遠野りりこのレビュー一覧
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天才画家の父を事故で亡くしてから、後妻の義母と暮らしていた少年茜。2人の年の差はわずか8歳。7年が経ち、2人は19歳と27歳になっていた。
許されない恋の物語?の展開を想像していましたが、茜君の成長、再生の物語でしたね。
茜の心情を事細かに説明しているので、まどろっこしい感じも受けましたが、徐々にそれにも慣れ、繊細で傷つきやすい青年の気持ちを手に取るように感じることが出来ました。
茜を取り巻く人々がとても良くて、それが随所で物語に働きかけます。
壊すことで終わらせようとした2人の関係を、きちんとした形で後始末させる展開に繋げたのもそのひとつ。
謎の人と感じられた宮本が、こんな風に生きてく -
Posted by ブクログ
主人公がくるくると変わる連作小説というのが、あまり好きではなかった。
いくら主人公に感情移入していても、あっという間に断ち切られてしまう。
まだこの人物の物語を読んでいたいと思うのに、容赦なく別の人物の新たな物語をずいと無遠慮に差し出される感じ。
けれど、ここ数年で良質な作品と出逢い、連作も良いものだと感じ始めている。
『桐島、部活やめるってよ』『終点のあの子』『太陽の坐る場所』、そして『マンゴスチンの恋人』。
肌に合う文章というのは、水をこくこく飲むように、心地よく読み進めてしまう。
セクシャルマイノリティの物語とあるけれど、教室の息苦しさや、ヒリヒリするような人間関係の痛みだった -
Posted by ブクログ
宮木あや子さんの作品が入っているので、買ってみました。
女性作家の書く官能小説は、変にねちっこかったり、興ざめするようなところがなく、きっちりと書かれている感じのするのが、良いところかな・・・。
男性の描くそういったシーンは、女性からすると、流れとか色々と都合が良すぎて、「ないわー」と、あきれてしまう事がしばしばあるのですが、女性が描くものは、そこに至るまでの過程や心情がしっかりとしている上に、同性なので、「さすがわかっていらっしゃる、そうなのよねー」と、納得出来ます。
このアンソロジーも、宮木あや子さんは勿論、どれも良かったのですが、一番好きなのは、吉川トリコさんの『ポルノ姫』です。 -
Posted by ブクログ
著者の名前から遠野なぎこが連想されるせいか、なんとなく手を出す気になれなかった遠野りりこ。無関係なのに連想されても困りますよね(笑)。全国の書店員が惚れ込んだという触れ込みに惹かれて読んでみることにしました。
4つの短編はいずれもセクシャルマイノリティが絡んでいます。
1話目の表題作「マンゴスチンの恋人」は、年上の人妻と不倫関係に陥った女子高生の話。眼鏡女子が奔放な人妻に本気になる様子が妙に生々しく、正直なところこの1話目には不快感を抱き、苦手でした。
ところが2話目「テンナンショウの告白」からが面白い。1話目の女子高生の同級生で、市内全域の生徒がその名前を知っているような美少女が主人公