香田洋二のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
当初は防衛省の文官統制を批判する本だと思い、制服だってどうなのよと思っていたが、官邸が強くなり過ぎて霞が関が永田町の顔色ばかり見て仕事するようになったことを指摘している。
海自の艦艇乗りの代休買上げなどは現役の人は言いにくいだろうから、後輩たちのために一市民として訴え続けてほしい。GDP 1%枠文化という表現と、防衛大綱で基盤的防衛力が出てきたというのも面白いし、別表の数字を守ろうとして弾薬や燃料が薄くなるとか。いずも改修も、本来米空母が来援できるよう対潜戦を実行するための艦を、制服に詳細な検討をさせずに背広が決めたのではと推測。文民統制の一丁目一番地は国会だが、現在は規則はなくなったのに国会 -
Posted by ブクログ
元海上自衛隊高官による集団的自衛権に関する解説本。専門家だけあってわかりやすい。現場で経験してきた苦労話が参考になった。
「日本のように「憲法の制約により集団的自衛権の行使はできない」と最初から結論づけられていると、何が自分たちの国益に見合う最適な行動なのかを判断することができない」p19
「明文化はされていませんが、次の3つの用件が満たされなければ、自衛権の行使は認められません。(国際慣習法)①急迫不正の侵害があること ②ほかにこれを排除して、国を防衛する手段がないこと ③必要な限度にとどめること」p22
「ドイツはアフガニスタンの(対テロの)戦闘で敵を撃滅する一方、約10年間に及ぶ戦い -
Posted by ブクログ
元海上自衛隊の将官だった著者による各種雑誌新聞原稿を新書にまとめたもの。
章によっては新書のための書下ろしもある。
時系列的に米朝対立がまとめられていて、今日に至るまで何があったのかがよく理解することができる。
日米同盟の位置づけは、おそらくは論者によって見解が異なるのだろうし、
著者のバックグラウンド的に批判できるものでもないのだろうが、
まあ、そういうものかな、と思ったりもした。
印象深いのは、ロシアが北方領土を返還することがない、という点。
まさしくおっしゃる通りなのだろうし、現実的な物事の捉え方というのは、こういうことを指すのだろう。 -
Posted by ブクログ
元海将の著書。
自衛隊が抱える課題について、あらためて問題提起をおこなっているが、著者はこれまでも比較的、防衛省・自衛隊に対して厳しめの批評を行っており、特に目新しい主張ではない。
しかし良くも悪くも元自衛官なのである。本来、軍事は外交との両輪であり、政治や国民の問題なのであるが、政治には口を出さない自衛官らしい書き方である。
直接、この著書に関連しないが香田氏の意見・提言に対する意見として、海上自衛官が陸上自衛隊・航空自衛隊に関して口を出すな、などのコメントが付くことをよく見かける。
(そのコメント主は元自衛官でさえ無さそうなのであるが。)
残念ではあるが、それが国民の安全保障のリテラシー -
Posted by ブクログ
著者の香田洋二氏(1949年~)は、第36代自衛艦隊司令官(海将)を務めた元海上自衛官。海上幕僚長の有力候補であったとも云われる。最近は報道番組にもしばしば登場している。
本書は、2017年半ば以降の雑誌・新聞への掲載文・インタビューを改稿した4つの章に、書下ろしの2章を加えたもの。
近時、北朝鮮情勢を分析・解説した書籍は少なくないが、学者やジャーナリストとは立場を異にする元自衛官として、現実的かつ楽観性を排除した分析を展開している。内容は概ね以下である。
◆北朝鮮が核ミサイル開発をやめ、既に製造した兵器の廃棄を行わない限り、アメリカは軍事力を行使する(核開発の一時的凍結では妥協しない)。既に -
Posted by ブクログ
著者は元海将で、自衛艦隊司令官も務めた人。
集団的自衛権行使容認の主張のための一定の論理性はもちろんあるが、それよりも、現場でのソ連海軍との対峙から、インド洋での給油時にイージス艦を派遣するかどうかの問題に立ち会ったりとか、9.11のときのキティホーク護衛とかを自衛官として体験した身からの、集団的自衛権を行使できないことへの憤懣からくる思いみたいなのが興味深い。
海自には特に集団的自衛権行使容認を求める声が多いと聞くが、海自が経てきた道をみるとそれも少し納得できると思った。
元自衛官の本には、在職中の思いなどから現在の安保政策とか政治についてああだこうだというものも多いけど、そのなかでも比較的 -
Posted by ブクログ
現場トップの自衛艦隊司令官を務めた海上自衛官OBの著者が、日本の防衛行政の構造的な問題点を厳しく批判。主旨としては、日本では文民統制が歪な「文官統制」となっており、現場の実情に無理解で軍事の専門性に欠けた防衛相官僚である「背広組」が幅を利かせ、実際に現場で戦闘任務を担う「制服組」の自衛官の意見が反映されにくいシステムになっており、そのことによって日本の防衛上様々な支障が生じているというもの。
推測に基づくような指摘があったり、「背広組」に対する感情的な愚痴の要素が強いという印象を受けたりはしたが、著者の指摘には一理あると思う部分が少なくなかった。
特に、軍事の実情に通じた「制服組」も防衛政策に -
Posted by ブクログ
何となく心の中では、どうせ北朝鮮は攻撃してこないだろうとたかを括っている。一昔前ならミサイルの精度が低く、日本領海内や国土の何処かに落ちるのでは?そうなったら政府は自衛隊は米軍はどうするだろうと考える事もあった。だが最近はその心配も無くなる程、北朝鮮のミサイル技術は進歩している。真偽の判らない点はあるものの、狙った位置に正確に落とせていると、いつもの強気な口調で発表している。一時期は朝からJアラートが頻繁になる事もあり、何故国民が飢えているのにそんなに毎日打つかなと疑問に思う事もあったが、内心はそろそろ本当に危ないのではと不安になる事もあった。そして核開発。いよいよ核弾頭が出来上がればうかうか