八薙玉造のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
“「よかった……。ちゃんと入った。でも、やっぱりあの頃より、少し腹が……」
ぼやいたユリウスはいつも着ている黒い服とは違う服に身を包んでいた。
彼の普段の服とは対照的に、その服は染みひとつなく白い。戦闘に用いられることも想定しているのか、白く染められた皮で、とこどころを補強された服には、中央教会の意匠があしらわれていた。
両手を覆う分厚い戦闘用の手袋もまた、白色に染め上げられている。
その首には、アンナのものよりも豪華な装飾が施された獅子の聖印がかかっていた。
「ユ、ユリウスさん……。その服、いったい。なんだか……」
アンナは言葉を止めて息を呑む。
「なんだか、すごく真面目な人みたいです!背中がちょっと丸くなっているのと、いつもどおり眠そうな顔が難点ですけど、立派な聖職者みたいに見えます!ど、どうしたんですか!?いったい、どうしてしまったんですか!?働くんですか!?働く人みたいです!!」
「……アンナさん、いつも、俺のことそういうふうに見てたんですか」
ユリウスは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
「ゴ、ゴメンなさい!でも、わたし、言ってると思うんです!背筋を伸ばしてとか、もっとはつらつとした表情をしないといけないって。いや、そうじゃないんです!その、服はいったい……」
「俺が《法の獅子》をやってた頃の服です。みれんなんてなかったけど、残してたんですよ」”[P.45]
バイオレンスアンナさん。
聖職者姿のユリウスさんをイラストで見たかったー。
過去は若干明かされつつも、どうして彼があっち側に着いたのか気になるな。何となく予想はつくけど、もう二転三転あっても面白い。
“「と、とにかく、詳しい話を……」
ユリウスが辛うじて口を開いた時、その言葉を遮るように、グギュルルという、どこか気の抜けた音が鳴った。
それは、明らかに腹の音だ。
ユリウスたちが目をやれば、音の主、白い髪の少女はお腹を押さえて、目を逸らす。
「あ、いや……。違うんじゃ。お昼御飯、少なかったけど、さすがに、わしもこの状況はわかっておる。つ、続けてくれ。話を続けてくれてかまわんよ」
白い少女が何か言い訳をしていたが、また彼女の腹が鳴った。
「お師様……」
赤い少女が額に手を当てて、溜息をつく。
「ま、待て!生理現象だし、これはさすがにしかたないじゃろ!二度鳴るほど、お腹がすいてたんじゃから!だって、ほら、わしも、今、色々考えていて、それで……!そう!頭を使ったから、お腹が反応してしまったんじゃ!そうじゃろう?」
「もういいから、ほんと、黙ってて。あーもう。せっかく神秘的な女の子気取ろうと思ったのに、お師様のせいで台無しだよ」
白い少女の口を塞ぎつつ、赤毛の彼女は、ユリウスに微笑む。
ユリウスもまた、自然と頬が綻ぶのを感じていた。”[P.178] -
Posted by ブクログ
ネタバレファンタジーです.
そんなに面白くなかった.
まずヒロインが気持ち悪い.
人の話を聞かずこう思ったらの直情型で自意識過剰気味で自己犠牲の塊.
お前が死んだところで暴れる竜は止まらないんだよ.
自己犠牲に浸って気持ちよくなってるアレがとても気持ち悪い.
もちろん個人的な感想であり,実際の効果・効能とは異なる場合がございます.
まぁ,包丁とか鎌や鍬を振り回しながら他人の生活の心配をする件は笑えたけど
そう何回も使えるネタじゃないでしょう.
困ったことがあったら直ぐに(無意識的に?)暴力に訴える点も減点対象に.
主人公君はよくある駄目人間風味のツッコミ体質なので特に言及しないでおこう.
あ,ぽんかん⑧さんのイラストは良かったよ. -
Posted by ブクログ
“「どうじゃ?ユリウス。普通の労働もいいものじゃろ?おぬしがそういう喜びを知ってくれて、わしも嬉しいぞ」
「あんた、俺のこの死んだような目を見て、そんなことよく口走ることできますね」
「ユリウスさんはがんばったと思いますよ。わたしも、お仕事勧めてよかったって、心から思っています」
「だから、この死んだ魚みたいな目を見てから、そういうことは言って下さい。こういうのは本当、苦手なんですよ。人と話すのも億劫なのに......」
「でも、ユリウスさん。本当に楽しそうにしてますよ」
「どこを見て、そんな......」
言い返そうとして、ユリウスは口を閉じた。
アンナが身を乗り出し、顔を覗き込んでいる。
澄んだ瞳に、ユリウス自身の顔が映り込んでいた。”
サロメ可愛い。
ユリウスの口調が今ひとつ摑めないけど好きだ。
あと三人の会話が楽しい。
禍竜戦争が今ひとつよく分からなくて。
事実は伝えられてる内容とは違うのかなー。
ユリウスとサロメの過去にアンナの秘密。
10月に続き出るらしいし待機。
“「や、やめてください!ユリウスさん、痛い!」
「嫌だ!俺はお前みたいに自己犠牲に浸って気持ちよくなっている奴には虫酸が走るんだ。黙ってついてきてください」
「街の人がどうなってもいいんですか!?ちょっと考えて......」
「どうなってもいいに決まってるでしょ。なんで、赤の他人の心配なんてしないといけないんだ。気持ち悪い」
「ユリウスさん!見損ないました!」
必死で抵抗するアンナが手枷をされた腕を大きく振り上げる。
「うるさい!それはこっちの台詞だ!ちょっと黙ってろ!」
それに対して、ユリウスは彼女の腹へ一撃を叩き込んだ。
「はぐっ!?」
気を失った彼女の身体が、ユリウスの腕の中に倒れこんでくる。
「......あ。やっちゃった」
ユリウスは気まずい顔で頬を掻く。
「......なんか、俺も暴力振るっているような......。えっと......。俺め、絶対許さん」”
2012 08 25 再読
聖職者なのにミニスカ…?"服の裾が翻り云々"ってことはロングスカートを思っていた? -
Posted by ブクログ
異形と神の使いとの戦いを描く伝奇もの。
伝奇的設定や登場キャラや戦闘場面など、よく書けている。
よく書けてはいるんだけど……なぜかあまり物語に引き込まれなかった。
たぶん、主人公の性格がちょっと後ろ向きだったり、
少女の行動があまりにお約束的すぎたり、
戦闘場面が饒舌すぎたりすることが、
少しずつ気になったからだろう。
地の文もなんだかちょっと説明的すぎるような違和感があったし。
そんなこんなでもう一つ物語に集中できなかった。
ラストの戦いも、二人が一つ、のアイデアはよかった。
でも、少女が生きることが出来るかどうかを先にばらしちゃダメだと思う。
なので、物語としては一定の水準だと思うけど、自分的にはもう一つだった。 -
購入済み
期待はずれ
一応、全巻一気読みしてみたけど、途中ぽつりぽつりと面白そうな場面はあったけど、最終巻でプラス分をも吹き飛ばす様なマイナス要素でトータルでは星一つどころかマイナスにしたい気分になった。
何なんだろう?
この喪失感は。
がっかりした。