松葉屋なつみのレビュー一覧

  • 星砕きの娘
    最近読んだファンタジーの中で最も好きだと言える一作。

    明教という作中オリジナルの宗教(仏教ベース)に見られるようなオリジナルかつイメージしやすい世界観の設定や、序盤に山場を持ってきながら後半にかけて主人公の少女・蓮華の成長物語に収斂させていく構成の妙に作者の誠実さが伝わってくる。

    とても一冊の本...続きを読む
  • 星巡りの瞳

    鬼と仏と

    最後は何だか仏教の深淵に触れたかのような気になりました。主人公は損な性分というか、難儀な奴です。そして、鬼になった陽炎と恋人の話が切ない。阿竹もいい奴なのにな。人の嫉妬心とか悪意は怖いものです。白珠は色々なしがらみから逃れて自由になれたようですが、きっと今後も色んな事に頭を突っ込むことは止められない...続きを読む
  • 星砕きの娘
    第4回創元ファンタジイ新人賞受賞作(2018年)。松葉屋なつみは新人離れをした力量を持った作者だ。巻を置くを能わずという感じで読んでしまった。どうも日本の室町時代っぽい時代の辺境でのファンタジイ。
    母とともに鬼に捕らわれて、鬼の砦で働かされている鉉太は、あるとき川底で一振りの刀と流れてくる蓮の花を拾...続きを読む
  • 歌う峰のアリエス

    とてもいいお話

    ネットワーク上に存在する「羊」とそれを作った人間とのお話。
    とても読みやすい文章で、するするとお話にのめり込んでしまいました
    話の持っていき方が素晴らしく、何度も起きるどんでん返しにすっかり翻弄されてしまいました。
    おとぎ話を読んでるような感覚で、読んでいるととても温かな気持ちになれる作品です。
    ...続きを読む
  • 星砕きの娘
    面白かった!
    「星巡りの瞳」から読んでしまったが、大丈夫だった。
    1冊の密度がすごい。
    この人の物語をもっと読みたいと思えるような作者に久しぶりに出会えて歓喜している。
  • 星巡りの瞳
    星砕きの娘を読む前に知らずに読んでしまったのでそちらも読みたいと思う。
    面白かった。
    阿竹の後悔がずっしりと響いた。

    春宮が気持ち悪すぎて逆によかった!
  • 星巡りの瞳
    良かったです。
    この物語の歴史が進んでいくと今の現実の文明レベルまで到達するのか?どうだろう。
    ずっと鬼はいるのかな。
  • 星巡りの瞳
    星砕きの娘から遡った時代の物語で、世界観は同じだそうですが、別の本と考えた方がよいです
    星砕きの娘と同様に仏教のエッセンスがいい感じ
    このタイプの本が増えてきそうな感じですかね
  • 星砕きの娘
    初めて読むタイプの本です
    血生臭い内容なのに、そこには癒しもある
    あとがきを読んだらなるほどと思いました
    この本は面白い
  • 星砕きの娘
     和風のファンタジーもしっかりした作品が増えたなぁと思う一冊でした。

     人間とはどこまでも残酷になれる存在であり、それでいて優しい。
     最後にこういう意味かと分かると最初から読み返したくなる作品です。
  • 歌う峰のアリエス
    サーバー内でセキュリティを司る羊型人工知能と、それを開発し失踪した科学者の娘と弟子の話。
    娘たちがサーバ調査を行うことで、安定していたが停滞していたサーバー内世界が変化していく。崩壊していく世界の中、主人公がサーバから離脱し、世界を再生させる。
    序盤の牧歌的な世界や、そこからの変化が良い。羊たちと外...続きを読む
  • 星巡りの瞳
    予言という呪縛に、こってこてファンタジーかと思ったけど、白珠の達観しているというか曲者具合が中和(し過ぎ感は否めないが)
    ダークパワーは人がいる限りなくなることはなく、蓄積されると強靭な力になる
    そこに巣食う鬼を絶対悪と切り捨てず、導く
    旧都香久の成り立ちや現都寧治で起きていること、それぞれの時代背...続きを読む
  • 星巡りの瞳
    白珠みたいな人の想いがわかって達観してるようなキャラが主人公なのは珍しい。主人公らしい心の成長があったのはよかった。
    展開はそこまで意外性がなかったかな。
    キャラクターに感情移入もそこまで出来なかった。
    描写は情景が想い描きやすくて特に王vs王とか楽しめた。
  • 星巡りの瞳
     鬼とそれに対峙する人間の戦いを描く。
     が、鬼自体が人間の妄執が生みだすものなわけで。鬼になってまでやりたいことだったのに、どこで間違った、と言いたいだろうな。人間が人間である限り、理想の実現は難しい。
     投げやりな、よくいえば飄々としていて、ノリの軽い白珠のキャラクターはなかなか魅力的。
  • 星砕きの娘
    「豪族の跡取りである弦太は、幼い頃に鬼に浚われて以来、鬼の砦に囚われの身となっていた。そんなある日、弦太は川で蓮の蕾を拾う。驚いたことに砦に戻ると蕾は赤ん坊に変化していた。赤ん坊は蓮華と名づけられ、美しさと強さを兼ね備えた娘に成長する。弦太が囚われて七年後、ようやく都から討伐軍が派遣され、弦太は蓮華...続きを読む
  • 歌う峰のアリエス
    セキュリティソフトを擬人化したファンタジー世界とサイバーSFを混ぜた何かだけど本当はそれともちょっと違う感じで難しい。
    教授&ジュニアの現実パートと羊達の世界の繋がりが思っていたより薄く、現実パートに種明かし以上の意味が無かったと思われるのが残念なところ。
    著者の今後を期待させる一冊だった。
  • 歌う峰のアリエス
    サーバー内でメールのウイルスを処理して生きる「羊」という仮想世界の生物たちと、そのサーバーを手掛かりにサーバー製作者の失踪を解き明かそうとする現実世界の人間たち、ふたつの物語が交差する、ちょっと変わったファンタジー。羊の設定や世界観は面白くほんわりした雰囲気も良かったが、構成や細部の詰めが甘く、いろ...続きを読む