宮田登のレビュー一覧

  • ケガレの民俗誌 ――差別の文化的要因

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    民俗学をなぜ今学ぶのか、納得できる一冊。

    副題で「差別の文化的要因」と書いてある通り、今なお存在する差別(人によっては差別とすら思っていないかもしれない)がどのようにして発生、変遷しながら現在に至るのかの考察を丁寧に行っている。

    性差別の原理の部では、「ケガレ」という言葉の意味がもともと何を表すものなのかを分析、考察しながら「女性はけがれている」とは本来どうして発生したかアプローチを試みている。すると現在神社の行事や相撲などでみられる女性忌避は「本当にこれは「伝統」なのだろうか」という疑問がわく。
    汚いとか、現在の意味での穢らわしいという意味ではなかったと推察されるからだ。

    食肉の忌避や

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    2022年07月23日
  • 民俗学への招待

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    興味深いエピソードがいくつも書いてあり、誰が読んでも楽しめるのではないだろうか。
    宮田民俗学の本をもっと読んでみようという気になった。

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    2009年10月07日
  • 新版 都市空間の怪異

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    わかりやすさ:2
    対象:ある程度アカデミックに妖怪を捉えている人
    読破難易度:並
    個人的注目点:境界の捉え方

    巻末の小松和彦の解説を読むか否かで全体の理解度、読みやすさが格段に変わった
    この著書は未完であり、急逝後関係者らがなんとか発刊にこぎつけたという事情がある
    そのため全体的にまとまりが欠け、文体も読みやすいとは言えない

    ということと、著者の友人である小松氏の著者評を併せて知ることで著者が何を伝えたかったかの解像度は一気に上がる
    再読時は解説と併読するとさらに理解しやすいだろう
    特に柳田國男、井上圓了と共通しながらも差異のある論考は「まとめきれていない新鮮さ」を感じられた

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    2025年04月11日
  • 江戸のはやり神

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    簡単に言えば江戸時代のはやり神の民俗学的考察。ただ事例はともかくかなり学問的な考察も多いのでざっと読んで理解するのはちょっと難しい。

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    2024年01月30日
  • 民俗学

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    ネタバレ


    そして山間部のどこかに現世とは異質の空間である幽界=隠り世があると想像していた。
    1 民俗学の成立と発達 より

     ちょうど大正七年ごろに、各地の村の民間伝承のあり方に一つの傾向が出ていた。つまり旧い事はそのままいい伝えるという村人の姿勢が次第に失われつつあったことである。

    祭りにともなう神輿もやはり「前から」なくなっている。
    2 日本民俗学の先達たち より

    土の生産を離れた都市民が、かならずしも農民と同様の世界観をもつとはいえないのである。
    4 ハレとケそしてケガレ より

    たしかに柳田のように、カミ→妖怪とみてしまうと、妖怪は当初存在していなかったことになる。一方、超自然的存在に邪悪

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    2021年09月14日
  • 民俗学への招待

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    前回読んだ島田恭則さんの新書に続いて、民俗学の入門的読物。この2つを読んで自分自身の生活とそこに密着している民俗学的な視点がわかるようになってきた。

    私の場合、祖母がお小遣いやお年玉をくれる時は仏壇に供えてからくれる。感謝のお祈りもする。また、家族旅行する時は仏壇にお祈りしてから出かけて、帰ってきたら無事帰った感謝と報告をする。
    学校で、汚いものや嫌なもの「○○菌」のようなものを触ったら、他の人にタッチすればその人へ菌が移る。あとバリアを言えばうつらない。タッチしても無効。(ケガレとか禊のような考え?)
    …などを今は思い出している。

    印象に残ったこと
    近所の祠に二十三夜の月待ちを偲んだ説明

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    2021年04月29日
  • 民俗学への招待

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    「マレビト」「異人」「漂着した神」などをキーワードに我々に馴染の深いテーマを論じるという本。
    「ゴジラ」とか「学校の怪談」とかキャッチーなテーマが割と多くて読みやすいです。

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    2014年07月30日
  • 民俗学への招待

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    お葬式に関連して食事会が開かれるのはなぜか、疑問に思って読んだ。疑問は解決。さらに、意外にも、地震や原発事故についての反応等にも民俗学的観点が応用できることが分かり、満足。

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    2012年09月14日
  • ケガレの民俗誌 ――差別の文化的要因

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    従来の民俗学でタブーとされていた領域に、若き日の宮田登氏が取り組んだ力作であり、私にとってあまりにも興味深いテーマを扱った一冊。
    白山信仰に性差別(穢れに関わる)。ケガレとは「ケ枯れ」が起源だ、とはよく聞いた話だが、それが「ハレ・ケ」とどういった三者関係を結ぶのか、なぜそれが「汚穢」としてのケガレに結びついていったのかなどなど、著者渾身の論文が並ぶ。
    著者がご存命の頃、私の目はたぶんまだ曇りっぱなしだった。差別とはどこか言葉の上のもののような感覚で捉えている甘い奴だった。
    もっと早くにこれら民俗学の仕事に出会っていれば少しは違っていただろうか。いや、これからでも遅くない、見えないけれどそこに確

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    2012年07月27日
  • 民俗学への招待

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    [ 内容 ]
    なぜ私たちは正月に門松をたて雑煮を食べ、晴れ着を着るのだろうか。
    雛祭りやクリスマスなどの年中行事。
    富士講などの民間信仰。
    震災とユートピア。
    真夏の夜を賑わせる幽霊や妖怪たち。
    「トイレの花子さん」や「メリーさん」と呼ばれる老婆など、超高層ビルの片隅で生まれては消える都市のフォークロア。
    民俗学のまなざしから見えてくるものはいったい何か。
    柳田国男、南方熊楠、折口信夫、渋谷敬三などの民俗学研究の豊かな遺産を受け継ぎながら、世相の根っこから掘り起こされた日本人の文化の深層を探る、現代人のための民俗学入門。

    [ 目次 ]
    第1部 民俗学のまなざし(正月の神々―睦月・如月;震災と

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    2010年09月01日
  • 新版 都市空間の怪異

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    ・私は宮田登といふ民俗学者をほとんど知らない。「ミロク信仰の研究」といふ著者があるのは知つてゐたが、読んだことはない。これから分かるやうに、この人は民間信仰あたりを中心にやつてきた人であるらしい。小松和彦の「解説 宮田登の妖怪論」によれば、妖怪ブームに関して「民俗学という学問的立場から、こうしたブームに応えるかたちで、メディアを通じて妖怪関係の情報を提供したのは、ブームの当初では宮田登とわたしのたった二人であった。」(298頁)さうだから、妖怪学の先駆けといふことになる。小松和彦が妖怪に関していろいろと書いてゐたことは知つてゐた。ところが、この人の「妖怪研究は『妖怪の民俗学』(岩波新書、ちくま

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    2024年04月05日
  • 民俗学への招待

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    民俗学が明らかにしてきたさまざまな事例を紹介しながら、そこにかいま見られる心性が、現代の日本の生活文化にまでつながっていることを論じた本です。

    1996年に刊行された本ということもあって、前年に起こった阪神大震災やオウム真理教事件などに言及しながら、大地震と世直しをめぐる過去の人びとの思考のありかたや、富士講、ミロク信仰などを例に「日本のメシア」ともいうべき発想が存在したことが紹介されています。また、学校の怪談に代表される現代のフォークロアについても言及がなされており、現代社会について民俗学的な観点からの考察がなされるべきであるという主張が展開されています。

    雑多なテーマがあつかわれている

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    2022年02月03日
  • 民俗学への招待

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    「物言う魚」が人に対して警告などを伝えにくるという伝承も為になったけれど、阪神淡路大震災の1ヶ月前に大アナゴ?か何かが釣れたという話がもしかしたら何かを伝えにきてたのかも、という話がずっと頭に残ってる

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    2021年10月28日
  • 民俗学への招待

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    『ミステリー民俗学者 八雲樹』を読んで民俗学に少し興味が出たのでこの本を手にとってみた。


    鬼ごっこでつかわれる「タイム」とは英語のTIMEではなく、江戸時代の税の伝馬(てんま)役がなまったもの。
    伝馬とは公用の書状などを人馬を交替して運ぶ伝馬制のこと。お上の命であれば、鬼役も追求を止めざるを得ない、ということ。

    「毒」というのは、祭事に携わる巫女が髪飾りなどつけ厚化粧する様子を示す。その飾りつけが仰々しいことを毒々しいとすることから、すべてに濃厚すぎるというのが毒の原義という。

    厄年の者は、二月一日に正月をやってもう一歳年を加えと自己暗示をかけた。

    「不思議」とは仏教用語「不可思議」

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    2014年02月15日
  • 民俗学への招待

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    年中行事や民間信仰から、学校の怪談等にも触れ、興味深いテーマが多数取り扱われている。が、新聞記事のまとめが中心になっているせいか、ほぼさわりのみ。個人的には、ハレとケ、第4章の幽霊と妖怪が面白かった。
    招待、という軽めの本なので、興味を持ったら次へ進むと良いでしょう。

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    2013年09月15日