でもいいが、これはいいと同意した、なんてやっているのを見ると、それがきっかけになる。そしてホテルのトイレに入って「このお部屋をご利用くださったお客様の73%はタオルを再利用しておられます」なんてサインを見ると、それもきっかけになる。
     人を説得して新しいことを試させるものといえばもう1つ、昔ながらの、そう、お金だ。お金と周りからの圧力をどう組み合わせればみんなに電球を変えさせられるか調べるために、ぼくたちはデイヴィッド・ハーバリックおよびマイケル・プライスと一緒に大規模な実地実験を行った。学生を勧誘員――というか、秘密工作員――としてシカゴ郊外に送り込み、9000軒近いご家庭を訪FLのパッケージを2パックまでお買い上げいただけますと訪ね歩かせた。
     訪問に応えてドアに出た人に、CFLのパッケージを2パックまでお買い上げいただけますと売り込む。電球の仕入れ値は3・75ドルから7・15ドルまでだったが、標準価格は1パック5.00ドルに設定した。また、1パック1・00ドルでも売り込んでみた。昔ながらの電球とだいたい同じ値段だ。加えて、あちこちのお家で学生に、世間からの圧力を加えさせた。たとえばこんなことを言わせるのだ。ご存知ですか、アメリカのご家庭の70%は少なくとも1つCFLをお持ちなんですよー」。あるいは、拷問よろしく締め上げるがごとく世間の圧力を加えたいときはこんなふうに言わせる。「ご存知ですか、私たちが調査したこのあたりのご家庭の70%は少なくとも1つCFLをお持ちなんですよ!」
     こうして、人びとにCFLを買わせる方法が2つあるのがわかった。1つは値段を安くすることだ。だいたいの人は、政府がCFLに補助金を出して、昔ながらの電球と同じ値段で買えるようにするべきだと思っている。残念ながら、政府が財布の紐を締めにかかっているとき、は行われない。ぼくたちが得た結果によると、まあ当然だろうが、そういうやり方をするとうまくいくかもしれない。人にCFLを買わせる方法の2つ目は、ご近所さんも使ってますよと言うことだ。ご近所の人たちがどうしているか教えてあげるのは、標準価格5・00ドルのパッケージを100%値下げするのと同じぐらいの効果が上げられる。大事なのは、また訪問して安い値段でCFLを売り込むと、人びとはやっぱり買ってくれたことだ。
     さて、これでわかった大事なことはこうだ。人に振る舞いを改めてほしければ、一番いい作戦は社会的規範と値段のワンツー・パンチだ。この2つは互いに補い合い、互いに効果を高め合う。世間の圧力から見てみよう。人は、他の人たちに本当に遅れたくないと思っているわけだから、他の人たちが何をしているか教えてあげよう。そうすれば教えられた人は市場に入ってきてCFLの最初の1パックを買ってくれる。で、その人自身もめでたくCFLを手に入れたら、世間の圧力はもうそんなに効果を持たなくなる。そうなったら今度は安い値段で製品を提供しないといけない。そうすることでCFLをたくさん買ってくれるようになる。
     こういうふうに、社会的規範と価格を組み合わせれば、みんなに環境に優しい製品を買わせることができる。もっと一般的にいうと、環境を守る新技術があるなら、政府(でも企業でも)は、まず社会的規範で市場に切り込むべきだ。世間の圧力を使い切ったら、もうそれ以上は世間の圧力は力を持たない。そこからは価格が重要になる。


     いろいろな実地実験で得た何十万件にも及ぶ観察結果を分析して、ぼくたちはこんな結論を出した。主導権を慈善団体から寄付者に移せば流れが変わる。寄付を募る相手にリストから抜ける機会を与えることで、スマイル・トレインは寄付をする人たちに贈り物をしたのだ。寄付をする人たちはそれで、今後の募金の呼びかけを断らなくても済むようになる。スマイル・トレインは、募金を呼びかけるだけではなくて、「こっちの頼みを聞いてくれたらそっちの頼みも聞くよ」と言ったのだ。
     経済学の標準理論は、人は自分にとって一番いいように行動するから、大体の人はダイレクトメールを受けとったらにっこり笑って捨てるだけだと考える。でも、誰もがそんなふうに自分のことだけしか考えてないわけじゃない。ぼくたちの中にも、それこそ経済学者の中にさえ、いい人はいて、優しくされたら優しくし返すって人がいるのである。それをわかったうえで、人のおたがいさまの心に訴える作戦をやればうまくいくのだ。とくに非営利組織は、宛先シールだの世界地図だのカレンダーだの、そういうのを送って寄付が返ってくればなんて期待していることがよくある。もっと一般的にいうなら、ぼくたちの実験結果は、経済学の標準モデルが見過ごしていたインセンティヴに伴う隠れた利得に光を当てている。たとえば、ぼくたちの解釈によるとインセンティヴが伝える心理的なメッセージは――それが優しい心であっても悪意のこもったものでも――人の行動に重要な影響を及ぼす。意図が大事だ。お客に気を配る企業なら、お客は意見を聞いてもらうのをとても喜ぶのを知っているべきだ。そして彼らは、もうやめにしたいですかと尋ねられるととてもうれしいのである。
     慈善活動の世界を探求してみて、ぼくたちはとても大きなものを得た。政策の世界にいる人たちは、こんな疑問の答えを知りたがっている。慈善活動への寄付に対する税控除をやめたら、ぼくたちの社会をいつにしてくれているあのいろんな慈善団体にどんなことが起きるだろう?政府の補助には何が起きるだろう?政策をそんなふうに変えたらどんな影響があるか詳しく検討する前に、そもそも人はどうして寄付をするのかわからないといけない。


     別の言い方をするとこうなる。会社がおたがいさまの精神に訴える策を弄したうえで、アンケートに答えてくれませんかと人びとにお金を同封して手紙を送ったら、応じる人は増える――そして調査はコストの面で効率が上がる――だろうか?あるいは、昔ながらのやり方をしたほうが賢明なんだろうか?つまり、世間の人を従業員みたいに扱って、仕事をしてくれた人にだけ報いたほうがいいんだろうか?それともインセンティヴがどうのなんて忘れて、報酬なんて出さずにアンケート用紙だけを送ったほうがいいんだろうか?策の1つでは、会社はクラブ・メンバーの半分に、1ドルから30ドルまでさまざまな額の現金を同封して手紙を送った(ぼくたちはこれを「人付き合い」作戦と名づけた。おたがいさまの精神は人付き合いに伴う現象だからだ)。もう1つの策では、会社はアンケートに答えてくれた人の中か53500人に小切手(送る額は1つ目の策と同じードルから30ドルまでだ)を送ると約束した(こっちは「条件付き」作戦と名づけた)。対照実験のほうは、250人にアンケートを送り、答えてくださいと頼んだ。次のページのグラフは返ってきた反応を示している。
     グラフによると、「損益分岐点」は15ドル近辺だ。15ドルまでは、お金を先に送ったほうが人におたがいさまだと思わせることができて、だからアンケートの答えが返ってくる割合は高い。1ドルみたいな取るに足らない額でさえそうなのだ。実際、こう書くと反応が返ってくる割合はずっと高かった。「アンケートに答えてくだされば1ドルは差し上げます」。でも額が155ドルを超えると、条件付き、つまりアンケートに答えてくださればお金をお送りします、というやり方のほうが答えが返ってくる割合は高かった。
     大事なのは、条件付きでお金を払うほうが先に払うより安くつく点だ。当たり前でしょう?アンケートに答えて送り返してくれた人にだけ報酬を送るほうが、答えてくれようがくれまいがお金を送るよりも、送るお金は少ない。人付き合い作戦でかかる費用は返信1件あたり平均で45・40ドルで、これは条件付き作戦の費用(平均で20・97ドル)の倍以上だ。その結果、人付き合いにかかる費用の総額は条件付き作戦の3倍近い(3万8820ドル対1万3212ドル)。ダイレクトメールを送る会社にとって、この試みから学べることはなんだろう?予算が限られ
    ていてアンケートの返信1件あたり1ドルしか使えないなら、その1ドルを封筒に入れてアンケートと一緒に送ってしまったほうがいい。1ドルを受け取った人は(少なくともいい人なら)おたがいさまの精神を発揮して喜んでアンケートを送り返してくれるだろう。でも、1人あたりで使えるお金がけっこうあるなら、アンケートを送り返してくれた人にだけお金を払ったほうがいい。もちろん、相手を見てどちらにするか決めたっていい。経済学者みたいに考える人たちには条件付きで支払うほう、経済学者とは違う種類の人たちには無条件で支払うほうを使う、なんてやり方もアリだろう。

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    2024年06月03日
  • その問題、経済学で解決できます。

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    人が何で動くか(=インセンティブ)を理解できれば、狙った結果につなげられると実地実験を通して示している。根拠が薄いと感じる箇所もあるが、観点として面白かった。
    ただ、せっかくエッセイ的な砕けた文なのに直訳感があり、誤植もあったのが残念だった。

    勉強しない子やその親に、適切なインセンティブ(お金やモノ)を渡せば子の成績が上がる。いいインセンティブがあれば集まる寄付金の額も上がる。
    気持ちをお金で動かすことに不満の声が上がるだろうと想像できるが、お金を使えば学校中退も逮捕もされず過ごせる子が増え、寄付で助かる人も増えるということでもある。

    「慈善組織は販売ってことばが嫌いなんだ」とブライアン。「でもぼくは大好きだな」
    という言葉に共感した。

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    2024年04月02日
  • そのビジネス、経済学でスケールできます。

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    客観的な5つのチェックポイントを意識することがすぐにでもできるスケールするアイデアの考え方
    特に偽陽性や過大評価は直近の仕事でも役に立ちそう
    スケールさせるためには、積極的に代替案を作りできる限り早く「やめること」、信頼と協力の組織文化を作ること
    行動経済学のような分野ってマーケティング的な観点では面白いなって思った(この本を思い出した。)

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    2023年08月14日
  • その問題、経済学で解決できます。

    購入済み

    経済学というよりは文化人類学

    経済学というよりは文化人類学や社会学を思わせような内容の本。
    理論ではなく興味深い実例を多用して分かり易く解説している。
    ただし当たり前のことではあるが明確で理論的な結論は出ない。

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    2019年11月23日
  • その問題、経済学で解決できます。

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    人の行動がインセンティブ設計でどのように変化するか多様な実地実験から解き明かす本。
    行動経済学や消費者心理については別の本を読んだほうが良い。
    だけど、社会科学実験の実施について、これだけ多様なバリエーションを、しかもわかりやすく説明してくれる本は他にあまり無いと思う。
    実験の背景には、高度な理論があるはずなのだけど、それはさておいても興味を引く実験結果が並んでいる。
    面白すぎて結果だけが先歩きさせないように統計学的と実験のリミテーションにも注意したいところ。

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    2019年08月07日
  • その問題、経済学で解決できます。

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    行動経済学に基づくインセンティブについて書かれた本。実地の実験から得られた知見を豊富に盛り込んである。寄付の秘訣とか、学校を改革する話とか、面白いエピソードが満載。読み物としても面白いと思う。

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    2018年11月12日
  • その問題、経済学で解決できます。

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    翻訳者の望月衛さんが訳した他の本が面白かったので、こちらも読んでみました。

    「経済学」というよりも、「何かわからないことがあったら、とにかく実験してみよう」というのが、この本の主旨だと思います。
    もちろん、実験したからといって、思い通りの結果が得られるわけではありませんが、実験をすることで、何が有効で、何が無効かは見えてくるわけで、見えてきた有効なものを、実際に展開していけばいい、ということが、繰り返し語られています。

    こういう感覚って、わかる人にはわかると思うのですが、わからない人にわかってもらうのは相当難しいような気がします。
    単純な話だと思うんですけどね。

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    2018年07月28日
  • その問題、経済学で解決できます。

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    行動経済学という学問をご存じだろうか?

    これまでの「経済学」は定性的で曖昧なことが多かった。でも、最近は「統計学」も駆使して、定量的に経済を分析することが当たり前になってきた。

    そんな基礎を作ったのが2002年にノーベル経済学賞を受賞した、ダニエル・カーネマン。これまでに著書も何冊か読みましたが、小難しい。。。笑

    でも、この本は「ネットフリックス」など身近な事例から「行動経済学」を語っているので面白い。その中でも一番「なるほど!」と思ったのは、「子供の教育に対するインセンティブ」。

    「子供に勉強をさせるのに、インセンティブとしてお金を渡すのはダメ」と思われているけど、それはあくまでも感覚的な意見でしかない。それをちゃんと定量的に実証したらどうなったか?

    気になった方は是非ご一読ください。笑

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    2018年04月04日
  • その問題、経済学で解決できます。

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    最近の経済学で大流行している比較対象実験(Randomized Control Trial)を用いた研究結果について詳細に記述している良書。

    以下に、興味深かった点を挙げておきます。
    ①子どもの成績を伸ばすためには?
    子どもの成績を改善しようと思うのであれば、ご褒美をあげることが何よりも大切である。ご褒美とは、何もお金だけで無い。トロフィーやチョコレートでも良い。努力に対して報酬を与えることで、子どもが勉強をするインセンティブを引き上げることができる。

    ②女性は男性よりも劣っているのか?
    日本においても、管理職に占める女性の割合は男性のそれよりも圧倒的に低い。これは、女性が生まれながらにして、マネジメント能力や経営管理が出来ないからなのだろうか、それとも、会社の雰囲気などの文化的な要因によって影響されているのか。この問題に対して、筆者は、母性社会が強い村と父性社会が強い村を比較して、女性がどのように振る舞うのかについて検証をします。その結果、女性が先天的に経営管理能力が劣っているのではなく、適切な競争条件が整備されているのであれば、女性も自身のキャリアを伸ばすことができることが明らかとなった。

    ③差別はどのように生じるのか?
    筆者は、差別の中でも経済的差別に関して言及している。経済的差別とは、統計的に平均値が低いもしくは高い集団に対して、差別的な感情を抱くことである。例えば、黒人と白人を比較すれば、前者の方が明らかに犯罪率が高い。それゆえに、黒人は暴力的であるという差別意識を抱きがちである。

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    2017年04月15日
  • その問題、経済学で解決できます。

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    人がどのようにしてインセンティブにより動かされていくのか、どうすれば自分たちの思ったとおりに人々に動いてもらえるのか。様々な課題をランダム化比較試験で、実証しながら答えを出していく筆者達のアイデアや行動力に脱帽。
    これを読んだから、他人に対するインセンティブの与え方が劇的に向上するわけではないけれども、少なくとも子供には短期的なインセンティブの方が良いのである。更に面白いことにインセンティブが消失してからも良い行動が続く傾向があるというのも大変興味深い結果である。

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    2015年06月06日