鴨下信一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレチェック項目14箇所。戦後の日本・・・盗み(取替え)、すべては盗まず、いいもの一点だけ・・・対策として風呂敷。母親が親戚の米びつから米をかすめ取っている光景を見たときはこたえた。美味しい=腹いっぱい食べる。飢えていても同じものばかり食べていれば食べられない。列車の満員地獄・・・身動きできずに8時間、窓から小便をする男性もいた。昭和20年12月19日、母親に背負われた乳児が満員電車で圧死。間借りの時代の悲劇は台所から起きる、隣人が何を食べているのか?おかずはない、主食は何か?第一回宝くじが昭和20年10月に発売、一枚10円、一等10万円。身分証明にはハンコ、闇市にも販売される。ペイオフ、昭和21
-
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
昭和25年から29年までの5年間。
その後の日本のアウトラインを決めた最重要期なのに、なぜか顧みられず影の薄いこの時代を、世相の硬軟とりまぜてユニークな視点から描く。
[ 目次 ]
隣りの国では戦争をしていた―朝鮮戦争と日本人
イライラ・暴力衝動そして密告―この時期の日本人の心理
黒い英語とバラ色の英語―この時代の英語について
「ローマの休日」や「七人の侍」ばかり見ていたわけじゃない―映画はこうだった
演歌なんかどこを探してもない―音楽の世界
逆コースの文化たち―歌舞伎・寄席・相撲はいかに復活したか
ヤンキー~ウェルカムとゴーホーム―進駐軍クラブ、キャンプまわり、呼び屋、そして -
Posted by ブクログ
ネタバレチェック項目7箇所。朝鮮戦争を書いた作品がほとんど見当たらない、戦時中に朝鮮で軍務に服していた旧日本軍人は有力な、頼りになるスタッフだったに違いない、参加させられた日本人は全部国籍を削られ、韓国名になっていた、という(松本清張)。昭和25-29年の日本の政治と社会の印象はイライラ、暴力衝動、密告の怖さ、の3つの言葉に要約される。20-25年、食の時代(食への欲望が中心)、26-30年、衣の時代、31-35年、耐久消費財の時代(洗濯機、冷蔵庫、テレビ)。ファッションそのものが日本の女性の社会的地位を変えた・・・歴史を書くのは男だから重要視されていない?戦後の日本を根こそぎ変えたのはファッションだ
-
Posted by ブクログ
ネタバレ本書は、昭和20年の敗戦直後から、朝鮮戦争特需で日本が息を吹き
返す昭和25年までの5年間の生活感覚を描いたものです。昭和10年
生まれで、当時ちょうど10歳~15歳の最も多感な時期を過ごした著
者自身の体験と、放送業界ならではの収集力を生かした資料をもと
に、「あの頃のこと」が思い起こされてゆきます。
最初に描かれるのは、盗みの話です。「日本人一億が総犯人だった
といってもいい」と著者は書きますが、とにかく盗みは普通のこと
だったそうです。ただし、〈盗む〉とは言わず〈取り換える〉とか
〈借りる〉という言葉を使う。「そうやって盗みの意識をごまかす
ことに皆が慣れていた」。そうしないと生きてい -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
食糧難、銭湯、列車の殺人的混雑、間借り、闇市、預金封鎖、ラジオ文化など、日本の最も長かった「誰もが忘れかけている」あの五年間を、常識破りの視点からふり返る。
[ 目次 ]
風呂と風呂敷―それを盗みとは言わない
敗戦のレシピ―代用食を美味しく食べる方法
殺人電車・列車―混雑と衝動
間借り―監視し監視される生活
闇市―ヤクザは隣人
預金封鎖―ペイ・オフは昔からあった
何であんなに寒かったんだろう―気象と犯罪・災害
シベリヤ抑留―64万人の拉致
玉音放送
美空ひばりへの愛憎―日本の心とアメリカへの憧れ
復員野球―幻影も一緒にプレーしていた
肉体の門―性と解放
何を信じたらいいの?―漢 -
Posted by ブクログ
戦後の社会史の中でも、庶民の生活史に焦点を当てた一冊。
朝鮮戦争から、庶民の娯楽である歌舞伎、その間のGHQによる内容の改変、歌謡曲、ジャズ、昨今の芸能事務所の創設者、ホリプロ、ナベプロもここから始まっているなどなど、その他、映画に、進駐軍に、文学にと。
日本人の悪い癖、所謂アメリカナイゼーションの走り、現代にまでその潮流は脈々と刷り込まれている。
レッドパージの頃の密告の章を読んでると、政府はこれ正に今再び繰り返そうとしてるね。恐ろしいよ。
読物としては、中々面白い。
とは言え、タイトルが誰も覚えていないなんて書かれてるけど、赤提灯やスナックなんかで飲んでると、割と年配のジイさんバ -
Posted by ブクログ
正確、正直、正当、正義など、抽象概念の「正」は今も生きているが、いわばリアルな「正」の字が、平成に入り消えつつある。たとえば正札、正貨、正味といった言い方。正味というのは味のことを言うのではなく、入れ物や目減りを除いた中身の分量を意味する言葉。こんな言い回しが滅びつつある。昔なつかしい飲み屋の正一合もなくなった。俗語だが、正肉、正油といった混ぜ物がないことを意味する表現も今は影さえ見えない。正客、正字(略語の対)、正座、正賞(芥川賞の正賞は時計。)などもほとんど聞かなくなった。正が廃れ、不純、不倫が純粋、倫理を押しのけて跋扈している。言葉は現実を映す鏡。「正」の文字が日々排除されていく現実はま
-