<どんでん返しに次ぐどんでん返し>という惹句の通り、終盤は事件の真相が二転三転する忙しない展開が続く。これはこれで面白いけれど、どんでん返しを多用することによって、最終的に導き出される真相のインパクトが随分薄れてしまった印象は否めない。上巻でも感じた通り、登場人物が皆一様に素直過ぎるので些か深みに欠けるが、ロバートやマーカスの母といった愉快なキャラクターは十分魅力的に描けていた。難点を差し引いても、刊行当時若干二十八歳の若さでこれだけ書けるのならば、ヨーロッパでベストセラーになったというのも大いに頷ける。