村上啓夫のレビュー一覧
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クリスマスに慈悲を。
クリスマスに親類一同が集まった家で、老いた当主が血だらけになって発見された。手を下したのは家族なのか。ポアロはこの血みどろの事件をどう読むのか。
解説にもあるが、クリスマスを思わせるアイテムをちりばめた話である。密室に誰かが外からやってくるというのはサンタクロースだし、真っ赤といえばサンタクロースの服である——赤い服を着たサンタクロースはアメリカの産物だけど。クリスマスに家族が集合すれば、善意よりも苦痛や憎しみの爆発が起こるだろうとポアロは語る。そうなればクリスマスは殺人事件にもってこいの季節だ。
いかにも殺人トリックな作品なので、読み終わったときの満足感は十分。指 -
Posted by ブクログ
【ポアロ】
クリスティの義兄からの、最近の作品が洗練されすぎてきて貧血症的になってきたとの指摘と、「もっと血にまみれた、思いきり兇暴な殺人を」という要望に応えて書かれた作品。
この指摘に「これでどうよ!」みたいな若干キレ気味なのか、いつものクリスティらしくない感じがする。
・血まみれ
・唯一の密室殺人
・トリック(全くクリスティらしくない笑)
義兄の要望に応えつつも、クリスティらしさも出しながら要望以上の作品にしてしまうクリスティはさすが!
犯人当てもかなり凝ってて、これでもかと言わんばかりのてんこ盛り。
モリモリな感じが他の作品とは何となく違う。クリスマスだし、義兄も読者も王道ミステリ -
Posted by ブクログ
ポアロシリーズ17巻目。1939年の作品。
少し順番が飛びますが季節的にこちらにしてみました。
(このシリーズは再読も多いので、なるべく新訳で読もうと思っているのですが、2023年11月に川副智子による新訳版が出ていることにあとから気がつきました。)
章のタイトルが「第一部 十二月二十二日」、「第二部 十二月二十三日」となっている時点でもうワクワク。
クリスマスに一族が集まることでそれまでは隠されていた感情が表面化し、引き起こされる人間模様というクリスティーお得意のストーリー展開。
今回は若くて美しい娘さんより、美人ではないけれど上品で賢くて根性のある奥様方が素敵でした。
そし -
Posted by ブクログ
せっかくのクリスマスだというのに
ポアロのマンションはヒーターが故障中。
大金持ちの老人から呼び出しを受けたのを幸いに
その屋敷でクリスマス・シーズンを過ごすことにする。
老人は南アフリカのダイヤモンド鉱脈で財をなしたものの
その遺産をめぐって命を狙われているというのだが…。
長年顔も合わせていなかった息子たちが揃い
外国に嫁いだ娘の忘れ形見まであらわれたその夜
ついに老人を悲劇がおそう。
うひゃー。
最後までいってから読み直すと
ここにも!あそこにも!
たくさん伏線が張ってあるじゃないのさ…。
心理的なトリックと物理的なトリックが相まって
いい感じにだまされたかな〜。