樋口武志のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトルはインパクト重視だけど、現在、世界最高峰のリーグといっても過言ではないプレミアリーグの舞台裏にアクセスできる本の価値は高い。
複雑系の典型であるサッカーにおいて、データがどこまで有用なものであるかは興味深い。
自分にとって重要な論点を雑にまとめると、、
●目的を持ったデータは強力に機能する
⇨ポゼッションバリュー期待値(ゴール確率への貢献度)、ゴール期待値(重み付けシュート)、メッシのピッチコントロール、
●データによる論理同等に感情配慮が価値を持つ
⇨ユルゲンの直感との一致、エキサイティングな未来への想像、重要だが測りにくい要素の存在、監督は①戦術策定②組織設計③感情コントロールが仕事、
●人間の思い込みをデータで補う
⇨多面的に見た意思決定の材料の1つがデータ、人間は楽観的でありすぎることが多い、ホームアドバンテージの審判の影響、
●傾向を見つけ、理由に迫る探究心が本質
⇨運の切り分け、メッシとロナウドの息の長さ、家畜化の難しさ、ホームアドバンテージの理由(無観客試合の影響)、
●ズレを整えるのが価値の発生源
⇨選手の効率的な獲得、サラーの出場機会、ユルゲンの選手器用センス、攻守サイクルの哲学、
本を読んでない人には「?」かもしれないが、自分の記憶メモとしては充分なまとめ。
そして、これは「プレミアリーグで優勝する方法」とサブタイトルに入っているが、その本質を転用できるなら、地域のサッカーチームでも、会社経営でも存分に活かせると思う。データとどう付き合うか?データをどう活かすかの話なので。
日本代表の試合後のインタビューで、森保さんが、いつも、やたらと「サポーターの皆さまの応援のおかげです!本当にありがとうございます!」と感謝し過ぎなくらい強調してるように思っていたが、この本にもあるように、ホームアドバンテージの威力を理解してるからなんだろうなと想像した。
自分でもすぐに実践できそうなことは、何の勝負でも、攻める姿にこそ、アドバンテージがあるというマインドで挑むことや、ゲーゲンプレス的に、状況の転換点こそチャンスと捉えて注力することや、安く見積もられている人のパフォーマンスを高めることや、ポゼッションバリュー的な概念で、実績と確率から、客観的な判断が可能な状態をできる限り増やしていきたいなぁと。
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以下、気になったポイントの箇条書きメモ
◎「ゴール確率への貢献」を測れるようにした
⇨A地点のゴール確率1%、B地点のゴール確率10%、AからBへパスを通したら9%を選手に与え、失敗したらマイナスする。
◎リバプールは「今は評価されていないが、実は実力を秘めている選手」を次々に発掘していった
・2019年のCL優勝の先発11人のうち9人がグラハムの分析モデルの助けによって獲得された選手だった
・プレミアリーグの1試合あたりの平均得点は2.7ゴールほど。シュート数はゴール数の10倍もあるため、シュートを分析するのは理にかなっている。
◎ゴール期待値(重み付けしたシュート)
⇨30ヤード(27.4m)なら、ゴール確率1%、ペナルティ内なら10%、ゴールエリア内なら50%、PKは75%
・スキルと運の要素を分け、シグナルからノイズを取り除くことで適切な評価をする
◎ポゼッションバリュー期待値
⇨パスの価値を推定。ボールを得てから奪われるまで。ピッチ上のいかなる行動も、得点の可能性をどれほど高めるか。
・選手1名につき70種類ほどのプレー要素に分解していたが、消化しきれないうえ、多くの要素が互いに相関していた。例えば、クロスを頻繁に上げる選手はサイドに開いてプレーする傾向にある。
⇨9つの主成分にまで簡略化した。
・複数のポジションがこなせる選手は大きな資産。
◎決定的に重要だったのは、ユルゲンの直感が私たちの分析結果と一致していたことだ
・CLに出場でき、高給を得られるユナイテッドではなく、マネはユルゲンのもとでプレーできるリバプールを選択した
◎リバプールでエキサイティングなアタッキングフットボールができるだろうと選手たちを惹きつけるユルゲンのおかげだった
◎サラーの失敗はピッチに立つことに失敗したという意味であり、チェルシーで出場時間を得るための争いを考えると失敗の烙印を押すことなどできなかった
・ほとんどのチームでは確かなデータよりも主観的な意見のほうが尊重されており、私たちが優位であり続ける
・試合数が少ないと選手評価には運の要素が含まれてしまう
◎試合を変えられるような選手が弱点を持っていた場合、ユルゲンは他の選手たちでそれをカバーしようとする。
・ユルゲンはセービングだけでなく、足を使えるゴールキーパーを求めており、アリソンがタップターゲットになった
・2015年以降のリバプールでは、「データがノーと言ってるなら、その選手とは契約しない」というのが基本原則となっていた
・エディがスカウティングレポートを読まず、獲得を検討している選手について人と話すことさえ避けようとしているのは、自分の目でプレーを見るまで、バイアスを持たないようにするため
◎データがイェスと言い、スカウティングがイェスと言い、ビデオ分析がイェスと言い、財務分析がイェスと言い、監督がイェスと言ったとき、エディはその選手が成功すると確信を持って契約をする
◎プロジェクトの費用、所要時間、成功の可能性を見積もる際、人は楽観的でありすぎることが多い
・ペップ(シティ)は、一か八かのシュートを打ってポゼッションを明け渡すことに満足せず、質の高い得点機会を作るためにボールを動かし続ける
・シュート距離が短くなってきているのは強豪チームだけではない
・ポゼッションバリューモデルは、マルコフ連鎖の仮定に基づいて作られている。要は、過去の影響を受けずに独立していると仮定する。
・使用率⇨選手がボールを失うか、シュートを打つか、得点するかでポゼッションを終わらせた割合
・私たちが好むストライカーのタイプはトリプルスレット(三重脅威)と呼ばれるもの。シュート、ドリブル、パスの選択肢がある選手で、シュートだけが得意な選手よりもポゼッションの使用率が少ない。
◎ピッチコントロール⇨ピッチ上の任意の場所に誰よりも早く到達した人がその場所を支配する。足が速いほどより多くのピッチを支配できる。相手より先に動いているだけで十分な場合もある。DFが離れていったポジションにメッシは立つ。そこには、パスを受けられる広いスペースができている。減速は加速と同じくらい重要。
・移籍金収入は特別利益として計上
・ポジションは攻撃ほど高給だが、ターゲットマンはそうとは限らない。キッカーも高給。
◎私たちアナリストは測りやすいものを測り、測りにくいものを無視しがちだ。しかし、簡単に測れないものを「重要でないもの」と勘違いしてしまったら、質の悪い意思決定を下すことになる
◎全ての重要なものが測定できるわけではなく、測定できるもののすべてが重要なわけでもない
◎測りにくい要素として、チームの雰囲気作り、選手をモチベートする力、新しい才能をクラブに引き寄せる力
◎監督の役割は戦術面よりもマネジメント面のほうが遥かに大きい。監督がやることは、①戦術 ②選手選考 ③チームの感情コントロール
・ファーガソン(ユナイテッド)は競争環境を、ヴェンゲル(アーセナル)は優れた選手に自由を与えた
◎メッシとロナウドが驚異的な数字を残せたのは、継続して試合に出続けたことが大きい
◎スタイルを貫くメッシ、変え続けるロナウド
・ドリブルの本当の価値は終わる瞬間にある。ドリブルが成功した後のパスは通常より広いスペースに届けられる。そのスペースをカバーするはずのディフェンダーが、ドリブルを仕掛けた選手にプレッシャーをかけているから。
◎私たちがデータ分析の優位性を存分に発揮できるようになったのはユルゲンが監督に就任してから。移籍成功率は41%から58%へ
・家畜化の候補は148種いたが、家畜化されたのは14種だけ。多方面において、適応性を備えている必要がある。
安価なエサ、成長速度、集団で暮らせる、繁殖できる、安全に飼育できる、パニックを起こさない。
・シマウマは人間を攻撃するから向かない。
◎それぞれの特徴を見ると上手くいく確率は高くても、1つでも欠けたら家畜化は失敗する。それぞれ70%でも、成功確率は12%にすぎない
◎ホームチームはアウェイチームと比べて、ゴール確率が30%増す
◎ホームアドバンテージの要因は攻撃回数の多さにある。スキルではない。他のスポーツも同じ。
・攻撃志向性⇨1パスあたりのシュート数。ホーム全体はアウェイ全体より17%高い
◎ホームアドバンテージは、審判に影響を受けている。ホームはアウェイより、PKを70%多く与えられる。ホームチームが価値の高い場所からシュートを打つことが多かった理由の一部は、PKや直接フリーキックの多さに起因する。
◎2002年のネヴィル氏の論文で、審判に「議論の余地のある場面」を見せ、試合の映像を見ながら観客を音声を流したものと、音を消した状態で見せたものに、15%の差分があった。(実際の試合ならば影響はもっと大きいはず)
・コロナ禍の無観客試合から、パンデミック前よりも
ホームの勝利が少なくなっていることに気づいた
・ヨーロッパ全体で、無観客試合では、ホームアドバンテージはほぼ完全に消えていた
◎従来ホームチームは攻撃志向性が17%ほど高くなっていたが、無観客期間には5%に落ち込み、観客が戻ってくると、17%に盛り返した
◎重要なのは、アウェイゲームで攻撃を仕掛けること。審判を別にすれば、ホームアドバンテージは主に攻撃回数が多いことに起因している。
・ポゼッションバリューモデルでは、「コーナーキックのゴール確率は2%」であり、整った状態の相手守備に対して、中盤でボールを保持している際の得点期待値よりも高い。
・統計的推論は、理論や根本原因についての深い考察に裏づけられているときに、より効果を発揮する
・2つの項目ではなく、3つの項目を最適化しようとすると、候補リストの人数が倍以上に増えた。この傾向は、追加すればするほど悪化していく。これほどの数になると、もはや「候補」とは言えない。
◎成功を目指すチームは適切な選手を効率的に見つけたいなら、重要な指標をいくつかに絞り込む必要がある。パス、ドリブル、シュート、ボール奪取、スペースディフェンスといったカテゴリーから見たポゼッションバリューモデルの「ゴール確率増減」と「セーブ率」だけで十分だ。
・「世界中のどんな優れたプレーメーカーも、優れたゲーゲンプレスが生み出す効果には及ばない」とユルゲンは語っている
◎フットボールの哲学は攻撃と守備のサイクルによって定義することができる。チームは4つのフェーズを循環する。ボール保持、ボールロストの守備への移行、ボールを保持していない守備、ボール奪取の攻撃への移行。
・クロップによって普及したゲーゲンプレスは相手の攻への移行を破壊することを目的としている
・ゲーゲンプレスは高度なチームワークを必要とする。こちらからボールを奪った相手に簡単なパスが出せる選択肢が1つでもあった場合、効果的に機能しない。
・ゲーゲンプレスへの対抗戦術としては、ポゼッションを放棄し、スペースに向けてパーセンテージボール(攻撃の有利性が上がる可能性を重視してパス)を蹴り込む方法がある
・グァルディオラはポゼッションフェーズの達人であり、相手の守備を引き出し、高い価値のある得点機会が生まれるのを待つ
・グラハムは22-23シーズンをもってリバプールを離れたが、24-25シーズンにプレミアリーグで首位を独走しているチームの主力のほとんどはグラハム在籍中に獲得された選手
・近年、ビッグクラブたちもこぞって理系人材をかき集め始めている
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Posted by ブクログ
海外と一口に言っても様々な国があり、それぞれの文化や気質は異なっている。それに伴って良しとされるコミュニケーションスタイルも異なる。ローコンテクストかハイコンテクストか、ネガティブなフィードバックを直接的に行うのか、そうでないのか、合意志向かトップダウンか。それを知らずにコミュニケーションを取ると思わぬ地雷を踏むことになる。
【メモ】
・文化の違う人々の関係を測るとき、重要なのは指標における各文化の絶対的な位置ではなく、2つの文化の相対的な位置関係だということだ。この相対的な位置関係こそが相手への認識を形作っているのである。
・ひとつの文化でしか過ごしていない人は、地域差や個人差にしか目がいかないことが多く、そのため「この国の文化はハッキリとした特徴を持っていない」と結論づけてしまう。
・多文化なチームではローコンテクストなコミュニケーションを行うことだ。
・見解の相違を表明するときは「アップグレード」ではなく、「ダウングレード」の機能を持つ言葉を使うようにしよう。
・私たちが育った文化は、私たちの世界の見方に深い影響を与えている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ友人のウェビナーでこの本に寄稿している木崎さんの話を聞いて興味をもったのと、データサイエンスの勉強を始めたのでこれは読まねばと。
内容はプレミアリーグのリバプールがいかにしてデータを活用してプレミア優勝につなげたか?を実際にデータアナリストとして活躍した著者が書いたもので、非常に勉強になりました。詳細はもちろん記載されていませんが、「ゴール期待値」の考え方など、いわゆる確率・統計を用いた数理モデルについて書かれていて勉強になりました。サッカーはロースコアゲームの極みですし、連続的で偶然性(それをアイデアともいうのかも)にも支配されているスポーツもないだろうと思っていましたが、それも数理モデル化できるとは。。。やはり現代のデータ活用レベルはもはや人間の経験よりも上なのかもしれません。ただ、個人的には、「結果的にそうだった」という観点かな?と思っていて、「データをよくするためにプレーする」という感覚は持つ必要はないと感じました。 -
Posted by ブクログ
マネジャーにとって最も重要な仕事とは何か?
その答えは「チームメンバーに仕事の進捗を支援すること、仕事が進んでいる感を与えること」であり、それが最もチームのパフォーマンスを高める方法、と著者は説いている。
さらに効力が高いのは「チームメンバーのやりがいのある仕事の進捗を支援すること、仕事が進んでいる感を与えること」である。
「進捗の法則」が本書全体の中心的なテーマ。
進捗以外も合わせると、インナーワークライフ(仕事そのものから得られる個人的職務体験)に影響を与えパフォーマンスが向上する要素は以下である。
・やりがいのある仕事が前に進むよう支援する「進捗の法則」
・仕事への直接的なサポートである仕事に関する情報提供や人間関係構築、決断に参加させる「触媒ファクター」
・尊重、励まし、慰めなど感情的なサポートである「栄養ファクター」
良いインナーワークライフは、高い生産性・創造性・エンゲージメントを生み出す。
一連の仕事の中で自分がした作業の結果がわかるように各工程をデザインし、1日の出来事を考えて日報に書かせると、自分のプロジェクトへの貢献を理解することができる。
やりがいのある仕事にするために、自分の仕事が何かや誰かにとって価値あるものだと自分自身が認識すること、目標だけでなく目的がセットであること。マネージャーは仕事がどのように役立っているかを伝える必要がある。
やりがいを失わせてしまうきっかけを作らないことも大切。
①自分の意見やアイデアが無視されていると感じられること。
②自分の能力に見合わない仕事を与えられること。「自分にはもっと能力があるのに...」と思わせないハイな仕事を与える。
③自分の成果は認識されていないと疑念を抱かせること。
240人13,000日報から導き出された調査結果なので、情報リソースに偏りはあるが、納得感のある内容だった。
まとめると、マネージャーは
・メンバーにやりがいのある仕事だと感じてもらい、前に進めさせ、進捗をわからせる
・日々成長するための栄養を与え、感情的なサポートも施すこと
が大切である。 -
Posted by ブクログ
購入した本。令和のリーダーシップや経営者論に関する本。
リーダーシップの語源「leith」→「境界を超えて足を踏み出す」という意味。語源を辿るとリーダーシップとは自分の慣れ親しんだ考え方や環境を飛び越え、新しい選択をすること。
人生とは快楽や権力を求める旅ではない。人生とは「意味の探求」である。人間が意味を見つけられる場所は「仕事、愛、勇気」の中である。
「自分を突き動かすものは何か、また他人のそれも知ることが大切」
「利益への強迫観念に屈しないこと」
「利益は不可欠ではあるものの、それは結果として得られるものであり、それ自体が目的ではない」
「仕事とは生きる意味の探求」
「パーパスを持つ企業の株価指数はS&P500に対して15年で14倍上回っている」
※高齢者向けのホームケアサービス。遠隔サポート。
「二者択一の98%に対して、どちらもと答えるべき。収益かコストかと言われたら両方とるべき」
「金銭的なインセンティブでは意欲は向上しない」
「マスタリー(熟達)が大事」「完璧な結果よりも努力を求める」
「人→ビジネス→財務」
人材育成の例...まず全員にA評価を与える。その後全員にプログラム終了時にどんな姿になっているか手紙を書かせる。
人として生きる意味を考えることが大切。そこから仕事や人生が始まる。 -
Posted by ブクログ
AIは人間の能力を超えられるか?その議論の前に、実はその定義自体が曖昧なことに気が付いてない人が多い。
「人間の能力」がそもそもどういうものか明確に解明されていない。
その状態で、「超える」議論をする点で無理があるのだ。
能力といっても幅は相当に広いと思うが、まずは「脳」で考えてみたらどうなるだろうか。
人間の脳は様々な仕事(タスク)を行う。
「感じる」というのは、生物として本能のような根源的な機能かもしれない。
思考もする。
もちろん記憶に関することもあるし、計算することもある。
想像することだってある訳だから「人間の脳」と一言で言っても、その指し示す先は様々なことがあるのだ。
果たして、その人間の脳に対し、AIをどういう風に比較させるか。
おそらく、記憶と計算についてはAIの方が人間の能力を遥かに超えてしまっていそうだ。
しかし本当にそうなのだろうか?
単純に「計算」と言ったところで、計算は正確性を求めるだけのものではない。
「大体これぐらい」というのだって、立派な計算だ。
例えばAIが人間の脳のように進化すれば、「大体これぐらい」という計算が出来たりするのだろうか。
計算という中にも、想像力も含まれていたりする。
かつて、星の軌道が解明されていない時に、ニュートンは落ちるリンゴを見て、万有引力の法則を見つけたという逸話がある。
果たしてAIが進化したら、同じように万有引力の法則を発見するのだろうか。
微分積分は?相対性理論は?
AIがこれらを「思い付く」ことが出来るだろうか?
「思い付く」のだから、それらは「思考」ではないか?とも言える訳であるが、どうもこの辺が人間の脳みその複雑なところらしい。
つまり、計算と思考と想像を同時に処理しているのが人間の最大の特長なのだ。
こう考えると、人間の脳が今後正確に解明がされていくかは疑わしいと思ってしまう。
現時点でも解明されている部分は数%ではないか、という意見もあったりする。
この状態で「汎用的に人間の能力を超える」のは相当に無理があると思うのだ。
一方で、AIが全くの役立たずかというと、決してそういう訳ではないはずだ。
現に正しい解を導く計算であれば、どんな桁数であっても、AIの方が人間よりも早く答えを出すだろう。
どの能力がAIの方が得意で、どの能力が人間の方が得意なのか。
そういう事をきちんと理解してAIを上手く使いこなすことがこれからは大切なのだろう。
しかしながら、この加速度的な進化を伴うAIに対し、人間は一体どうやって正しく取扱いをすればよいのか。
その方針をいまだに決められないでいる。
世界中のAI識者がそのリスクについて検証中ではあるが、これといった解答が無いのも現実だ。
AIというテクノロジーを楽観的に見るか、悲観的に見るか。
そもそも初手のアプローチの仕方を変えるだけで、その景色は大きく違って見えてしまう。
本書ではその事例を、思考実験という形で明確に示してくれている。
確かに「囲碁で相手を負かせ」とAIに対して命令した時に、「囲碁の勝敗」だけで答えてくれるとは限らない。
AIが暴走して「囲碁板を凶器にして相手を叩き殺す」ことも「囲碁で相手を負かす」ことになるのかもしれない。
AIがそういう解釈をしないとも限らないということなのだ。
ここはAIに対する解釈として、重要な点を示していると思う。
今のままではAIの暴走は止められない。
それはAIがどういう思考回路でその解答を導き出したのかがブラックボックスになっていて、全く分からないからだ。
自動運転AIに対して「世界中から交通事故をゼロにしろ」と命令をした時に、AIは車も人間も全くいない世界を作り上げようと邁進し出すかもしれない。
AIが世界中の車を破壊し、世界中の人間を殺戮していく。
AIは決して人間を憎まないが、逆に大切にしようとも思わない。
そういう倫理観は持ち合わせないのがAIなのだ。
人間は加速度的に進化していくAIとどういう距離感で付き合っていくべきなのだろうか。
SF世界ではよく出てくる話であるが、もしかしたら我々世代が人間の形をした生物としては最後となるかもしれない。
AIというシステムとデータが暴走し、巨大化し、宇宙に飛び出し、永遠と彷徨っていくのかもしれない。
ある意味でAIの現実を見つつ、未来への視座を高めてくれる良書であった。
現代の一般の人々に本書がもっと読まれてほしいと思う。
(2022/7/23) -
Posted by ブクログ
insightにおいて、自己認識において色々なパターンがある事を知った。
1番の課題はそれが自分の求めている答えなのかどうか、はたまた、それを自分自身が必要だと思っているのかどうか、そこまでの強い意志を持ち取り組めるかどうか、それは個人だけでも成り立つ物では無く、周りの協力も必要で、的確なフィードバックを貰えるように質問力、それと、正しい事を言ってくれる関係性が必要になる。
あらゆる障壁を超えたのちに、insightが成り立つ。
巻末に1週間毎に取り組めるものがあるが、simpleにでも、まずは目的を持ち取り組む必要がある。
結局、短い人生で何を成し遂げたいかは当たり前な話、1日取り組んだ所で何も得る事は出来ない。
継続して行う事にこそ、人生において後悔と言うのが少なくなる唯一の行動なのかと感じました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ文化的な背景を理解した上で対応することについて。通り一辺倒とならず、文化的な傾向を知った上で対応することについて重要に思いました。
文化の違いによる期待される行動の違いについて。東南アジアにおけるボスらしくふるまうことの重要性などは、読んだ当初とても印象深く感じたのを覚えています。
とはいえここに書いてあることを実践したつもりで失敗するシチュエーションはそうていできました。①その国における集団の解像度が低い、ないしは一枚岩ととらえて雑に理解したつもりで修正することを怠る。②そもそも自分の行動をコントロールできていない、ないしは自分の行動の見え方についてある程度妥当な評価をできていない。
つまりは背景があるという一般論として同書籍の内容を把握しつつ、細かい修正や思考を怠らないことが結局は重要なのではないかという認識を改めて。 -
Posted by ブクログ
内的、外的な自己認識とはどんなものであり、いかに正確に知るか。
外的自己認識、組織への展開はある程度知られていることをわかりやすく整理したものだったが、内的自己認識は、自己欺瞞、自己陶酔、内省との違いを明確にしてわかりやすく解説。
完成はなく、日々学び続けるものとして。
◯インサイトの7つの柱
1価値観:自分が送りたい人生のガイドとなる行動指針。日々振り返る
2情熱:愛を持って行うもの
3願望:経験し、達成したいもの
4フィット:自分が幸せで存分に力が尽くせる環境。3までの柱ができた後に築かれるもの
5パターン:あらゆる状況で見られる思考、感情、行動の一貫した傾向。現れる瞬間を特定、別のより良い選択肢を試す
6リアクション:自身の力量を物語る思考、感情、行動
7インパクト:自身の行動が周りへどう影響を与えるか。他者の思考や感情を想像する力。視点取得。
◯自己欺瞞に陥る3つの盲点
1認識の盲点:思い込み
2感情の盲点:吊り橋効果などのように気づかないうちに直感的な情動に影響されて結論に至る
3行動の盲点:視点の違いの差
・自分の中の前提を知る
・ダブルループ学習:自分の価値観や前提を疑うことと、他者から疑問を投げかけてもらうこと
・過去にした予測と実際の結果を比較検証する習慣
・安易な自己承認は自己陶酔に陥り、自己認識から遠ざかる
・謙虚さを持った「自己受容」が必要
・自己受容:自分についての客観的事実を理解し、その自分を好きになろうと決めること
【内的自己認識】
◯内省:自分について考えること ≠ 自己認識:自分いついて知ること
◯「なぜ」から「何」に問いを変える:
「なぜ」という問いは基本的に自分の周りを理解する際に役立ち、自分を理解する際に役に立たない
◯日記は書き過ぎない:
ポジティブな思考を検証すればするほど幸せは奪われる。ただ再度ポジティブな思考が得られるよう努力する
ネガティブな思考のみ検証する。頻度は下げる。
◯内省は、自分の恐怖や欠点、不安にひたすらこだわる状態にある「反芻」に陥らせる
・反芻を止める:①周りは自分が思うほど気にしていない、②パフォーマンスではなく学びに焦点を当てる、③別のことに気をそらす一時停止、③決断後は考えない思考停止、④事実確認
◯瞑想を用いないマインドフルネス
1リフレーミング:良いことも悪いことも、複数の角度から見る
2比較と対比:今まさに起こっていることは今までの類似することと比べてどうか
3日々のチェック:内省には時間をかけない。何がうまくいった?いかなかった?どう改善した?を確認する
・星を置いて星座をつくる。一貫したルールの下で