船曳建夫のレビュー一覧
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2月?
[内容]
イデオロギーにとらわれることなく国を論じるという試みがなされている本。筆者が冒頭で指摘しているのは「国家を論じることの必要性と危うさ」である。しかし、一方で、現在日本が、内外で直面している問題―少子化、アジア外交、エネルギー、憲法改正―を考えたとき、それらの問題の根本は、今後の「国のあるべき姿の共通理解」の形成という一点に行き着かざるを得ないということも事実であると指摘する。そこで、筆者はイデオロギーにとらわれることなく、この国かたちをどのように描いていくべきかと言うことを、「国際日本」「大日本」「小日本」そして、日本の地政学的な位置づけを踏まえつつ提言をしていく。[感想]イ -
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調べる、考える、表現するというような知的活動の枠組みの中に小項目が立てられ、各分野の専門家たちが入門的内容を短く記述したエッセイ集のようなものです。
それぞれの項目で筆者が異なりますし、書き方も各人に委ねられているらしく、全体として体系的な記述はされていません。
その分野のフレームを要約的に紹介しようとしている文章や、具体的な一例を取り上げてその解説だけをしているものなどいろいろです。
おもしろく読めますが、この本だけで十分な学びがあるというなことはないと思います。学問の世界に足を踏み入れるためのパンフレットみたいなものかもしれません。
また、発行から四半世紀が経過していることもあり、当 -
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東京大学教養学部の「基礎演習」テキストで、「知の三部作」シリーズの第1弾です。
文科系学問の「技法」を、大学に入学したばかりの学生に伝えるという意図のもとで編まれた本で、論文の書き方や発表の仕方についての説明も含まれていますが、中心となっているのは、それぞれの研究者が自分自身の関心に基づいて、知のパフォーマンスを実演してみせることで、学生にその「技法」を体得させるようなスタイルで書かれた文章です。
全体を通して気づいたのは、構造主義のインパクトを受けていることが明確に示されているような文章が目立つことです。そのような表現スタイルが、人文・社会科学系の学問の基本になっていたことがうかがえます -
Posted by ブクログ
日本の外交史を著者独自の視点からたどり、今後の日本の進むべき道を示そうとする試みです。
日本の外交モデルは、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の3人によって原型が作られたと著者は言います。西洋伝来の新技術を積極的に取り入れ、キリスト教の受け入れにも積極的な立場を取った信長のやり方は、「国際日本」モデルと呼ばれます。一方、西洋の影響力を排除し、自身のイニシアティヴのもとで東アジアへの進出を図って中国に代わる盟主の地位をめざした秀吉のやり方は、「大日本」モデルと呼ばれます。そして、鎖国政策によって内向きの外交政策を採用した徳川家のやり方は、「小日本」モデルです。
著者は、明治維新以降の近代日本の歴史