村松友視のレビュー一覧
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「プロレスとは他に比類のなきジャンルである」
「私、プロレスの味方です」で作家デビューした著者。
プロレスを語ることを大きな文化にしていった先駆者だった。
「そして、私は過激なプロレスの味方です」
その熱は、プロレス実況の古舘伊知郎に。
そして、週刊プロレスなどを通して大きなうねりとなった。
その著者がやり残したことがあるという。
2016年に逝去したボクシング世界ヘビー級チャンピオン モハメド・アリ。
アリは現役のチャンピオンだった1976年に、日本でプロレスラーのアントニオ猪木と対戦している。
その試合が、ゴールデンタイムで再放送された。
「その両者の奇跡的実現とも言える試合が -
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1980年に『私、プロレスの味方です』で作家デビューした著者は、その後の一連のプロレス関連作品を出す中、大きな忘れ物をしたという忸怩たる思いがあったと告白する。その忘れ物とは、『私…』を著した四年前に行われた猪木対アリ戦なのであった。著者は、当時この一戦について言葉を絞り出すことができず、作品の中で触れることができなかった。そして、この一戦から40年が経ち、アリが亡くなったことをきっかけに、ようやく触れることができたと言う。そして出来上がったのが本書だ。プロレス者としては、この前段だけでもう完全にやられてしまった。
過去のプロレス関連作品に再三触れるなど、前半は多少冗長気味なところもあるけれど -
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村松友視は1982年に「ファイター 評伝アントニオ猪木」を刊行し、そのあとがきでこう記した。
「これを機に、プロレスに関するいっさいの文章をしばらく休止し、私好みの観客席へもどりたいと思う」
村松友視はその後、本当にプロレスに関する書籍を出版しなかった。一部のプロレスマスコミには対談などで顔を出したりしていたが、デビュー時からのファン(=プロレスファン)は期待しつつも、もう諦めていたと思う。
今回突然この「アリと猪木のものがたり」刊行を知り喜んで発売を待ちつつ、なにがあったんだろう、そしてなぜ「猪木vsアリ」なのだろう、と思った。
この本読めぱその答えは明確に書かれていて、ふたつの疑問 -
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ネタバレ1940年生まれ村松友視さんの「大人の極意」2016.7発行、とても楽しく読み終えましたw。2010.6刊行の「大人の達人」を改稿・再編集したものだそうです。著者が惚れこんでる人のエピソードを紹介しながら、大人の極意をわかりやすく表しています。「電光石火の絆」では幸田文さんが登場します。灰皿の上のマッチ箱、季節にふさわしい千代紙が貼ってあるんだそうです。著者はおみやげでもらって帰ってたと。ある日、糊が乾いてないときが~。「急に来るからさ・・・」と照れたように言った文さんがとても可愛かったそうです(^-^)
金沢、松江、京都などの「和風の街」を訪れる楽しみの一つに、「見事なお辞儀を見物する」 -
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大好きな帝国ホテル。
本当にお世話になっているホテルです。
ロビーで人待ちしている時にも、ピアノの生演奏が聴けたり、素敵な内装と空間には美しい季節のお花が活けられていたりと帝国ホテルらしいゆったりとした
時間が流れています。
飛び交う外国語は今に始まったことではなく、ずっと前から国際的な場所でもありました。
エレベーターに乗れば、レストランで食事を摂れば有名人と鉢合わせになり、どのスタッフの方も心づくしのおもてなしをしてくださる。このホテルの絶妙な緊張感は、リッチに気分にして下さるだけではなく、そこに相応しく存在するように私なんぞでも引き上げてくれるような力があります。
たまに帝国ホテ -
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格闘技ファンの作家というイメージか先行して、今まで読んでなかった村松友視さん。カバーのイラストの猫がなんとも可愛くて買った本なのに本棚にずっと眠っていた。
最初に、アブサンの原点を探しに行くシーン。日比谷公園にはあるある、野良猫がいっぱいいるところ。数多い野良猫の中から縁あって伴侶になり、心を通わせられたと思い込み(人間の勝手な思い込みかも、と思いつつ)、その存在に依存して暮らすようになるのだから、たかが猫、されど猫なのである。猫の素人の奥様よりは、昔、猫と暮らしてきた自分に、よりなつくはず、いう自負を持つ村松さんと奥様のやり取りが微笑ましい。最後の数ページは涙しながら読んだ。感情的な文章では -
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府中出身の元武士、十返舎一九のベストセラー本「東海道中膝栗毛」を、現代の言葉で分かりやすくかつ面白く伝えてくれるのは、やはり静岡出身の村松友視氏!
原作での「しぞーか弁」も再現・・・してたっけ?←しぞーか弁
一応「少年少女向け」の本とはなっておりますが、大人向けだと思います。
だって、弥次さん喜多さんの行動はいつだってオトナ向けだからなのです(^^;
少年少女に「伝えてしまっていいの?」な内容をふわあっと包み込み、二人の滑稽さに焦点を当ててます。
しかし刀を持たない理由を熱く語らせ、色々な人と出会い、騙され、エッチな目的もしっかり忘れない二人をイキイキと描き出してます。
原作本を読む前に読 -
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2010年に創業120年を迎えた帝国ホテル。そこで働く人々のインタビューを通して、歴史あるホテルの姿を明らかにする。
インタビューされるのは支配人にはじまり、料理人、フロントマン、清掃人、マネージャー、設備担当、さらには請負の神主やピアニストなど。
彼らへのインタビューで著者が重視するのはホテルに勤める前の人生と今の仕事を選んだいきさつ。小さい頃からのあこがれが叶った人もいれば、なんとなく勤めてしまって現在に至るなんて人もいる。
ホテルの宿泊者にそれぞれの人生があることと同じく、そこで様々なサービスを提供する仕事人たちにも、それぞれの人生がある。そのホテルに伝統があればあるほど、その味わ -
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マルノウチリーディングスタイルで、作家さんの誕生日ごとに並んでいるバースデー文庫を買ったらこれでした。だから最初は内容で読みたいと思ったわけじゃなくて、そもそもあんまり動物が好きではないし、ペットを飼うのもむしろ嫌なほうなんだけど、読んだらほっこり、じんわりしてしまった。解説にもあるとおり過剰な表現ではなく、あったことを書いているという感じなんだけど、確かにそこには誠実な愛情が滲み出ている。そしてあっさりゆったり力の抜けた文章で語られるものだから楽しく油断して読んでいたら、エピローグで泣きそうになってしまった。それでもエピローグも抑えた描写で、ちゃんとアブサンと向き合っていたのだなという姿勢が
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2ヶ月毎の本場所を心待ちにしだしたのは、小学2年の時。昭和46年(1971年)当時の大相撲界は、昭和の大横綱 大鵬が力士として落日を迎えようとしており、そのバトンを受取るように台頭してきたのが前年横綱に同時昇進した北の富士と玉の海。三役には貴ノ花と輪島の若きプリンスが大関を目指し、しのぎを削っていた。
贔屓は玉の海と貴ノ花。ふたりの星取りが気になる小2。それだけに、玉の海が虫垂炎をこじらせ現役の横綱のままで急死した時は大ショックも大ショック。その前年、三島由紀夫が自決して激しいショックを受けた母親の気持ちが痛いほどわかった。
さて、本書。
作家 村松友視が描く第52代横綱 北の富士勝昭の評