香田洋二のレビュー一覧
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当初は防衛省の文官統制を批判する本だと思い、制服だってどうなのよと思っていたが、官邸が強くなり過ぎて霞が関が永田町の顔色ばかり見て仕事するようになったことを指摘している。
海自の艦艇乗りの代休買上げなどは現役の人は言いにくいだろうから、後輩たちのために一市民として訴え続けてほしい。GDP 1%枠文化という表現と、防衛大綱で基盤的防衛力が出てきたというのも面白いし、別表の数字を守ろうとして弾薬や燃料が薄くなるとか。いずも改修も、本来米空母が来援できるよう対潜戦を実行するための艦を、制服に詳細な検討をさせずに背広が決めたのではと推測。文民統制の一丁目一番地は国会だが、現在は規則はなくなったのに国会で自衛官が答弁できない。これを改めるのが文民統制に有用。誤った国産信仰は改めるべきで、アメリカからの購入と国産とのプロコンをよく検討しなければならない。著者は憲法に軍の保持を明記せよと言うが、個人的には今までも書いてきた理由から反対。東日本大震災のトモダチ作戦を美談に終わらせず、顧みた方がいいというのは賛成。名誉については、わからんな。 -
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元海上自衛隊高官による集団的自衛権に関する解説本。専門家だけあってわかりやすい。現場で経験してきた苦労話が参考になった。
「日本のように「憲法の制約により集団的自衛権の行使はできない」と最初から結論づけられていると、何が自分たちの国益に見合う最適な行動なのかを判断することができない」p19
「明文化はされていませんが、次の3つの用件が満たされなければ、自衛権の行使は認められません。(国際慣習法)①急迫不正の侵害があること ②ほかにこれを排除して、国を防衛する手段がないこと ③必要な限度にとどめること」p22
「ドイツはアフガニスタンの(対テロの)戦闘で敵を撃滅する一方、約10年間に及ぶ戦いで、54人の戦死を含む犠牲者を出しました。もちろん、戦死者は出ないに超したことはありませんし、ドイツ社会としても戦後初の犠牲者を出したのは大変つらいことでした。しかし、そうやって現場でショルダー・トゥ・ショルダーで戦い、血と汗を流してくれる国に対しては、やはり強い信頼感が生まれます。実際、私がアメリカで接した安全保障関係者たちは、総じてドイツへの敬意と信頼感を抱いていました。日本も資金面では対テロ戦争に貢献しましたが、どちらが同盟国として頼もしいかは明らかでしょう」p103 -
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元海上自衛隊の将官だった著者による各種雑誌新聞原稿を新書にまとめたもの。
章によっては新書のための書下ろしもある。
時系列的に米朝対立がまとめられていて、今日に至るまで何があったのかがよく理解することができる。
日米同盟の位置づけは、おそらくは論者によって見解が異なるのだろうし、
著者のバックグラウンド的に批判できるものでもないのだろうが、
まあ、そういうものかな、と思ったりもした。
印象深いのは、ロシアが北方領土を返還することがない、という点。
まさしくおっしゃる通りなのだろうし、現実的な物事の捉え方というのは、こういうことを指すのだろう。 -
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元海将の著書。
自衛隊が抱える課題について、あらためて問題提起をおこなっているが、著者はこれまでも比較的、防衛省・自衛隊に対して厳しめの批評を行っており、特に目新しい主張ではない。
しかし良くも悪くも元自衛官なのである。本来、軍事は外交との両輪であり、政治や国民の問題なのであるが、政治には口を出さない自衛官らしい書き方である。
直接、この著書に関連しないが香田氏の意見・提言に対する意見として、海上自衛官が陸上自衛隊・航空自衛隊に関して口を出すな、などのコメントが付くことをよく見かける。
(そのコメント主は元自衛官でさえ無さそうなのであるが。)
残念ではあるが、それが国民の安全保障のリテラシーのレベルなのである。
問題解決は防衛省・自衛隊たけでなく、国民が国の独立を守りたいのか?そこからの議論が必要。
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著者の香田洋二氏(1949年~)は、第36代自衛艦隊司令官(海将)を務めた元海上自衛官。海上幕僚長の有力候補であったとも云われる。最近は報道番組にもしばしば登場している。
本書は、2017年半ば以降の雑誌・新聞への掲載文・インタビューを改稿した4つの章に、書下ろしの2章を加えたもの。
近時、北朝鮮情勢を分析・解説した書籍は少なくないが、学者やジャーナリストとは立場を異にする元自衛官として、現実的かつ楽観性を排除した分析を展開している。内容は概ね以下である。
◆北朝鮮が核ミサイル開発をやめ、既に製造した兵器の廃棄を行わない限り、アメリカは軍事力を行使する(核開発の一時的凍結では妥協しない)。既に時限爆弾のスイッチは押されており、現在アメリカは自分たちがいつ何をすべきかを見極めている。
◆アメリカは、北朝鮮の核武装とアメリカ本土に届くICBMの保有を許すつもりは毛頭なく、それをきっかけに、世界中に核兵器が拡散することを絶対に容認しない。そのためには軍事力行使も厭わないのであり、冷静な現状判断からは、「戦争にならない」という結論を導く方がむしろ難しい。
◆アメリカが武力行使をする場合、韓国などの被害を最小限に食い止めるために、奇襲攻撃で北朝鮮の攻撃能力を一気に無力化し、短期間で決着をつけるだろう。Xデーは、火星14型がICBMとして完成する可能性のある来年6月以前で、2月の平昌オリンピックを外した時期、早ければ12月~1月の可能性すらある。
◆戦争となった場合、それは単なるアメリカと北朝鮮の戦争ではなく、世界が制御不能な核兵器拡散の地獄を見る負の連鎖を事前に食い止めるための戦争である以上、日本は、(北朝鮮からの攻撃を防御するだけではなく)、責任ある支援を行い、国際平和に貢献しなければならない。
◆戦争となった場合、北朝鮮は、アメリカからの核兵器での報復を恐れるため、日本を核攻撃する可能性は低い。日本が通常兵器で攻撃されれば、日本のミサイル防衛システムは世界でも最も進んではいるとはいえ、被害はゼロではすまないだろう。
◆アメリカの狙いは北朝鮮の核・ミサイル能力を排除することであり、国家体制の崩壊は目指していないため、38度以北へ攻め込むことはない。その範囲において、この戦争は中国・ロシアともにギリギリ許容できるものであろう。
◆アメリカ・北朝鮮両国が強硬な挑発を控えた結果、アメリカが武力行使をしない可能性もある。その事態は、戦争を望まない関係各国にとって短期的には最良の結果と映るが、いずれは北朝鮮が核兵器と世界のあらゆる地点を攻撃可能なICBMを保有することになり、更に、中東や南米の地域大国が北朝鮮に倣って核・ミサイル保有に驀進し、世界中に核兵器が拡散するという、真の最悪の結果を招くことになる。
北朝鮮が核兵器を放棄し、上記のような事態が避けられることが望ましいのは言うまでもないが、希望的な観測のみに流されることなく、そうならなかった場合の事態を冷静かつ現実に根差して想定する必要があるのは間違いなく、今一読しておく意義のある一冊だろう。
(2017年12月了) -
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著者は元海将で、自衛艦隊司令官も務めた人。
集団的自衛権行使容認の主張のための一定の論理性はもちろんあるが、それよりも、現場でのソ連海軍との対峙から、インド洋での給油時にイージス艦を派遣するかどうかの問題に立ち会ったりとか、9.11のときのキティホーク護衛とかを自衛官として体験した身からの、集団的自衛権を行使できないことへの憤懣からくる思いみたいなのが興味深い。
海自には特に集団的自衛権行使容認を求める声が多いと聞くが、海自が経てきた道をみるとそれも少し納得できると思った。
元自衛官の本には、在職中の思いなどから現在の安保政策とか政治についてああだこうだというものも多いけど、そのなかでも比較的現実的に議論を進めている印象。
主張の上手さとかは他の本に譲るところがあるかもしれないが、行使容認派の元自衛官の、現在の安全保障環境に対する焦りと憂いの思いを知るという点では好著かと。 -
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自衛隊の優秀さは、いろんなところで評価されてはいるが、いざ、有事の対応力を考えるととても誉められたものではない。
出自の違いもあって、陸自空自海自に一体感がない。それは、守るべきもの、戦略も含めて。
戦闘力の維持向上よりも、年次、階級によるポストの方が重要と思われる部分もあって。縄張り意識もしっかりあって。
なんかホンマに、先の大戦の、政府と陸軍と海軍が己の領域を守ることに汲々としていた事態を彷彿させる。それでも旧日本軍は現場が優秀すぎて何とかなってしまったので、壊滅するまで気が付かなかった。
同じでないかい。
自衛隊に感謝し、応援している身としては哀しい上に危機感いっぱいである。
有事にはまた、現場の優秀な士卒が、あんな目に遭うのか。
もちろんその先には、「守られるべき」国民の悲劇がある。 -
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現場トップの自衛艦隊司令官を務めた海上自衛官OBの著者が、日本の防衛行政の構造的な問題点を厳しく批判。主旨としては、日本では文民統制が歪な「文官統制」となっており、現場の実情に無理解で軍事の専門性に欠けた防衛相官僚である「背広組」が幅を利かせ、実際に現場で戦闘任務を担う「制服組」の自衛官の意見が反映されにくいシステムになっており、そのことによって日本の防衛上様々な支障が生じているというもの。
推測に基づくような指摘があったり、「背広組」に対する感情的な愚痴の要素が強いという印象を受けたりはしたが、著者の指摘には一理あると思う部分が少なくなかった。
特に、軍事の実情に通じた「制服組」も防衛政策に関与すべきであるし、文民統制を真に実現するために「制服組」も国会答弁をすべきということ、防衛費を単に増額すればよいのではなく、戦闘機やミサイルなどの「正面装備」だけでなく「後方」や「教育・訓練」のバランスが重要ということ、国産装備にこだわるのではなく、先頭実績が多くスケールメリットもあるアメリカ製のメリットも認識し、費用対効果をよく検討すべきということなどの主張は、確かにそのとおりだと思った。 -
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何となく心の中では、どうせ北朝鮮は攻撃してこないだろうとたかを括っている。一昔前ならミサイルの精度が低く、日本領海内や国土の何処かに落ちるのでは?そうなったら政府は自衛隊は米軍はどうするだろうと考える事もあった。だが最近はその心配も無くなる程、北朝鮮のミサイル技術は進歩している。真偽の判らない点はあるものの、狙った位置に正確に落とせていると、いつもの強気な口調で発表している。一時期は朝からJアラートが頻繁になる事もあり、何故国民が飢えているのにそんなに毎日打つかなと疑問に思う事もあったが、内心はそろそろ本当に危ないのではと不安になる事もあった。そして核開発。いよいよ核弾頭が出来上がればうかうかしていられない、との心配をよそに、やはり心の中ではどうせ打てないという何か根拠の無い確信もあった。
私の心を縛っているのは日米安保だ。だから沖縄県の基地廃絶論がニュースに上がるたびに、県民の気持ちを察しつつも、本当に大丈夫だろうか、との別の不安が生まれてくる。
今日本の周囲には筆者が言う通り、北朝鮮と中国という大きな不安を抱える。そしてウクライナ侵攻により新たに「危険な国」に加わったロシア。中国やロシアの様な大国は物分かりが良いから、日本と事を構える事は無いに等しい。だが北朝鮮が本格的に核弾頭を配備したミサイルをアメリカ本土に落とせる様になると、わからないのはアメリカだ。
アメリカはこれまでにも疑いがあれば、若しくは疑っても大丈夫な状況が作れれば、突然武力行使に出る。勿論過去に行った攻撃は、近隣に重要度の高い同盟国がない事が前提だったから、韓国や日本が陸地や内海を隔てるだけの様な近さにある事への配慮はあるだろう。だがそれ(北朝鮮の振る舞い)がアメリカの将来の安全保障にとって許容できないレベルに達すれば、躊躇なく叩くだろう。だから本当に怖いのはアメリカだ。
彼らの世界の警察としての軍事力は他の国の追随を許さない。例え中国が空母軍を作り、F22クラスのステルス戦闘機を持ったとしても敵わない。それは誰の目にも明らかだろうし、万が一正面からぶつかれば、そうした戦闘部隊の衝突ではなく互いのミサイルの撃ち合いになるから、より多くのミサイルと正確に当てる技術、核兵器数においても優位な技術力を有するアメリカが勝利するだろう。それにアメリカは過去何度も実戦経験がある。
今我々が本当に恐れなければならないのは、そうした北朝鮮が徒にアメリカを刺激し、アメリカの攻撃判断を早めたりする事だ。そしてやはり中国の台湾に対する動きにも要注意だ。習近平は数年以内に台湾を手に入れる(元々自分たちの国だが)事を明言している。この動きをアメリカはどう見るだろう。恐らくこちらは動かないだろうが、北朝鮮を攻撃する絶好のチャンス(タイミング)でもある。
そう考えると、北朝鮮・中国・台湾・韓国・日本がそれぞれが、その様な事態にどう動くか、アメリカの動きを読み切るしかない。
いずれにしろアメリカ次第。朝ニュースを見たら突然、燃え盛る平壌の街並みが映像として流れる。そんな朝を迎えずに済みたいものだ。